皆様こんにちは。SEの小池と申します。
GitLabは18.2で GitLab Duo Agent Platform という機能が実装されました (2025/12/18現在GAされておらずbetaでのリリースです) 。
これは将来的にGitLabにおけるAI駆動開発の核となる機能です。
しかし私はAIど素人なので、GitLab Duo Agent Platform という名称を見て最初にこう思いました。

このブログでは、GitLab Duo Agent Platform における Agent を概念的に説明 致します。
GitLab Duo Agent Platform の概念を探して迷子になっている方の一助となれば幸いにございます。

- 本記事の対象の方
- 今回のブログのゴール
- 事前ご連絡事項
- GitLab Duo Agent Platform の Agent とは何か
- GitLab Duo Agent Platform とその Agent をレストランに例える
- 最後に
本記事の対象の方
- GitLab Duo Agent Platform の Agent の概念を把握なさりたい方。
- GitLab Duo Agent Platform に興味がおありで情報収集なさっている方。
今回のブログのゴール
このブログのゴールはこちらです。
- GitLab Duo Agent Platform の Agent とは何か、概念的に把握する。
事前ご連絡事項
- 本記事はGitLab Duo Agent Platform における Agent とは何なのかを概念的に把握することを目的としております。幅広い方にお読みいただけるよう、技術的な用語を用いずに口語的に表現をしているため、技術的に厳密には正確ではない箇所がございます。正確な情報はGitLab Docsをご参照ください。
- 本記事で言及している仕様は、SaaS版 (GitLab.com) の Enterprise Edition 18.7.0-pre の仕様です。それ以外のエディションやバージョンではこの記事に記載の通りではない可能性がございます。
- 本記事は 2025年12月18日時点の情報をもとに記載しております。この日より後に発生した機能名称の変更、機能の変更には言及しておりません。ご了承ください。
- 本記事に掲載されている情報は正確性・安全性を保証するものではありません。本記事の情報を利用することによって発生した損失や損害については、一切の責任を負いかねます。
GitLab Duo Agent Platform の Agent とは何か
GitLab Duo Agent Platform における Agent を一言で説明すると、ソフトウェア開発プロセス内における特定の領域に特化した機能 (GitLabのドキュメントなどでは "専門的" と表記される) を持ったAIエージェントです。 この説明だと、このブログの目的である "GitLab Duo Agent Platform の Agent を概念的に理解する" を全く達成できていないので、もっと概念的に説明します。
まずAIエージェントとは一般的に、「与えられた目標を達成するために環境を認識・理解し、自律的に判断・意思決定を行い、必要に応じて外部ツールを活用しながら、一連のタスクを実行するAIシステム」というような説明がされているケースが多いです。 もっと口語的な表現をすると、「与えられた指示を、周りの状況を判断しながら、適宜道具を使って、いい感じに自動で完遂する仕組み全体」といった感じになります。 なお、AIエージェントの "仕組み" を構成する要素には、頭脳となるLLM、LLMを呼び出すオーケストレーター、外部ツールと連携・実行する機能、過去の対話履歴を保持するメモリ管理などが含まれますが、このブログでは言及いたしません。 また、 "エージェント" という単語からデーモンのような常駐プロセスを連想してしまうかもしれないのですが、AIエージェントはこういったC/Sシステムなどで用いられる "エージェント" とは別物だとご理解ください。
与えられた目標を達成するために環境を認識・理解し、自律的に判断・意思決定を行い、必要に応じて外部ツールを活用しながら、一連のタスク自動実行する "仕組み" 全体を指します。
AIエージェントについてなんとなく把握いただけたと思うので、GitLab Duo Agent Platform における Agent は何かという話に戻ります。
前述したとおり、GitLab Duo Agent Platform の Agent とは、ソフトウェア開発プロセス内における特定の領域に特化した機能を持ったAIエージェントです。そして、GitLab Duo Agent Platform はこういった専門的AIエージェントの集合体です。
皆様ご存じの通り、一般的なソフトウェア開発においては、企画立案/課題管理/コード開発/モジュールテスト/セキュリティテスト/リリース/監視/改善… といった様々な工程があり、各工程では専門的知識や立場が求められます。例えば以下のようなものが挙げられます。
- 脆弱性管理において、検知されている脆弱性の優先順位を付け、リポジトリ全体への影響を考慮した修正案を作成する。
- コード開発において、プロジェクトで規定されるコーディング規約を遵守しつつ、社内で共有されているたくさんのスニペットを活用しながら、依存関係を考慮してコーディングする。
- 課題管理において、プロジェクト全体で規定されるイシューの書き方を遵守しつつ、同じ内容のイシューがないことを確認しつつ、内容を加味してウェイト (重み) を設定し、適切な人員をアサインする。
GitLabはソフトウェア開発の工程で必要になる専門分野に特化したAIエージェントを複数用意し、上に挙げたようなタスクをAIエージェントで支援・自動化することを実現しようとしています。実際に2025/12/18現在、GitLab.com の GitLab Duo Agent Platform には、Security Analyst や Plannerといった専門的AIエージェントが利用できる状況になっています。
参考 : Foundational agents | GitLab Docs
- GitLab Duo Agent Platform における Agent とは、ソフトウェア開発プロセス内における特定の領域に特化した機能を持った、専門的AIエージェントです。
- GitLab Duo Agent Platform とは、この専門的AIエージェントの集合体です。
