皆様、こんにちは!
ネットワールドのストレージ担当SEの多川です。
仮想化の製品は多々ありますが、その中でも最近よく耳にする仮想化技術であるProxmox VEを個人的に触ってみたくなり、せっかくならPowerStoreと接続してみようと思い立って検証しました。
ということで、Proxmox VE × PowerStoreの検証レポート始まります!
環境:
Proxmox VE 8.3
PowerStore OS 4.0
まずはProxmox VEのサポート状況を確認してみます。
なんとDellさんからPowerStore環境でのホワイトペーパーが出ており、サポートされています。
今回の検証はこのホワイトペーパーを元に進めていきますので、もし実際に構築する場合は最新のホワイトペーパーを見て作業してください。
Dell PowerStore: Deploying Proxmox Virtual Environment — White Paper
https://infohub.delltechnologies.com/en-us/t/dell-powerstore-deploying-proxmox-virtual-environment-white-paper/
注意点として、PowerEdgeはProxmox VEのベースであるDebianはサポートされていないようですのでご注意ください。
ご利用になる場合は事前にSCSIコントローラやNICがDebian 12をサポートしているか事前に確認頂き、実際にProxmox VEをインストールして確認の上、ご利用ください。
サポート対象のオペレーティングシステム
Your PowerEdge R660 supports these operating systems:
https://www.dell.com/support/home/ja-jp/drivers/supportedos/poweredge-r660
今回は検証のため仮想環境上にネストでProxmox VEを3台構成します。
インストール手順はそこまで難しくなく、1台10分程度でインストール完了しました。
(インストール手順は今回のブログの目的と外れるため割愛します)
今回は以下の図のような構成で構築します。
Proxmox VEは管理ネットワークに1つ、2つの異なるiSCSIネットワークにそれぞれ接続します。
PowerStoreは2つのiSCSIネットワークにNodeA・Bがそれぞれ接続しています。
ホスト(Proxmox VE)から見るとストレージは4パスで見えてくる形の設計となります。
(iSCSI1とiSCSI2のネットワークは異なるサブネットのIPアドレスを設定する必要があります)
また絵では表現していませんが、管理のネットワーク経由でPowerStoreにNFSアクセスできるように構成しています。
早速Proxmox VE側でiSCSIのターゲットを登録します。
[データセンター] – [ストレージ] と辿り、[追加]をクリックし [iSCSI] を選択します。
この操作をターゲットの数分実行します。今回は4回実行することになります。
PortalにiSCSIターゲット(PowerStoreのiSCSI IPアドレス)を指定することで、ターゲット(PowerStore側のIQN)が選択可能です。
ターゲットIQNはPowerStoreのGUIで確認可能です。
なお、本記事ではiSCSI直接利用ではなくiSCSI+LVM構成をセットアップするため「LUNを直接使用」のチェックは外した状態で追加を行います。
この次の操作からはコマンドを実行するため、実行の仕方を紹介します。
Proxmox VEではSSH等で接続しなくとも、ホストを選んで [シェル] を開くことでコマンドを実行できます。
ブラウザ上でコピー&ペーストもできますので、これはかなり便利ですね。
それではコマンドを実行していきます。
まずはiSCSIイニシエーターをインストールします。
# apt-get install open-iscsi |
今回は特にアップデートが無かったため、次の手順に移ります。
Proxmox VEのiSCSIイニシエーターのIQNを確認します。
これは次の手順で使いますので控えておきましょう。
※PowerStoreに接続するすべてのホストで実行する必要があります。
# cat /etc/iscsi/initiatorname.iscsi |
今度はPowerStore側でホストを登録します。
ホストのOSはLinuxを指定します。
イニシエーターを選ぶ画面で先ほど確認したIQNをリストから選択します。
あとはいつも通り、ボリュームをホストにアサインしていきます。
今回は3台のホストをホストグループに纏めて、ホストグループにHLU 0でボリュームをアサインしました。
Proxmox VEに戻り、デバイスを確認します。
# lsblk |
もしここでデバイスが見えていなければProxmox VEを再起動してください。
Proxmox VEの再起動はGUI上で、ホストを選択した画面の右上にあるはずです。
apt updateコマンドでアップデート可能なパッケージを更新します。
インターネット接続が必要ですので、接続できない場合はネットワーク・DNS周りを確認してください。
# apt update |
次にマルチパスをインストールします。
