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AWS上のリソースをAzureで管理? Azure Arc マルチクラウドコネクタ

みなさん、こんにちは。ネットワールドでSA(ソリューションアーキテクト)として活動している後藤です。

クラウドは当然のことながら皆さんお使いいただいていると思います。

一口に「クラウド」といっても、Microsoftが提供しているAzureやAmazon Web Services(AWS)、Google Cloudといったパブリッククラウド、オンプレミスのプライベートクラウド、サービスプロバイダーが提供するサービスプロバイダークラウドなど、色々あります。

最近ではデータ主権の文脈で「ソブリンクラウド」 というクラウドも登場しましたね。こちらは提供形態というよりは使い方や仕組み、構成を指しているといえますが、色々な「クラウド」が存在しているのはご理解いただけるかと思います。

この様々なクラウドを利用して企業内システムを構築すると、「このシステムはAzureの仮想マシン」「このシステムはAWSのEC2」「ここはコンテナー」等々、多種多様な構成で構築され、かつ、それぞれが管理ポータルを持っているので、システムの状態確認のためにそれぞれの管理ポータルにアクセスする……、という管理者にとっては苦行ともいえる状態に陥ってはいませんでしょうか?

「すべてのクラウドをシングルペインで管理」することを目指したソフトウェアやサービスは様々あるので、そういったサービスを利用するのも一つです。

Microsoftが提供するマルチクラウド管理ソリューションである「Azure Arc」も、そういったニーズに応えるべく登場したサービスで、オンプレミスにある仮想マシンや物理マシンとAzureを繋いで、Azureの各種サービスを利用して管理できるようにするサービスになっています。

Azureと接続するためには、管理対象の仮想マシン等に「Azure Connected Machine Agent」と呼ばれるエージェントを導入する必要があります。

こちらのエージェントはMicrosoftのサイトでダウンロード可能となっています。Windows Server 2025においては、Azure Arcの導入アプリが標準で搭載されており、数クリックでAzure ArcによるAzure接続が可能になっています。

画面1:Windows Server 2025では、Azure Arcが標準機能に

具体的に使えるサービスは? となると、一例をあげると監視サービスである「Azure Monitor」や、脅威保護とクラウド セキュリティ体制の管理を実施可能な「Defender for Cloud」あたりになります。Azureの仮想マシンと同じサービスでオンプレミスの仮想マシンを管理できるようになるのは、管理者にとって非常に大きなポイントではないでしょうか?

仮想マシン単位でAzure Arcに接続できるのはわかった。例えばAWS上の仮想マシン(EC2)を作成するたびに、仮想マシンに接続してAzure Connected Machine Agentをインストールしていくの? という、管理者の負担増加の懸念はまったくもってその通りでして、それを解消するための切り札が「マルチクラウドコネクタ」になります。

1:最初に注意事項とお願い

本記事は、筆者の知りうる公開情報と実機検証をもとに記述しています。

内容については、正確を期することを心がけていますが、万が一誤った記述があればご指摘いただけると幸いです。

また、Microsoftの公式見解が必要な場合は、Microsoftサポートまでお問い合わせいただけますよう、よろしくお願いします。

なお、執筆時点(2026年9月上旬)で、AzureポータルのAzure Arcのページの一部が、なぜか日本語ではなく英語で表示されてしまっています。

スクリーンショットはそういった環境で取得していますので、箇所によっては英語表示になってしまっている点をご了解いただければ幸いです。

2:マルチクラウドコネクタとは?

Azure Arcの「マルチクラウドコネクタ」は、個別の仮想マシンをAzure Connected Machine Agentでつなぐだけではなく、例えばAWSの管理プレーンにAzureから接続し、AWSのリソースを取得したり、EC2の仮想マシンやAmazon Elastic Kubernetes Service(EKS)のクラスターを自動的にAzure Arcに接続(オンボード)してくれたりする、非常に便利な機能となっています。

画面2:Azureポータルから見たAWSリソースとAWSポータル

画面2は、マルチクラウドコネクタでAWSに接続した後のAzureポータルの画面とAWSポータルの対比になりますが、AWSのインスタンス名と同じ名前のAzure Arcリソースが作成されていることが分かります。