- 2025/12/18現在、GitLab.com の GitLab Duo Agent Platform には、実際に公式がリリースしている専門的AIエージェントとして、Security Analyst や Planner などがあります。
GitLab Duo Agent Platform とその Agent をレストランに例える
まだ、GitLab Duo Agent Platformを概念レベルでも理解しにくい・・・という方、お気持ち大変よくわかります。なぜなら筆者がそうだったからです。
そんな方のために、唐突ではありますが 架空のレストラン を例に考えてみましょう。
あるところに小さいレストランがオープンしました。
このレストランには、経営者、ホール担当者、キッチン担当者がそれぞれ1名います。彼らのタスクは以下の通りであるとします。
| 働く人 | タスク |
|---|---|
| 経営者 (1人) | お金の管理、受発注の処理、広報、安全管理や衛生管理のチェック、法規制対応 |
| ホール担当者 (1人) | お客様のご案内、オーダーをとる、食事や食器の配膳、フロアの掃除、開店/閉店の対応 |
| キッチン担当者 (1人) | 食材の在庫管理、調理器具のメンテナンス、調理と盛り付け、翌日の仕込み |
オープンしてから半年後、レストランにはお客様がたくさん来るようになり、仕事の量が増えました。
そこで、人を増やして業務を分担することにしました。
| 働く人 | タスク |
|---|---|
| 経営者 (3人) | Aさんはお金の管理、受発注の処理を担当。 Bさんは安全管理や衛生管理のチェック、法規制対応を担当。 Cさんは広報を担当。 |
| ホール担当者 (2人) | Dさんはお客様のご案内、オーダーをとる、食事や食器の配膳を担当。 Eさんはフロアの掃除、開店/閉店を担当。 |
| キッチン担当者 (3人) | Fさんは食材の在庫管理、調理と盛り付けを担当。 Gさんは調理器具のメンテナンスを担当。 Hさんは翌日の仕込みを担当。 |
特に、Bさん、Cさん、Gさんには以下のような専門的な知識や業務経験があるので、そのタスクの専任としました。
- Bさんは食品衛生法の順守や防火対象物使用開始届の提出など、飲食店における法令順守に詳しい人です。
- Cさんは飲食店における情報発信の経験がある人です。地方情報誌やレビューサイトに使う見栄えのする写真の撮り方からSNSの運用まで、集客に直結する広報のナレッジを持っています。
- Gさんはお鍋や包丁といった調理器具にとどまらず、業務用の冷蔵庫やフライヤーといった飲食店ならではの調理器具に詳しい方です。
このレストランをGitLabに置き換えると以下のようなイメージとなります。(これはあくまで概念的な理解を補助するための例で、厳密に置き換えられていない箇所もあります。なにとぞご容赦ください。)
| レストラン側の要素 | GitLabに置きかえた場合の用語や解説 |
|---|---|
| レストラン本体 (厨房などの施設を含む) | GitLab。ソフトウェア開発に必要な様々な機能を提供する統合プラットフォーム。 |
| B, C, Gさん | GitLab Duo Agent Platform の Agent (人間ではない) 。ソフトウェア開発工程の特定の領域に関する専門的知識を持ち、状況を判断して最適な対応をする自動化された仕組み。例えば、セキュリティ分析と修正に特化したエージェントなど。 |
| Aさん | 開発プロジェクトの全体の意思決定者。プロジェクト管理や人員管理を行う。AIエージェント (B, C, Gさん) による専門的支援を受けながら、それらに対して最終判断と決定を行う。 |
| D, E, Fさん | 開発チームのメンバー。GitLabを使って実際にソフトウェア開発をすることが主たる業務。AIエージェント (B, C, Gさん) による専門的支援を受けながら、それらに対して最終判断と決定を行う。 |
| お客様 | 開発プロジェクトにおける課題、脆弱性、要望などのタスク (やること) 。 |
いかがでしょうか。ここではGitLab Duo Agent Platform の Agent を概念的に理解するためにレストランの例を挙げました。
レストランの例の場合は法務・広報・業務用調理器具のメンテナンスという専門知識を持つ "人" (B, C, Gさん) を雇い、結果的にほかのメンバーのタスク負荷の軽減に寄与しました。GitLab Duo Agent PlatformであればAIエージェントがそれを代行するので、その専門分野について開発メンバーが代わりに調査したり、新たに人を雇う必要はありません。(ただし、あくまでAIエージェントによる遂行のため、最終的にはA, D, E, Fさんのような人間が実装するかしないかの判断をする必要がある点は注意が必要です。)
このように、様々な専門分野に特化したAIエージェントを取り揃えたプラットフォームが、GitLab Duo Agent Platform なのです。
GitLab Duo Agent Platformはソフトウェア開発工程の特定の分野に特化したAIエージェントを取り揃えることで、汎用的なAIチャットと比較してより精度の高い支援が可能です。また、GitLabはリポジトリ以外にイシューやマージリクエストのコメント等、様々なデータを一元的に保持しているため、AIエージェントが利用するコンテキストを都度投入する必要がないことも大きなメリットです。このレストランの例はかなり大雑把な内容でしたが、このようにAIエージェントの概念を知っているだけでも、自社のGitLab運用でAIエージェントを効果的に利用する方法を検討しやすくなるかと存じます。
最後に
この度は 世界一簡単かもしれない、GitLab Duo Agent PlatformにおけるAgentの概念的説明 お読みいただき、誠にありがとうございます。
このブログの目標は以下のとおりでしたが、皆さまはいかがでしたでしょうか。
- GitLab Duo Agent Platform の Agent とは何か、概念的に把握する。
IT業界において複数の異なる意味を持つ用語はたくさんあるのですが、その中でも今回取り上げた GitLab Duo Agent Platform のようないわゆるLLM "エージェント" は誤解を招きやすい表現となっていると存じます。
筆者は通常、ドキュメントや技術的な根拠に裏付けされていない情報は技術ブログに書かないのですが、自分自身が苦労したという経緯もあり、今回のように概念的な説明だけの記事を書くに至りました。
この記事が、GitLab Duo Agent Platform の Agent の概念を理解する一助となれば幸いにございます。