# apt install multipath-tools |
途中で「y」を入力し、インストールが完了するのを待ちます。
無事インストールが完了しました。
エラーなど出ていないことを確認してください。
次にマルチパスの設定をしていきます。
lsblkコマンドの結果に出てきたsdxデバイス名を指定し、デバイスのSCSI IDを確認します。
# /lib/udev/scsi_id -g -u -d /dev/sdx |
確認したSCSI IDを指定してマルチパスに追加します。
# multipath -a <SCSI ID> |
マルチパス設定を有効化します。
# multipath –r |
マルチパスを確認します。
# multipath –ll |
multipath.confファイルをvi等で作成します。
以下はホワイトペーパーに記載されているサンプルです。
/etc/multipath.conf
defaults { polling_interval 5 checker_timeout 15 disable_changed_wwids yes find_multipaths no user_friendly_names yes enable_foreign nvme } devices { device { vendor DellEMC product PowerStore detect_prio "yes" path_selector "queue-length 0" path_grouping_policy "group_by_prio" path_checker tur failback immediate fast_io_fail_tmo 5 no_path_retry 3 rr_min_io_rq 1 max_sectors_kb 1024 dev_loss_tmo 10 hardware_handler "1 alua" } } |
マルチパスサービスを再開します。
# systemctl restart multipathd.service |
その後再度マルチパスの確認を行い、マルチパスデバイスの名前を確認します。
# multipath –ll |
やっとマルチパス設定まで終わりましたが、Proxmox VEではこのままではボリュームとして使えないようです。
使うためにはLVM (Logical Volume Manager) を作りますが、その前にPV (Physical Volume) とVG (Volume Group) を作成する必要があります。
まずはPVを作成します。マルチパスデバイス名は先の手順で確認した名前を指定してください。
# pvcreate /dev/mapper/<マルチパスデバイス名> |
VG名を指定してVGを作成します。PVと同じようにマルチパスデバイス名は先の手順で確認した名前を指定してください。
# vgcreate <VG名> /dev/mapper/<マルチパスデバイス名> |
PVの確認コマンドです。
# pvs |
VGの確認コマンドです。
# vgs |
今度はGUIからLVMを作成していきます。
[データセンター] – [ストレージ] と辿り、 [追加] をクリックし [LVM] を選択します。
ボリュームグループは先ほど作成したVGを指定してください。
全てのホストにLVMをアサインする場合、作成したLVMを選択して [編集] をクリックし、[ノード] で他のホストを選択します。
非常にわかりづらいので絵にしてみると以下のようになります。
他社のVM環境と比較すると、ボリューム(LUN)をそのまま使えるわけではなく、PV/VG/LVMを作成する必要がある点が異なります。
またISOファイルなどを配置する場合は別途NFS領域を準備する必要があります。
NFSの場合はiSCSIより簡単です。
[データセンター] – [ストレージ] と辿り、[追加]をクリックし [NFS] を選択します。
IDは任意の名前、サーバはNFSのIPアドレス、ExportはNFSパスを入力します。
内容に [ISOイメージ] を追加選択することで、ISOファイルの配置が可能です。
NFSの場合はシンプルですので、PowerStoreでNFS Exportを作成し、Proxmox VEでNFSマウントすることで、自動でディレクトリが作成されます。
作成されたディレクトリ配下にISOやVMのファイルが保存されます。
いよいよVMを作成します。
VMは画面右上にある [VMを作成] をクリックすることで作成ウイザードが始まります。
ストレージに関する部分だけ説明しますと、[ディスク] の画面で [ストレージ] の項目を選択し、 [ディスクサイズ] の項目で容量を指定します。
作成できたVMを起動してみました。
無事起動できたようです!
DellさんからPowerStore向けのホワイトペーパーに詳細な手順も記載があり、今回検証したiSCSI・NFS以外にもNVMe over TCPの設定手順も載っていたりと、かなり親切です。
検証であれば特にライセンスが無くとも検証できますので、一度お手持ちのストレージに接続して試してみるのも面白いかもしれません。
それでは、ここまで読んでいただきありがとうございました!次回もお楽しみに!ByeBye!
良いProxmox VE × PowerStoreライフを!
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