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【現地から速報】NVIDIA GTC 2026 キーノートまとめ【予想の答え合わせ】

こんにちは、ネットワールドの海野です。

前回前々回で、NVIDIA GTC 2026 の事前予習とキーノート予想を書いていました。

そして現地時間 2026年3月16日、SAP Center で NVIDIA CEO ジェンスン・フアンのキーノートを見てきました。

会場はとにかく寒かったのですが、中身はかなり熱かったです。そして外も暑い…!(サンノゼは熱波で30℃弱ぐらい)

キーノート待機 11:00開演なのに7:00到着でこれ

今回は速報版ということで、まずはキーノート全体の流れをざっくり整理しつつ、3月12日と3月13日に書いた事前記事がどこまで当たっていたのかも含めてまとめてみます。

なお、この記事は速報ということで、個別製品の細かい仕様や数字は今後 NVIDIA のブログや公式資料を追いながら別記事で解説していこうと思います。

また、現地で見てきた内容については、2026年3月27日(金)の 15:00 から 16:00 に開催予定のネットワールド Web セミナーでもご紹介する予定です。GTC の内容を効率よく追いたい方はぜひこちらもご覧ください。

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まず結論…!

今回のキーノートをひとことで言うと、やはり主役は「学習」より「推論」でした。

しかも単に「推論が大事です」という話ではなく、AI Factory、AI Native、トークン生成、長文脈、エージェント実行基盤、そしてそれを支える CPU / GPU / LPU / ストレージ / ネットワークまでを、ひとつの大きな物語としてつないで提示する構成だったと感じます。

そのうえで個人的に今回特に印象に残ったポイントは次の4つです。

  • 導入は DLSS 5 と CUDA の歴史から入りつつ、AI 全体スタックの話へ
  • 今年のテーマは明確に「AI Native」「推論」「トークン工場」である
  • Vera Rubin と Groq 3 LPU、さらにその先の Feynman まで含めて、次世代 AI インフラの風呂敷を広げてきた!(NVIDIAならちゃんと畳めると思う)
  • OpenClaw / NemoClaw の流れで、AI エージェントの実行基盤を本気で取りにきている感じが強かった🦞

3月12日・3月13日の予想をざっくり答え合わせ

まずは、自分で書いた事前記事の答え合わせからです。

トピック 判定 事前記事 ひとこと
DLSS 5 / CUDA の歴史 / ゲームのハード会社っぽい導入 3/12 NVIDIA らしい入り方ではありましたが、DLSS 5 スタートまでは読めていませんでした。ゲームハード会社っぽくて最高でした。
非構造化データ / クエリ / クラウド各社 / データ基盤 3/12 「単体 GPU ではなく AI スタック全体として捉えましょう」という見解はかなり当たりだったと思います。
AI Native / 学習より推論 / トークン工場 3/12 ここはかなり当てにいけていました。今回のテーマそのものだったと言ってよさそうです。
Groq / LPU / 低遅延推論 3/12 超高速推論です!LPUです!
Vera Rubin / CPU / 光接続 / 次世代インフラ 3/13 ハードの山場としてまあ妥当だったと思いますが、ケーブルレスって聞くとやっぱやべえなと思いました。
Feynman チラ見せ 3/13 ここはかなり明確に当たりでした。次の世代までどう匂わせるか、という見方は悪くなかったです。
Omniverse / デジタルツイン 3/12 トピックとしては予測していましたが、当日の熱量は推論や Vera Rubin ほどではありませんでした。
OpenClaw / NemoClaw / エージェント実行基盤 / Space-1 3/12 やっぱり NemoClaw きましたね!あと、宇宙はわからんて。
Nemotron / NIM / 実運用の実行層 3/13 雰囲気はよかったのですが、主役感は Rubin や Feynman より一段控えめでした。
AI PC 本格化 × 3/13 ここは今回の思い切り外しポイントです。

ということで、全体としては 3月12日の「広く捉える記事」と、3月13日の「キーノート予想記事」は、それなりにうまくつながっていたと思います。

一方で、AI PC のように広げすぎたトピックもありましたし、逆に OpenClaw / NemoClaw がここまで前に出てくるのは、実際に現地で体感しないと温度感まではわからなかったですね。

