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Azure Communication Servicesでメールの送受信をする Part1 ~サービス概要から利用方法~

皆様こんにちは!

ネットワールドでAWSやMicrosoftのクラウド製品を担当しているSEの碇です。

本日は、Azureのコミュニケーションサービスである、Azure Communication Servicesというサービスについて、サービス概要からご利用方法まで、ご説明しようと思います。


Azure Communication Services とは

Azure Communication Services は、音声、ビデオ、チャット、テキスト メッセージ/SMS、メールなどをすべてのアプリケーションに追加するためのマルチチャネル コミュニケーション API を提供します。
今回は、その中でもメールに特化してご説明します。

Azure Communication Services


背景

Exchange Online でのSMTP Auth認証の廃止

Microsoftは2026 年 3 月に、Exchange Onlineでのクライアント申請 (SMTP AUTH) による基本認証のサポートを完全に削除すると発表しました。 
Azure Communication ServicesではSMTP認証がサポートされており、同じMicrosoftのサービスということで、今回はAzure Communication Servicesをご紹介させていただきます。

詳細は下記となります。
Exchange Online での基本認証の廃止 | Microsoft Learn

下記のMicrosoftサイトにも、Azure Communication Servicesを使用する方法が紹介されています。
https://techcommunity.microsoft.com/blog/exchange/exchange-online-to-retire-basic-auth-for-client-submission-smtp-auth/4114750
>電子メール用 Azure Communication Services にオンボードする方法

作業の流れ

作業の流れをまとめると、以下の通りとなります。

1.Azure Communication Servicesの作成

まずは、Azure Communication Servicesを作成します。
Azure Communication Servicesは、メールのシステムを入れる箱のような役割です。
これ以降は、ACSと略称で記載させていただきます。

2.Email Communication Servicesの作成
ACSでメールの送受信を行うためには、Email Communication Servicesを作成し、ACSと連携する必要があります。
これ以降は、ECSと略称で記載させていただきます。

3.メールドメインの追加

ドメインは、Azureマネージドドメイン、カスタムドメインから選ぶことができます。Azureマネージドドメインは無料で取得できますが、制限事項が多くあります。

詳しくはMicrosoft learnのドキュメントをご確認ください。
電子メール通信サービスに Azure マネージド ドメインを追加する - An Azure Communication Services quick start guide | Microsoft Learn

今回は、カスタムドメインで作成する方法をご説明します。

4.SMTPユーザーの作成

メールアドレスの作成のために、SMTPユーザーを作成します。

5.SMTPパスワードの管理

クライアントシークレットを作成し、SMTPパスワードを管理します。
SMTPパスワードの有効期限は基本的に最長2年です。

6.送信メールアドレス

カスタムドメインの場合、送信メールアドレスを追加することができます。
Azureマネージドドメインではdonotreply@someone.comのメールアドレスでしか送信することができません。

7.メール送信のレート管理

カスタムドメインの場合、メールの送信数の管理をすることができます。
メールの送信数の既定値は下記の通りです。

Azure Communication Services のサービス制限 - An Azure Communication Services article | Microsoft Learn

なお、一度メールを送信しないとレートを追加することはできません。

手順については、1~7と長いため、Part1とPart2に分けて投稿いたします。
Part1では、「1.Azure Communication Servicesの作成~3.メールドメインの追加」、
Part2では、「4.SMTPユーザーの作成~7.メール送信のレート管理」についてご説明いたします。

導入手順

それでは、早速導入手順についてご説明していきます。

1.Azure Communication Servicesの作成

Azureポータルサイトの上部にある、検索バーをクリックし、Communication Servicesと検索します。Communication Servicesをクリックします。

Communication Servicesをクリック

作成をクリックします。

作成をクリック

Create resourceが表示されたら、Subscription、Resource group、Resource name、Data locationを選択し、Next Tagsをクリックします。

