株式会社ネットワールドのエンジニアがお届けする技術情報ブログです。
各製品のエキスパートたちが旬なトピックをご紹介します。

【Citrix】XenServer 9リリース!Host Secure Bootとライブマイグレーションを試してみる①

目次

1.はじめに

初めまして、ネットワールド西日本技術部Citrix担当の松本です。
XenServer 9では、Host Secure Boot対応、NUMA最適化、Driver Multi-Versioning、最新のXen HypervisorおよびDom0カーネルへの更新など、セキュリティ・性能・運用性を中心とした多くの強化が実施されました。また、ライセンス体系もLAS(License Activation Service)を利用した方式へ移行しています。
今回は実際に検証環境を構築した際の手順を記載していきます。

2.XenServer 9 リリース

2026年6月29日、Citrixより最新のサーバ仮想化プラットフォーム XenServer 9 がリリースされました。

公式ドキュメント:docs.xenserver.com

 XenServer 9 の主な新機能
  • Host Secure Boot対応
    ホストレベルでSecure Bootをサポートし、起動時の信頼性とセキュリティを強化
  • NUMA最適化
    VMのvCPUとメモリを最適配置することで、大規模サーバでの性能向上を実現
  • Driver Multi-Versioning
    複数バージョンのドライバー管理に対応し、運用時の柔軟性を向上
  • Predictable Network Interface Naming
    Dom0のネットワークインターフェース命名方式を改善し、運用・自動化を容易化
  • Xen Hypervisor 4.21採用
    XenServerの基盤となるオープンソースハイパーバイザー「Xen Hypervisor」を4.21へ更新し、基盤性能と安定性を向上
  • Dom0 Kernel Linux 6.6採用
    管理ドメインのLinuxカーネルを刷新し、ハードウェア対応力を強化
    Dom0は、XenServerホスト上で動作する特権管理ドメインであり、仮想マシン管理やストレージ・ネットワーク制御など、ハイパーバイザーの運用を担う重要なコンポーネントです。
  • ストリーム型アップデートモデル
    従来の大型アップグレード中心から継続的な機能提供モデルへ移行 
  • LAS(License Activation Service)対応強化
    ファイルライセンス方式からLASベースのライセンス管理へ移行

※※※導入前に必ずCompatibility Guideのご確認をお願いします。※※※

hcl.xenserver.com

新しいバージョンへ移行する際は、以下の確認を推奨します。

  • サーバハードウェア
  • NIC
  • HBA
  • GPU
  • ゲストOS
  • Citrix Virtual Apps and Desktopsの対応状況

事前に互換性を確認しないと、アップグレード後に利用できないデバイスや機能が発生する可能性があります。

※本ブログでの検証は機材の関係上Proxmox上にXenServerを構築するネスト環境となっておりますが、サポートされない環境での検証であることをご了承ください。

3.XenServerとライセンス体系

XenServer とは

XenServerは、現在Citrixが提供するハイパーバイザー製品ですが、そのルーツは1999年にケンブリッジ大学で始まった「Xen Project」まで遡ります。準仮想化(Paravirtualization)という当時としては革新的な技術を採用したことで注目を集めました。

2017年に「Citrix Hypervisor」へ名称変更したものの、2024年に再び「XenServer」へ名称が戻されました。現在はCitrix Virtual Apps and DesktopsやCitrix DaaSを支える仮想化基盤としてだけでなく、一般的なサーバ仮想化基盤としても位置付けられています。

XenServer ライセンス体系

ライセンス体系に関して、以前はハイパーバイザー単体として販売されていましたが、現在はCitrix製品群に含まれる形でも利用できるようになっています。

具体的には以下のライセンスにXenServer Premium(1万ソケット分)の権利が含まれています。(2026年7月時点のCitrix公開情報に基づきます。)
※昨年より単体でのライセンス購入も可能で、 ソケット単位での販売となります

  • Citrix for Private Cloud (CPC)
  • Citrix Universal Hybrid Multi-Cloud (HMC)

そのため、「すでにCVAD環境で上記のライセンスを所有している」というお客様であれば、追加費用なしでXenServerを利用できます。 
また、XenServer 9では従来のライセンスファイル方式が終了し、CVAD環境と同様にLAS(License Activation Service)を利用したライセンス管理へ移行しています。