導入は DLSS 5 から。でも本題はそこではなかった

今回のキーノートは、いきなり AI Factory 全開という感じではなく、まずは GeForce と CUDA の歴史、そして DLSS 5 の話から始まりました。

俺たちの革ジャン「ジェンスン・フアン」CEO

最初の空気としてはかなり「ゲーム会社っぽい」感じで、個人的にも「あ、これいい入り方だな」と思いました。NVIDIA らしいと言えばかなり NVIDIA らしいですよね。

ただ、ここは単なるゲーム向けアピールではなくて、GeForce が CUDA を世に広げ、CUDA が AI ライフサイクル全体を支える基盤になり、その延長でいまの NVIDIA がある、という流れを見せるための前置きだったように感じます。

つまり、DLSS 5 は導入としてかなり象徴的でしたが、今回のテーマはやはりその先にありました。

今年の GTC はやはり「学習より推論」だった

今回いちばん「やっぱりそうだよね」と感じたのは、推論が完全に主役だったことです。

事前記事でも「学習より推論」「AI Factory」「Tokens/Watt」といった話を書いていましたが、実際のキーノートでも、トークン生成を新しい計算単位として見る世界観がかなり明確に出ていました。

データセンターを「ファイルを置く場所」として見るのではなく、「トークンを製造する場所」として捉える感覚です。

この立場でお話ししますと、なぜ CPU・GPU・LPU・ストレージ・ネットワーク・電力・冷却まで含めて話がつながるのかがかなりわかりやすくなります。単に大きいモデルを学習させる話ではなく、賢いモデルをいかに現実的なコストとレイテンシで回すか、という話に完全に軸が移っているからです。

また、キーノートでは Google Cloud、AWS、Microsoft Azure、Oracle Cloud といったクラウド各社や、データ処理基盤の話も自然に出てきました。ここも含めて、3月12日に書いた「単体 GPU の会社としてだけ NVIDIA を見てもあんまり意味がないのでは…」という意見は、まあまあ芯を食っていたと思っています。

「AI Native」という言葉がかなりしっくりきた

今回、個人的にかなり印象に残った言葉が「AI Native」でした。

これは単に新しい流行語がひとつ増えた、という感じではありません。最初から AI が前提にある会社、最初から推論とエージェントが前提にあるソフトウェア、最初からトークン生成コストで勝負するインフラ、そういう世界にかなり本気で舵を切っているのだな、という感覚が強くありました。

それに、Claude Code や Codex や Cursor のような話題に自然と反応してしまうあたり、いまの開発や知識労働の現場は、もう完全にその方向へ進み始めていますよね。

「これがないともう仕事にならないよね」という感覚は、かなり多くの人が共有し始めている気がします。

Groq、Vera Rubin、そしてその先の Feynman まで見せてきた

ハードウェア側で特に強かったのは、やはり Vera Rubin でした。

Vera Rubin

公式の整理でも、Vera Rubin は GPU だけの話ではなく、Vera CPU、Groq 3 LPU、BlueField-4 STX、Spectrum-6 SPX まで含む、かなり大きなプラットフォームとして位置付けられています。

ここが面白いのは、単に「次の GPU が出ます」という話ではなく、AI Factory を構成する部品をどう極端に共同設計していくか、という思想が前面に出ていたことです。

特に Groq 3 LPU の扱いは印象的でした。低遅延推論や長文脈の需要に対して、LPU を Rubin と一緒に見せてきたのはかなり象徴的です。事前に Groq まわりを気にしていたのは、やはり間違っていなかったなと思いました。

それから、3月13日にかなり気にしていた Feynman ですが、ここも実際にチラ見せがありました。しかも単に名前だけを出すのではなく、その先の世代をどう見ているのか、というロードマップの読み筋としてつながっていたので、このあたりはかなり当たった感はあります。

一方で、今回の見せ方は製品の詳細よりも、次の AI インフラ全体像をどう語るかにポイントがあったようにも感じました。なので、速報としてはかなり興奮しましたが、細部はブログや資料などを見てより詳しい内容をご紹介できればと思います。