Create resource画面

なお、Resource nameは一意である必要があり、すでに存在している場合はエラーがとなり作成ができないためご注意ください。

すでに存在している場合はエラーが出る

Tags画面で必要に応じてタグを設定し、Next:Review+Createをクリックします。

Tags画面

Create resource画面で設定値を確認し、Createをクリックします。

確認画面

これで、ACSの作成が完了しました。

2.Email Communication Servicesの作成

Azureポータルサイトの上部にある、検索バーをクリックし、Email Communication Servicesと検索します。
Email Communication Servicesをクリックします。

Email Communication Servicesをクリック

作成をクリックします。

作成をクリック

Create resourceが表示されたら、サブスクリプション、リソースグループ、名前、Data locationを選択し、次へをクリックします。

Create resource画面

なお、名前は一意である必要があり、すでに存在している場合はエラーがとなり作成ができないためご注意ください。

すでに存在している場合はエラーが出る

Tags画面で必要に応じてタグを設定し、次へをクリックします。

Tags画面

確認と作成画面で設定値を確認し、作成をクリックします。

確認画面

これで、ECSの作成が完了しました。

3.メールドメインの追加

今回は、カスタムドメインを利用する場合の、ドメインの追加方法をご説明します。
作業内容は主に以下の4点となります。

①ECSでドメインを追加
②①で追加したドメインのTXTレコードをDNSに設定
③必要に応じてSPFレコードとDKIMレコードを設定
※ドメイン所有権の検証が終わればそれに使用したTXTレコードはDNSサーバから削除することが可能です。
④ACSへドメインの紐づけ

①ECSでドメインを追加

Azureポータルサイトの上部にある、検索バーをクリックし、Email Communication Servicesと検索します。
Email Communication Servicesをクリックします。

Email Communication Servicesをクリック

先ほど作成したECSをクリックし、表示させます。
Settings>Provision domains>Add domainをクリックします。

Provision domains

Custom domainをクリックします。

Custom domainをクリック

設定したいドメイン名を、Enter your domain name、Re-enter your domain nameに2回入力し、Confirmをクリックします。

Add a custom domain画面
②TXTレコードをDNSに設定

Finish画面が表示されたら、「Verify Domain」をクリックし、TXTレコードを表示させます。

Verify Domainをクリック

TXTレコードを表示させる

 

TXTレコードをコピーし、DNSに登録します。
TXTレコードがDNSに正常に作成されたことを確認し、完了をクリックします。

Domain statusがVerifiedになることを確認します。
※Domain statusがVerifiedになるには、数分かかる場合があります。

Domain statusがVerifiedになることを確認

ドメインが検証された後、SPFとDKIMの設定が可能になります。

③必要に応じてSPFレコードとDKIMレコードを設定

SPF status、DKIM status、DKIM2 statusのいずれかのConfigureをクリックすると、SPFレコードおよびDKIMレコード用のTXTレコードおよびCNAMEレコードが表示されます。

SPFはTXTレコード、DKIM/DKIM2はCNAMEレコードとなります。

SPFレコードおよびDKIMレコードを表示

それぞれTXTレコードとCNAMEレコードをコピーし、DNSに登録します。
レコードがDNSに正常に作成されたことを確認し、Next、完了をクリックします。

すべてのstatusがVerifiedとなっていることが確認できました。
※statusがVerifiedになるには、数分かかる場合があります。

すべてのstatusがVerifiedとなっている
④ACSへドメインの紐づけ

Email Communication Servicesで追加したメールドメインは、Azure Communication Servicesに紐づけする必要があります。

Azureポータルサイトの上部にある、検索バーをクリックし、Communication Servicesを検索します。Communication Servicesをクリックします。

Communication Servicesをクリック

作成したACSをクリックし、メール>ドメイン>Connect domains>Connect domainの順にクリックします。

Connect domainをクリック

Connect email domainsでSubscription、Resource Group、Email Service、Verified Domianを選択し、Connectをクリックします。

Connect email domains画面

StatusがConnectedとなれば、完了です。

まとめ

今回は、Azure Communication Servicesのサービス概要からご利用方法についてご説明しました。

次回はSMTPユーザーの作成、パスワードの管理、送信メールアドレスの追加、メール送信のレート管理方法についてご説明します。
この記事が参考になれば幸いです。