皆さんこんにちは、ストレージ・バックアップ製品を担当している井上です。
本日はWasabi社の製品であるWasabi Cloud NASについて、ズバっと簡潔に紹介したいと思います。
なぜならこのWasabi Cloud NAS(以後WCN)という製品、経験上、(実際には色々考慮しなければならないことがあるのに)すべてを解決できる万能ソリューションだと思われていることが往々にしてあるからです。
本記事ではズバっと簡潔に書くことで、WCNを皆さんに正しく理解してもらえればと思っています。
そもそもWasabi Cloud NASとは
オブジェクトストレージのSaaSであるWasabiのライセンス形態および付帯のアプリケーションの名称です。WCNを使えば
・ファイルサーバ上のデータをWasabiバケットにバックアップしたり(Replication)、
・サーバ上のファイルをスタブ化してメタデータだけにすることでファイルサーバの容量削減(Reclaim Space)
したりすることができます。
ほほぅ、これいいね!と思うかもしれませんが、以下、注意していただきたい事項が色々あります。
このWCNというアプリはSaaSではなく、
Windowsにインストールして使います!!
なのでWindowsが必要です!!
そしてWCN自体にNASとしての機能はありません!!!
なのでWindowsの共有機能を使ってください。
何をそんな当たり前なことをと思われるかもしれませんが、製品名と概要だけふわっと知ってるからたぶんWCN使えるね!みたいな感じだと、この部分が見落とされがちだったりします。
(名前にNASと付いていて紛らわしいですよね。。)
機能紹介
続いて、上で簡単に述べた2つの機能と、よく説明が必要になる機能(Versioning)について、ちょっと詳しく見ていきたいと思います。
Replication
まずこのレプリケーション機能がベースとなっている機能といえます。指定したフォルダのデータをバケットに複製します。どのような使い方であっても必ずこちらの機能を使います。
以下、勘違いされがちだったり使用する上で一般的に注意した方がよい事項を記載してみます。
- 複製動作のトリガーはファイルが作成・更新されてからの経過時間で、秒・分・時間・日・週を指定できます。 ※アプリからはスケジュール指定は不可。インターバル実行ではなくファイル個々の経過時間を見ている
- 中身が空のフォルダは複製してくれません!!
- 既にデータが大量にあるところにReplicationを設定する場合、バケットへの大量のデータアップロードが常時動作してしまい、ネットワークを圧迫する可能性があります!!
Reclaim Space
続いてスタブ化の機能も見ていきます。
指定した期間アクセスのないファイルをメタデータだけの状態(スタブファイル)にして、データの実態はバケット内のみに保持します。そのためこの機能を使えばサーバのストレージ使用量を削減することができます。
他にもファイルサイズがXX以上、ローカルストレージの使用量がXX以上の場合はスタブ化する、といった条件を付けることも可能です。
スタブ化されたファイルは、アクセスされたときにその実データがバケットからダウンロードされ、通常のファイルに戻るので、ユーザはファイルがスタブ化されているかどうかにかかわらず、普段通りにアクセスすることができます。
ここでもよく勘違いされがちなポイントがあります!!以下です!
- スタブ化されていないファイルはサーバ上にしかデータがない、というわけではない
(=Replicationが基本の動作なのでバケット内にファイルの複製がある)
(=既にReplicationされたファイルであればスタブ化時にデータが都度アップロードされるわけではない) - 一方で、スタブ化されると実際のデータがバケットにしかない状態になるので、そのままではデータセットが1つしか存在しないことになる
- データのダウンロードが発生しない挙動もある
※ ファイルアクセスが発生しないドライブに対しての処理(Windows VSSや、イメージバック等...)
Versioning
ファイルの世代管理機能です。バケット単位でVersioningの有効/無効を切り替えられます。
ストレージを扱っていればスナップショット/Snapshotという技術について馴染みがあるかもしれません。Versioningもファイルを、過去のバージョンに戻すことができますが、、
- ファイルの更新が、データの差分ではなく、まったく別のバージョンファイルとして保持される
- そのため各バージョンファイルのサイズの容量を消費してしまいます…!!
(例えば、ちょこっとだけ編集したファイルが3世代あると、容量を3倍消費してしまう感じです。) - 更新したファイルがバケットに保存されるタイミングでバージョンファイルが作成される
⇒ WCNの場合はReplicationで設定する期間が影響してきます。
※ スケジュール指定は不可 - ファイルプロパティ「以前のバージョン」タブではなく、「Versions」というタブが新たに表示されているので、そちらを使用してファイルを以前のバージョンに戻します
※ ファイルサーバとしての使用を検討している場合は一般ユーザさんが自分でファイル復元できないので要注意です!!
Wasabi最大の武器
さて、ここまで見てきて「ちょっと思ってたのと違ったかも。。」という部分がありましたでしょうか?
仮にそうだったとしても、Wasabiの最大の武器、、それは価格!!というところもあるかと思いますので、
「色々運用でカバーが必要なこともあるかもしれません..でもその分、金額はこちらでーーす!!(バーンッ!!」
「(ゴクリ..」
という流れで話を進められると、後々実はXXができませんでした~となるよりよいのかなと思います。
本記事がWasabi Cloud NASを正しく理解してもらう一助となれば幸いです。
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https://blogs.networld.co.jp/archive/category/Wasabi