OpenClaw / NemoClaw がかなり前に出てきた🦞

今回のキーノートで、予想以上に存在感があったのが OpenClaw まわりです。

NemoClaw🦞

事前記事でも Agentic Systems や NeMo、NIM、Run:ai のような実行基盤側の話はかなり重要だと書きましたが、今回はさらに一歩進んで、AI エージェントをどう安全に、長く、実務で動かすのか、という話がかなり具体的に前へ出てきました。

特に NemoClaw for OpenClaw のインパクトは抜群だったと思います。

要するに、エージェントを単に「賢いチャット」として見せるのではなく、ちゃんとポリシー、ネットワーク制御、プライバシー、実行基盤まで含めて企業で回すものとして見せ始めた、ということですよね。

OpenClaw はセキュリティやポリシー、ガバナンスが弱点と X でもさんざん言われていますが、それを NVIDIA が面倒を見る(=使えるようにメンテナンスする)ということだと解釈しました。

これイマドキの AI エージェントが最終的にどこへ行き着くのか、という問いに対する NVIDIA なりの答えがかなり見えてきた気がします。

ちなみに、ここで Claude Code や OpenClaw のような名前が普通に前提として出てくる空気も、NVIDIAやべえスピード感でやってるなと思いました。(Claude Codeはだいぶ前からありましたが…。)

Omniverse、Physical AI、そして Space-1

もちろん、今回のキーノートは推論インフラの話だけで終わったわけではありません。

Omniverse やデジタルツイン、Physical AI の流れもしっかり入っていましたし、最後のデモまで含めて「AI がデータセンターの中だけで完結しない」という方向性もかなり明確でした。

さらに Space-1 のように、AI 計算基盤を宇宙にまで拡張する話まで出てきたのは、さすがにちょっと笑ってしまいました。いや、そこまで行くのかと。

でもまあ、StarLink などでも当たり前ですし、そりゃそうだな感もあります。

ただ、個人的な体感としては、今回いちばん強く刺さったのはやはり推論、Vera Rubin、Groq、Feynman、OpenClaw あたりで、Omniverse や Physical AI は「NVIDIA の全体像としては重要だけど、今日の主役はそこだけではない」という立ち位置だったように感じています。

今回のキーノートをひとことで言うなら

今回の GTC 2026 キーノートをひとことでまとめるなら、

「NVIDIA は、AI を動かす会社から、AI が継続的に働くためのインフラ全体を設計する会社として、さらに一段前へ出てきた」

ということなのかなと思います。

3月12日の記事で書いた「AI Factory」、3月13日の記事で書いた「キーノートは何を主語にして全体を束ねるのか」という見方は、今回かなりそのまま使えました。

実際、今回の主語は GPU 単体でも、単体モデルでもありませんでした。

推論、AI Native、トークン生成、エージェント実行基盤、Physical AI、それら全部をつなぐ AI Factory だったのだと思います。

まとめ

速報ベースで振り返ると、今回の GTC 2026 キーノートは次のようになります。

  • 導入は DLSS 5 と CUDA の歴史で NVIDIA の原点を見せた
  • 本題はかなり明確に「学習より推論」「AI Native」「トークン工場」だった
  • Vera Rubin、Groq 3 LPU、Feynman まで見せて、次世代 AI インフラの絵をかなり大きく描いた
  • OpenClaw / NemoClaw で、AI エージェントの実行基盤を本気で押し出してきた
  • Omniverse、Physical AI、Space-1 まで含めて、AI を現実世界とその外側へ広げる物語も継続していた

ということで、3月12日と3月13日に書いた予想記事は、完全に当たり切ったわけではないですが、少なくとも「どこを見れば今年のキーノートの意味がつかみやすいか」という視点は、それなりにうまく置けていたのではないかなと思います。

このあと、個別の発表内容についてはもう少し落ち着いて整理していきます。特に Vera Rubin、Groq まわり、OpenClaw / NemoClaw、そして Physical AI 系はフィードバックセミナーまでに深掘りしたいと思っています。

まずは速報版として、このあたりで。

あとがき

予想ブログを事前に書いておくと、キーノートがすらすら頭に入ってきておもしろいです。

参考リンク