これらのAzure Arcのリソースは「aws_(アカウントID)」の名前で自動作成されるリソースグループに配置されることになります。ですので、AWSのリソースであることがリソースグループ名から識別可能になっていますし、Azure Arcのリソースをみると、画面3のようにクラウドプロバイダーが「AWS」と一目でわかるようにもなっています。

画面3:Azureポータルから見たEC2リソース

リソースのリージョンは、AWSのリージョンを参照して最適なものに割り当てられるそうなんですが、ap-northeast-1(東京リージョン)のリソースなので東日本リージョンに割り当ててほしかったのですが、東南アジアリージョンが割り当たっています。東日本リージョンはマルチクラウドコネクタがサポートされていないため仕方ないのかな、という印象です(東南アジアリージョンはサポート)。

リージョンのマッピングはこちらのURLから確認可能です。

learn.microsoft.com

画面2をもう一度よく見ていただくと、Azureポータル側でEC2の他にもう一つリソースが表示されています。お気づきの方も多いと思いますが、EKSが表示されています。

EKSも自動的にAzure Arcにオンボードしてくれるのが、マルチクラウドコネクタのポイントですね。ちなみに、EKSの自動オンボードは執筆時点でプレビュー機能となっています。

EKSのAzure Arcリソースをみると画面4の感じになります。

画面4:Azureポータルから見たEKS

Kubernetesのバージョンなどの基礎的情報や、インフラとしてAWSを利用していることが確認できますね。

ほか、AWSのリソースをAzureポータルから参照することもできます。

見方は簡単で、「aws_(アカウント名)」のリソースグループを開き「非表示項目の表示」を選択します(画面5)。

画面5:非表示項目を表示すると、検出されたリソースがすべて表示される

非表示項目のリソースとしてIAMのアクセスキーとかも表示されてしまうので、取り扱い注意ですね。

これらは定期的にAzure側からクロールされ、検出されるとAzure Arcリソースを作成します。サポートされているリソースは以下のURLを確認してください。

learn.microsoft.com

なお、どのサービスを検出するかは、マルチクラウドコネクタの設定で変更可能になっています。

3:マルチクラウドコネクタに対応したパブリッククラウド

執筆時点では、AWS接続がGA(一般提供中)で、Google Cloudはプレビュー中となっています。

4:マルチクラウドコネクタでできること

マルチクラウドコネクタでAWSに接続すると、以下のようなことができます。

  • インベントリ収集
  • EC2 インスタンスのAzure Arcへの自動オンボード
  • EKSのAzure Arcへの自動オンボード(プレビュー)
  • ストレージ(S3)管理(データ読み取り)

マルチクラウドコネクタを設定すると、上記の4項目について情報取得ができているか、どの時点までできているかなどを確認することができます(画面6)。

画面6:マルチクラウドコネクタを設定すると、ステータスが表示される

Google Cloudの場合は「インベントリ収集」と「仮想マシンのAzure Arcへの自動オンボード」のみとなっています。

なお、Azure Arcに接続した後にEC2のインスタンスに対してできることや、EKSに対してできることについては、Azure Arc対応サーバーやAzure Arc対応k8sに準拠していますので、そちらをご確認ください。

learn.microsoft.com

learn.microsoft.com

5:まとめ

今回はAzure Arcのマルチクラウドコネクタの概要と、対応しているパブリッククラウド、マルチクラウドコネクタでできることを紹介しました。

次回は、マルチクラウドコネクタでAWSに接続する手順を紹介します。

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書いた人:後藤 諭史(Satoshi GOTO)

ソリューションアーキテクト部所属。

専門はWindows Server Hyper-VやAzure LocalといったMicrosoft仮想化技術。Microsoft SDN(Hyper-V Network Virtualization)などのWindows Server ネットワーク技術も。
Microsoft オンプレ技術以外にも、エンタープライズネットワークとかMicrosoft Azureとか、運用とか。
ネットワークやハードウェアといった物理層に近いところが大好きな、昔ながらのインフラ屋さん。得意技はケーブル整線。

Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management(2012-2027)
Microsoft MVP for Microsoft Azure(2024-2027)
Microsoft Top Partner Engineer (2026)

執筆記事一覧:https://blogs.networld.co.jp/archive/author/goto-satoshi-nw