4.XenServer 9 のインストール

今回の検証では、XenServer 9の新機能であるHost Secure Bootとライブマイグレーションの動作確認を目的として環境を構築します。本来、XenServerは物理サーバへ直接インストールして利用するベアメタル型のハイパーバイザーですが、検証機材の都合上、今回はProxmox上にXenServer 9を構築するネスト環境で検証を行います。

今回の構成は以下の通りです。

 Proxmox VE
 ├ XenServer 9(xen1) 
 ├ XenServer 9(xen2)
 └ Windows Server 2025 ※Pool上に作成

XenServer 9 インストールメディアの入手

まずはXenServer公式サイトからインストールISOおよびXenCenterインストーラー、VM Toolsをダウンロードします。www.xenserver.comなお、インストール前には以下の確認を推奨します。

  • サーバがUEFIに対応していること
  • Host Secure Boot利用予定の場合はサポート状況を確認すること
  • HCL(Hardware Compatibility List)の確認
  • 利用予定のNIC、HBA、GPUの対応状況確認
XenServerのインストール

ネスト環境で利用する場合は、CPU仮想化支援機能(Intel VT-x / AMD-V)をゲストOSへ公開する必要があるため、Proxmox側ではCPUタイプを「host」として作成しました。

また、後続に作成するWindows Server 2025を動作させるため、多少の余裕を持たせています。

 

マシンへISOをマウントし、起動します。
インストーラー自体は非常にシンプルで、ウィザード形式で進めることができます。

キーマップを選択し、「OK」を選択します。

EUAに同意し、「Accept EUA」を選択します。

XenServerをインストールするディスクを選択し、「OK」を選択します。

シンプロビジョニングにチェックを入れ、「OK」を選択します。

※インストール時にシンプロビジョニングを有効化していますが、本検証では共有iSCSIディスク領域(Storage Repository)を利用するため、実際のVM配置先でシンプロビジョニングは利用できません。

仮想マシンを配置するディスクを選択し、「OK」を選択します。

XenServerをクラスタ構成にし、ライブマイグレーションを行うため本検証では仮想マシンを格納するディスク領域(Storage Repository)は共有ストレージを利用します。そのため、この時点ではローカルディスクを仮で指定しておきます。

XenServerのインストール元(今回はLocal media)を選択し、「OK」を選択します。

メディアをチェックするか確認されるので、「Verify installation source」を選択し、「OK」を選択します。

チェックに問題なければ、「OK」を選択します。

XenServerのrootアカウントに設定する任意のパスワードを入力し、「OK」を選択します。

XenServerのネットワーク情報を入力し、「OK」をクリックします。

ホスト名およびDNSサーバの情報を入力し、「OK」を選択します。

タイムゾーン(エリア)を選択し、「OK」を選択します。

タイムゾーン(都市)を選択し、「OK」を選択します。

 

インストール内容を確認し、設定内容に問題がなければ「Install XenServer」を選択します。

※インストールは環境にもよりますが、本検証では5-10分程度で終わりました。

インストールが進むとSupplemental Packsをインストールするかの確認は、「NO」を選択します。

※Supplemental Packsとは、ハードウェアの追加ドライバや特殊な管理機能を追加して、XenServer ホストの機能を拡張するパッケージです。

インストールが完了しましたら、「OK」を選択して再起動します。

再起動後、管理コンソールの画面が表示されます。

インストール完了後は管理コンソールの画面が表示されます。
まず以下の項目を確認しておきます。

  • 管理IPアドレス
  • ホスト名
  • DNS設定
  • デフォルトゲートウェイ

この情報は後ほどXenCenterから接続する際に使用します。

またXenServer 9からSSH接続がデフォルトでは許可されていないため、必要に応じて設定変更が必要になります。

コンソール画面より「Remote Service Configuration」を選択します。

「Enable/Disable/Auto Remote Shell」を選択します。

認証情報が求められるため、rootアカウント名とパスワードを入力しEnterを押下します。

「Enable」を選択し、Enterを押下します。

2号機側も同様にセットアップを行います。

5.XenCenterのインストール

XenServerのインストール後、管理ツールであるXenCenterからホストへ接続します。
XenCenterを利用することで、仮想マシンの作成やストレージ管理、ライブマイグレーション、ライセンス管理などをGUIから簡単に実施できます。

