皆様、こんにちは。ネットワールド 西日本技術部 杉本です。
Citrix NetScaler VPXをNutanix AHV上で稼働する場合、14.1 build 51.x 以前はKVM版のみが提供されていましたが、同ビルド以降でAHV版が正式にリリースされました。
新規の場合は初めからAHV版をデプロイすればよいですが、既存でKVM版を利用されている場合はAHV版へのアップグレードが必要となります。
その際、既存バージョンによっては通常のインプレースアップグレードとは異なり、特定バージョンを経由したアップグレード作業が必要となるため、流れおよび手順をご説明いたします。
※インプレースアップグレード以外にHA構成でのノードバイノード置き換えも可能ですが、本記事では記載しておりません。
- AHV版へアップグレードする前提条件
- 作業前準備
- 1.アップグレード作業 (KVM版→AHV版への中継バージョンへのアップグレード)
- 2.アップグレード作業 (KVM版→AHV版へのアップグレード)
- 免責事項
AHV版へアップグレードする前提条件
① バージョン要件
現在のバージョンが「14.1 build 56.74」以降であること
→本記事では、「14.1 build 56.74」未満のバージョンを利用している環境を対象に、「14.1 build 56.74」経由でAHV版へ移行する手順を記載します。
② リソース要件
割り当てvCPU 1つ当たり2GB以上のメモリが割り当てられていること
例:4 vCPUの場合は最低8GBのメモリが必要となります。
→この条件を満たしていないと起動時にエラーとなる可能性があります。
③ Nutanix AHV向けNetScaler VPXの機能制約
AHV版NetScaler VPXでは、一部非対応機能・制限事項があります。
「今の構成、本当にAHV版で大丈夫?」を事前に必ずチェックしておくことも鉄則です。
Unsupported features and limitations
Install NetScaler VPX on Nutanix Acropolis hypervisor
※最新情報を確認するため、必ず英語版のページでご確認ください。
作業前準備
・VMスナップショットの取得(必須)
アップグレード前には必ずVMスナップショットを取得してください。
万一、設定が失われた場合や起動できなくなった場合のロールバック手段として必須です。
・カスタマイズファイルのバックアップ
アップグレード時にはカスタムファイルなどの独自設定を行っている場合には注意が必要です。
必要に応じて外部にバックアップを行い、アップグレード後に復元できるようにしておいてください。
Upgrade considerations for customized configuration files in the /etc directory
また、以下のファイルは内容が保持されますが、移行前と同じように動作しない場合があるため、変更を行っている場合はご注意ください。
rc.netscaler
nsbefore.sh
nsafter.sh
crontab
1.アップグレード作業
(KVM版→AHV版への中継バージョンへのアップグレード)
既存バージョンからAHV版へのアップグレードするための最低バージョンである「14.1 build 56.74」へインプレースアップグレードを実施します。
ファイル名:build-14.1-56.74_nc_64.tgz
ファイル名が「nc」は通常版、「lx」はAHV版のため、まずは通常版(KVM版)のままでアップグレードを行います。
もし、AHV版を使ってアップグレードしようとしても以下のようにエラーとなり、アップグレードが実施されないため、間違った場合は正しいファイルを指定して再度アップグレードを実施すれば、正常に進行します。

正しいファイルを利用してアップグレードした場合は以下のようアップグレードが進みます。
アップグレード完了後には再起動を求められるため、再起動を実施します。


アップグレードが正常に完了したらこの時点で以下の点を確認し、できれば業務確認も合わせて実施します。
・NetScalerの稼働バージョンが想定どおりのバージョン(14.1 56.74.nc)か
・仮想サーバ(vServer)のステータスが正常にUPしているか
・SSL証明書・ポリシー・設定などが正しく反映されているか
2.アップグレード作業
(KVM版→AHV版へのアップグレード)
前述の「① バージョン要件」を満たしたため、AHV版へのアップグレードが可能となります。
まずはAHV版の最新バージョンをCitrix サイトからダウンロードします。
その際、AHV版は専用ファームウェアとなるため、ダウンロードする際も間違わないようにご注意ください。
ファイル名:build-14.1-66.59_lx_64.tgz (2026年3月末時点)

この際も間違って通常版(nc)を使ってアップグレードを行おうとすると以下のエラーとなるため、正しいファイルを指定して再度アップグレードを実施すれば、正常に進行します。

正しいファイルを利用してアップグレードした場合は以下のようアップグレードが進みます。
その際、通常のアップグレードとは異なり、以下の2点を確認されるため、内容を確認して「y」でアップグレードを進めます。
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注記:NetScalerのオペレーティングシステムはFreeBSDからLinuxに切り替わります。
注意:ディスクは再パーティション化され、NetScaler以外のデータは失われます。また、すべてのセカンダリディスクはフォーマットされ、再パーティション化されます。
- NetScalerは、NetScaler構成ファイル(/flash/nsconfig)、NetScalerログ、および実行中のインストーラーファイルを保持します。
- NetScalerのアップグレードには、アップグレード中に複数回の再起動が必要です。
- rc.netscaler、nsbefore.sh、nsafter.sh、またはnsconfigフォルダ内のcrontabに対して行ったカスタマイズ(保持されます)は、アップグレード後に機能しなくなる可能性があります。これらのカスタマイズを行った場合は、Citrixサポートにお問い合わせください。
- テクニカルサポートバンドルは、アップグレード後に収集され、保持されます。
~中略~
アップグレードを続行しますか? [y/n]:
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注意:NetScaler以外のデータはすべて失われます。
NetScalerの設定やその他のデータのバックアップを取りたい場合は、インストーラーを終了してください。インストーラーは後で再度起動できます。
注:NetScalerの設定は保持されますが、NetScalerのアップグレード前に設定の外部バックアップを取ることを強くお勧めします。
アップグレードを続行しますか? [y/n]
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エラーなくアップグレード完了後には再起動を求められるため、再起動を実施します。

あとは先ほどと同じように稼働バージョンや仮想サーバの状態を含めて業務確認ができれば完了となります。
以降のバージョンは通常通りAHV版のファームウェアを使ってアップグレードを行えば問題ありません。
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