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EUC エンジニアのための見逃し GTC21 ダイジェスト

こんにちは、ネットワールドの海野です。

今日は NVIDIA の年次イベントである GTC21 : GPU Technology Conference 2021 についての記事を投稿します。

EUC を担当しているエンジニアのひと向けに、GTC21 で関連するセッションの内容をダイジェストでまとめました。

  1. キーノート

    NVIDIA の CEO 、ジェンスン・ファンによるキーノートセッションは GTC21 の登録をすることなく、現在も YouTube でご覧いただけます。

    日本語字幕付きでチャプターに分かれている親切仕様です。

    https://www.youtube.com/playlist?list=PLZHnYvH1qtOb16ksRpS-kupBZK8FXKLX9

    なお、残念ながら、GTC21 のキーノートでは EUC に関連するトピックはありませんでした。

  2. NVIDIA A10 & A16

    EUC に関わる方にとって、いちばんの目玉は新しい EUC 環境向けの GPU である A10 と A16 の発表ではないでしょうか。

    新旧 GPU の主要項目を一覧に抜き出してみました。

    GPU M10 T4 A10 [NEW!!] A16 [NEW!!]
    搭載GPU数 4個 1個 1個 4個
    メモリサイズ 8GB x4 16GB x1 24GB x1 16GB x4
    サイズ 2-Slot FHFL 1-Slot Low Profile 1-Slot FHFL 2-Slot FHFL
    消費電力 225W 70W 150W 250W
    想定用途 現行世代 エントリーワークステーション ミッドレンジワークステーション グラフィックリッチVDI
    • A16

      現行の M10 に近い使い方をするのであればメモリがそのまま2倍になった A16 をご選定いただくと集約率をそのまま2倍にすることができるようになります。

      これは GPU の搭載数もそのまま4個で継続しているため、vPC と vApp 、そして vDWS といったプロファイルの使い分けもそのまま柔軟に適用できることを意味しています。

      加えて、消費電力的な観点でも現行品では圧倒的な省電力であった T4 を4枚搭載したときよりも30Wほど低く、スロット占有も少なく済みますので、高集約化にも貢献できる製品です。

    • A10

      一方で、VDI 1台あたりのパワーを従来よりも高めたい場合は A10 をご選定いただくことになります。

      NVIDIA での SPECviewperf 2020 における検証結果では、約2.5倍のパフォーマンス差が出ているとのことでした。

      今後、以前の K1 が M10 へと置き換えられていったように、CAD やそれに準ずる環境はもちろんのこと、オフィスユースの VDI であっても A10 と並行して、少しずつ A10 が普及していくのではないかと考えています。

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  3. 個別セッション

    • Title : Mastering EUC Performance with NVIDIA vGPU [E32066]

      PQR 社の Rody Kossen さんと Nutanix社の Kees Baggerman さん2名の NGCA による EUC 環境における集約度とユーザーエクスペリエンスに関するセッションです。

      LoginVSI、REX Analytics、NVIDIA nVectorというパフォーマンス測定ツールを利用していたようです。

      Windows 10 のバージョンが1909から2004、20H2へと上がるほど集約度が下がること、CPU の世代の違いによるパフォーマンス差 (Broadwell - Skylake - Cascadelake)、 GPU 有無によるアプリのレスポンスやホストのCPU利用状況の違いなどがまとめられていました。

    • Title : Harnessing The Power Of PYTHON To Control NVIDIA vGPU Management in VMware vSphere [E32023]

      ITQ 社の Johan van Amersfoort さんと Dell Technologies 社の Tony Foster さん2名の NGCA による vGPU の環境を Python でコントロールしようというセッションです。

      Python はモダンなプログラミング言語であり、クロスプラットフォームであることから vGPU のコントロールに採用したとのことです。

      内容としては、Python における VMware 用のモジュールである pyvmomi を利用して、特定の仮想マシンに指定したプロファイルを割り当てたり解除したりということを行っていきます。

      私も似たようなものを PowerCLI と PowerAutomate で作ったことがありますが...これ使いどころが難しいんですよね。(というか現実にはあまりない。)

      コードもこちらに公開されていますので、 Python を使った vSphere 環境の自動化に興味のある方はご覧いただければと思います。

以上です。

ソリューションアーキテクト : 海野航
得意ジャンルは EUC で、好きなジャンルは無心でできるコーディング。