XenCenterからXenServerの管理を行うため、管理端末とXenServerホスト間でTCP 443(HTTPS)による通信が必要です。また、SSHによる管理を行う場合はTCP 22の許可も必要となります。なお、Windows VMへのコンソール接続もRDPとなるため仮想マシンへのTCP 3389の許可も必要となります。

細かい通信要件については下記リンク先よりご確認ください。

docs.xenserver.com

XenCenterのインストール

インストーラーを実行し、「Next」をクリックします。

インストール先および利用ユーザ(All Users=インストールしたPCを利用する全ユーザ、Just Me=インストールに利用したユーザのみ)を選択し、「Next」をクリックします。

「Install」をクリックします。

「Finish」をクリックし、インストールを終了します。

6.XenCenterへのサーバ登録およびPool作成

今回2台のXenServerホストを構築し、後続でライブマイグレーションを検証するため、Pool構成を作成していきます。

「Add New Server」をクリックします。

接続先のホスト情報を入力し、「Add」をクリックしてXenServerへ接続します。

接続が成功すると、左ペインにサーバが表示されます。

同様の手順で2台目のXenServerも登録します。
※ライセンスがトライアル版のため、XenServerアイコン上に警告マークが表示されます。

2台のXenServerが接続された状態となります。

この時点では以下の様に独立したサーバ構成になっています。

 Servers
 ├ xen1
 └ xen2

Poolとは

Poolとは、複数のXenServerホストを1つの仮想化基盤として管理する機能です。

Poolを構成することで、

  • ライブマイグレーション(XenMotion)
  • ホストメンテナンス
  • リソースの一元管理
  • 高可用性(HA)

などの機能を利用できるようになります。

特に今回検証するライブマイグレーションはPool構成が前提となります。

※新規インストールの場合、Pool設定でのTCP port 80がデフォルトで制限されるようになったためご注意ください。

Pool作成

「New Pool」をクリックします。

任意のPool名を指定し、「Next」をクリックします。

Coordinator(Master)となるサーバを指定し、Poolに含めるサーバを指定して「Next」をクリックします。

今回は xen1 をMasterとして構成しています。

※今回は事前にxen2を「Add New Server」から追加しているため自動的に表示されていますが、この画面の「Add New Server」からサーバを追加することも可能です。もちろんPool作成後に追加することも可能です。

Pre-checksで問題ない場合、「Next」をクリックします。

Poolの作成が正常に完了したことを確認し、「Finish」をクリックします。

Pool作成後、以下のような構成になります。

 xen9-pool
 ├ xen1(Master)
 └ xen2

Pool作成直後は左ペインに「×」と表示されますが、数分経つと正常な表示となります。

正常に表示された状態。※警告マークはライセンスがトライアル版のため表示されます。
Pool作成時の注意点

Poolを構成する際は、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 同一バージョンのXenServer
  • CPUの互換性
  • 管理ネットワークの疎通
  • NTP時刻同期

また、ライブマイグレーションを利用する場合は、後続で設定するStorage Repository(SR)が必要になります。

そのため今回の環境では、次章でiSCSIストレージを共有SRとして登録していきます。

 

7.XenCenterへのSR登録

Poolの構成が完了したので、続いて仮想マシンを格納するためのストレージを登録します。
XenServerではストレージを SR(Storage Repository) と呼び、仮想マシンのディスクやISOイメージを管理します。

今回は以下の2種類のストレージを構成しました。

共有ストレージ
├ iSCSI LUN
│ └ VM格納用SR
└ SMB共有
└ ISO Library
 

仮想マシンの格納先とインストールメディアの保管先を分離することで、本番環境に近い構成を再現しています。

 

VM格納用 iSCSI SR の登録

まずは仮想マシンの配置先となる共有ストレージを登録します。
今回は外部ストレージ上に作成したiSCSI LUNを利用しました。

XenServerまたはPoolを右クリックし、「New SR」をクリックします。

「iSCSI」を選択し、「Next」をクリックします。

 

