こんにちは!ネットワールドSE 殿貝です。
12/1-5の期間でラスベガスにて、AWSの年次イベント re:Inventが開催されています。
Opening Keynoteにて、AWS CEO Matt Garman 氏が、AI インフラからモデル、エージェント、開発・運用体験、レガシーコードの近代化まで、AWS 全レイヤーに及ぶ大規模アップデートを発表しました。
本記事では、今回新しく発表された内容に絞って整理します。

AI Factories / Trainium3 / Nova2 / Frontier Agents / Transform Custom まとめ
1. AWS AI Factories:企業専用の“AIデータセンター”を提供開始
AWS は、企業専用の隔離された AI インフラ領域である 「AWS AI Factories」 を新たに発表しました。
特徴
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企業ごとに独立した AI専用ゾーン を提供
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最新の Trainium / GPU などの AI 計算リソースに占有的にアクセス可能
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セキュリティ・コンプライアンスが企業単位で完結
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Frontierモデルや大規模エージェントを安全に運用できる
企業は “AI専用データセンターをAWS内に持つ” という新しい選択肢を得たことになるでしょう。

2. Trainium3 と EC2 Trn3 UltraServers:次世代AIインフラを公開
AWS 独自の AI チップである Trainium が新世代に進化し、Trainium3 が発表されました。
Trainium3 の性能向上
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従来比 4.4倍のパフォーマンス
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3.9倍のメモリ帯域
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5倍のトークン処理性能
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数十万規模での大規模クラスタ構築に対応
さらに EC2 Trn3 UltraServers により、大規模分散トレーニングのための専用サーバが利用可能になります。
Matt 氏はこれを
“データセンターキャンパス全体が1台のコンピュータになる” と表現しています。

3. 新世代モデル「Nova 2」および「Nova 2 Omni」
Nova 2
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GPT-5.1 や Gemini Pro と比較して同等以上の精度を示すケースもあり
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特に推論、指示追従、エージェント用途に強み
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多言語対応を大幅強化
Nova 2 Omni(フルマルチモーダル)
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テキスト / 画像 / 音声 / 動画 を単一モデルで入力可能
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出力はテキストと音声
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モード切り替えの必要がない統合型マルチモーダルモデル
AWS モデル群の中で最上位クラスとなるモデルが一気に刷新されました。

4. Nova Forge:Frontierモデルを企業データで再トレーニング可能に
Nova Forge のポイント
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Frontierモデルに対して 企業独自データを“事前学習段階”で取り込む ことが可能
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Fine-tuning や RAG より深く企業知識を反映
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忘却を起こさず、基盤モデルの能力を維持したまま専門性を追加
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“企業専用の大規模モデル” を構築できる新しいアプローチ

5. Transform Custom:企業固有のレガシー環境まで対象に
AWS は Transform Console を拡張し、Transform Custom を発表しました。
Transform Custom で可能になること
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独自言語・独自フレームワークなど 企業固有のレガシーコードをAIで自動変換
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任意の変換ルールをもつカスタム変換エージェントを作成可能
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UI フレームワーク、スクリプト言語、バッチ処理にも対応
すでに以下の事例が紹介されています:
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Angular → React への UI 移行
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VBA → Python の変換
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Batchスクリプトの現代化
レガシー移行が“フルAI化”する未来が確実に近づいています。

6. Frontier Agents:自律型AIエージェントを投入
AWS は “Frontier Agents” という新カテゴリのエージェント群を発表しました。
特徴は次の3点です。
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Autonomous(自律):ゴールを与えるだけで計画〜実行まで自動
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Massively Scaled(大規模並列)
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Long-running(長時間持続)
この仕組みを使い、以下の3エージェントが登場します。

6-1. Kiro Autonomous Agent(開発自律エージェント)
自律型のソフトウェア開発エージェント「Kiro」が進化しました。
機能
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複数タスクを並列で実行
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過去の変更履歴やPR情報を理解
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ライブラリアップデートやバグ修正を自動化
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新機能実装も支援
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チームの開発スタイルを継続学習
社内事例では、
30名×18ヶ月の再構築プロジェクトを 少人数×76日で完了
という数字も紹介されました。
6-2. AWS Security Agent(AIセキュリティエンジニア)
提供する機能
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設計書レビュー
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脆弱性診断
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GitHub Pull Requestへの直接レビュー
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自動ペネトレーションテスト
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修正提案・修正コード生成
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複数アプリケーションの一括スキャン
AI が「常時稼働するセキュリティチーム」として働く仕組みを提供します。
6-3. AWS DevOps Agent(AIオンコール / SRE)
特徴
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障害発生時に自動で原因調査
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ログ・メトリクス・トレースを横断解析
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修正案を提示
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再発防止のためのガードレールを提案
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マルチクラウド環境の解析にも対応
AI がオンコール担当者として動作する未来が現実味を帯びてきましたでしょうか。
まとめ:AIの基盤から運用まで、AWSが全レイヤーを一気に再定義
今回の発表は、単なるサービス追加ではなく、AI 戦略の全階層統合 を示したものといえるでしょう。
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AIインフラ:Trainium3 / UltraServers / AI Factories
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AIモデル:Nova 2 / Nova 2 Omni
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モデル活用:Bedrock / Nova Forge
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エージェント:Frontier Agents(Kiro / Security / DevOps)
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モダナイゼーション:Transform Custom
企業の「AI導入」を超えて、“AIを前提とした業務・開発・運用の再構築” に踏み込む内容でした。
その他にはEC2の新インスタンスや、Intelligent-Tiering for S3 Tables、Database Saving Plansなども発表されました。
以下のAWS Blogでもまとめられています。
Top announcements of AWS re:Invent 2025 | AWS News Blog