こんにちは、ネットワールドの海野です。
もうすぐ NVIDIA GTC 2025 ということで、待機しながらこのブログを執筆しております。
NVIDIA vGPU 18.0 が登場!
さて、NVIDIA vGPU ソフトウェアの最新バージョンである 18.0 が2025年3月6日にリリースされました。
今回のアップデートでは、既存機能の強化に加え、Proxmox VE の公式サポート、そして Microsoft Hyper-V における GPU-P のサポート がついに実現しました。
本記事では、NVIDIA vGPU 18.0 の主な新機能と、Proxmox VE および Hyper-V サポートの詳細について掘り下げてご紹介します。
なお、vGPU 18.x はサポート期間の短い Production Branch となっており、サポート期間を気にするお客様は Long-Term Support Branch のリリースまでお待ちいただく方が無難です。
各ブランチのサポート期間についてはこのページを参照してください。
(念のため) NVIDIA vGPU とは?
NVIDIA vGPU は、物理的な NVIDIA GPU の能力を複数の仮想マシンで共有できるようにする技術です。
これにより、ワークステーションの統合、リソースの効率的な利用、セキュリティの向上など、さまざまなメリットを企業にもたらします。
言わばGPUの分身の術と表現してもよいでしょう。
NVIDIA vGPU 18.0 の主な新機能
今回のリリースでは、Proxmox VE の正式サポートと Hyper-V における GPU-P のサポート以外にも、注目すべき新機能が多数追加されています。
1. レガシー GPU における異なるフレームバッファサイズの vGPU のサポート ("mixed-size mode")
SR-IOV をサポートしていないレガシー GPU においても、異なる容量のフレームバッファを持つ vGPU を同一の物理 GPU 上で利用できるようになりました。
これにより、GPU リソースの利用効率が向上し、より柔軟な仮想環境の構築が可能になります。
mixed-size mode はどういうことかと言うと、例えば A16 においても A16-1B と A16-2B が混在できる、ということです。
mixed-size mode 自体は vGPU 17.x で実装された機能ですが、vGPU 18.0 からはサポートされる GPU の種類が増えたということです。
ただし、この機能はすべてのハイパーバイザーでサポートされているわけではないため、利用前に各ハイパーバイザーのリリースノートをご確認ください。
2. 等サイズのvGPUモードにおける手動配置のサポート ("equal-size mode")
これまで自動で行われていた、フレームバッファサイズが同一の vGPU の物理 GPU への配置を、手動で制御できるようになりました。
equal-size mode ですが、同じフレームバッファのサイズのプロファイルを混在できるようになったということです。
例えば A16-1B と A16-1Q が混在できる、ということを示します。
これにより、ワークロードの特性に合わせた最適な配置や、リソース管理の柔軟性が向上します。
3. NVIDIA NSight Systems ビデオハードウェアプロファイリング
システム全体のパフォーマンス分析ツールである NVIDIA NSight Systems が、ビデオハードウェア(エンコード/デコードエンジンなど)のプロファイリングに対応しました。
これにより、CUDA アプリケーションの最適化が可能となります。
ただし、vGPU 自体の動作や仮想化レイヤー固有の問題を直接的に扱う機能ではないため、vGPU 利用のお客様にはあまり関係しないかもしれません。(たぶん)
待望の Proxmox VE サポート
今回のリリースで特に注目すべき点は、オープンソースの仮想化プラットフォームである Proxmox Virtual Environment (VE) の公式サポートが開始されたことです。
Proxmox VE は弊社でも取り扱いを始めた話題のハイパーバイザーです。
Proxmox 8.3 以降のバージョンで NVIDIA vGPU 18.0 がサポートされています。
これにより、PVE においても高精細なグラフィックスを活用したアプリケーションや CUDA を扱うような AI/ML ワークロードも快適に利用できるようになります。
具体的な設定方法や利用手順については、弊社 SE 陣も執筆に参加した Proxmox VE の書籍ならびに Proxmox VE の Wiki ページをご参照ください。
Microsoft Hyper-V における GPU-P のサポート
NVIDIA vGPU 18.0 では、Microsoft のハイパーバイザーである Hyper-V における GPU Partitioning (GPU-P) のサポートが強化されました。
今回のアップデートにより、Microsoft Windows Server 2025 を含む Hyper-V を利用している環境において、GPU-P による vGPU 環境の構築が可能になります。
これにより、Windows Server 環境においても、より柔軟な GPU 仮想化の選択肢が提供され、幅広いワークロードに対応できる仮想環境の構築が期待されます。
以前からいわゆる GPU パススルーはサポートしていたのですが、vGPU がサポートされることが新しい!ということを言っています。
その他のアップデート
NVIDIA vGPU 18.0 では、以下のサポートも追加・更新されています。
- 新たにサポートされるハイパーバイザーソフトウェア : Microsoft Azure Local 2411(旧称Azure Stack HCI)
- 新たにサポートされるゲスト OS : Microsoft Windows Server 2025
とりあえずそんな感じで GTC 2025 を引き続き待機しております。