ディスク名を指定し、「Next」をクリックします。

「Next」をクリックします。

※LVM over iSCSI SRでは、XenServer側のThin Provisioningは利用できないため、Full provisioningが選択されています。ストレージ側のThin Provisioningとは別の扱いになります。

 

ターゲットホスト名もしくはIPを指定し、「Scan Target Host」をクリックします。

Target IQNが読み込まれるため、使用するTarget IQN 選択して「Finish」をクリックします。

今回の環境はSRを流用しているため、警告画面が表示されました。
上記のような警告が表示された場合、データを削除しても問題ない場合は「Format」をクリックし、LUN上のデータを全削除して新しいSRを作成します。

ディスクが追加されたことを確認します。

iSCSIのSRを追加すると自動的に仮想マシンのデフォルトの配置先がローカルディスクから共有ストレージに変更されます。(ディスクマークにチェックが入ります)

正常に接続できると、新しいSRが作成されます。

 Storage Repositories
 └ iSCSI virtual disk storage

このSRは、Pool内の複数ホストから参照できる共有ストレージとして構成されています。

後ほど実施するライブマイグレーションでは、移行元・移行先の両ホストから同じストレージへアクセスできる必要があるため、この共有SRが重要な役割を担います。

 

ISO格納用 SMB Library の登録

続いて、OSインストールメディアを管理するためのISO Libraryを登録します。

今回はSMB共有を利用しました。

先ほどと同様に「New SR」をクリックします。

Windows File Sharing(SMB/CIFS)を選択し、「Next」をクリックします。

任意のSR名を指定し、「Next」をクリックします。

共有フォルダのパスと認証情報を指定し、「Finish」をクリックします。

SRが作成されたことを確認します。

Storageタブより格納されたISOファイルが確認できます。

 

登録後は共有配下のISOファイルを直接利用できるようになります。

SMB ISO Library利用時の注意点

実際に利用してみて気付いた点として、XenCenterのISO Libraryはフォルダ階層には対応していません。

例えば、

 ISO
 ├ Microsoft
 │ ├ Windows2022.iso
 │ └ Windows2025.iso
 │
 └ Linux
 ├ Rocky.iso
 └ Ubuntu.iso

のようにサブフォルダへ格納している場合、XenCenterから階層を辿ることはできません。

そのため、

ISO
├ Windows2022.iso
├ Windows2025.iso
├ RockyLinux.iso
└ Ubuntu.iso
 
のように共有フォルダ直下へ配置する運用がおすすめです。

ISOの数が増える環境では、ファイル名に製品名やバージョンを含めることで管理しやすくなります。

 

ストレージ構成の確認

最終的に以下の構成となりました。

 xen9-pool
 ├ xen1
 ├ xen2
 │
 ├ iSCSI virtual disk storage
 │ └ 仮想マシン格納先
 │
 └ Windows Server 2025 ISO Library
 

これで仮想マシンを作成するためのストレージ基盤が整いました。

ライブマイグレーションのために共有iSCSIストレージを構成している点が、今回の検証環境のポイントです。

 

# 次回
今回はXenCenterでのPool作成、SR登録まで実施しました。次回はライセンスサーバの登録や仮想マシン作成などを実施していきます。

免責事項

  • 本書は、株式会社ネットワールド(以下 弊社)が作成・管理します。
  • 本書の記載内容の一部または全部を弊社に無断で改変・転載することを禁じます。
  • 本書の記載内容は、一部または全部が将来予告無く変更されることがあります。
  • 本書の利用は、利用者様の責任において行われるものとします。
  • 本書の記載内容には、最善の注意を払っておりますが、正確性・完全性を保証するものではありません。従いまして、本書の利用によって生じたあらゆる損害に関して、弊社は一切の責任を負いません。
 

▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼  

ネットワールドが開催する 年に一度の大イベント
【 Networld Wiz 2026 】お申込み受付中!!

本ブログでご紹介したメーカーもイベントへ出展します!

セッション & ブース出展情報 随時更新中
  ▼ぜひチェックしてください▼

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/n/networld-blog/20260714/20260714171749.png


networldwiz