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なんで第2世代のVNX/VNXeは超絶パワフルに進化したのか!?

EMC担当の石塚です。

先日のEMCForumにはお越し頂けましたでしょうか。 なにやらEMC 山野社長や弊社社長の森田までブースで楽しんでいたようです。 私は残念ながら業務の都合でまったく参加できませんでした。 RQの方とお話したかった。。。

さて、今回のテーマは「なんで第2世代のVNXとVNXeは超絶パワフルに進化したのか!?」です。 もちろん、CPUやメモリが増強されてるのも1つのキッカケですが、それだけで大幅に変化するとは思えません。 しかしVNX2シリーズとVNXe3200はそれぞれの前モデルと比べると、実際に処理能力が大幅に向上しています。 それは何故なのか!? この疑問を解消するため、少し技術オタクな領域に踏み込んでみたいと思います。

やっぱりCPUとメモリのスペックが上がったから? 本当にそれだけ??

 まずハードウェア的な要素としてはどのような変更があったのかもう一度おさらいしてみようと思います。

Vnxe_spec_3

Vnx_spec_3 ※VNXe, VNX共にCPU, メモリ容量はモジュール単位の数量

ご覧の通り、CPU自体のアップグレードは殆ど無く、そこまで劇的なパワーアップであるとは言えるのか疑問です。 と言うかクロック数自体は落ちていることに驚きます。。。 しかし、メモリは倍増しているので、ここはパワーアップに効いてきそうにも思います。 ですが、これだけでパワーアップするならパワーアップキットなどをリリースして、パーツリプレースしても良いようにも思います。
※モデルによってはキャッシュ増強キットがリリースされています。

そもそもストレージのパフォーマンスは何がポイントなのか?

個人的な経験談になりますが、ストレージのパフォーマンスは基本的にディスクの構成に依存していて、あまりCPUやメモリで大幅なパフォーマンス変化がありませんでした。 ディスク数が100個を超えるような大規模システムでは話は別ですが、 10個や20個程度であればCPUやキャッシュが全力を出す前にディスクパフォーマンス自体がボトルネックになるからです。 これは接続ネットワーク(FibreChannelやIPネットワーク)の帯域も同じことが言えます。 

これは例えると、高速道路をイメージすると分かりやすいと思います。

どんなに多くの整理員(CPU)が存在していても、沢山の料金所(接続ポート)があっても、多くの車線(帯域)があっても、荷物(IO)を運ぶ車の数(ディスク数)が少なければ渋滞(ボトルネック)はどこにも起きません。

しかし先日のVNXe3200のパフォーマンス検証にあるように、新シリーズのVNXとVNXeは同じディスク構成なのに圧倒的なパフォーマンスを発揮しましたので、ディスク数がパフォーマンスのボトルネックにならなくなっていることを示していると思います。 では、パフォーマンス向上がディスク数やハードウェアに影響されなくなったのであれば、何がポイントなのでしょう? そこで、ストレージのもう1つの構成要素であるソフトウェアに着目してみます。

VNXe2/VNX2のパワーアップのカギを握るMultiCore○○

スナップショットなどの保護機能や監視機能を除外すると、どの機能にもマルチコア○○(MultiCores○○)と言うキーワードが付いています。 これはVNXNextGenerationシリーズとVNXe3200のメーカーメッセージにある「MCx」と言うキーワードに集約されます。

MCxとはマルチコアCPUを「使い切る」ためのソフトウェアアーキテクチャを指しています。 マルチコアなんだから当たり前のように思うかもしれませんが、長い歴史を持つベンダーはこのマルチコア対応を必死に開発しているのが実情です。 完全にアーキテクチャを作り直せるなら話は別でしょうが、これまでの資産やユーザーとの関係を考えると引き継がなければならない「土台」があるため、既存のアーキテクチャに少しずつ改修を加えていくしかありません。 このため、これまでもマルチコア化はされていましたが「使い切る」ことは出来て無かったのが実情です。

しかし、MCx化された新シリーズではすべてのコアに対して「平準化」した負荷を割り当てることに成功しました!! 弊社検証で確認している旧シリーズとMCx化された新シリーズのCPUの利用状態が以下のグラフです。

Mcx_3

このグラフは全く同じ負荷を旧シリーズと新シリーズそれぞれに対して実行した結果です。 旧シリーズでは特定のCPUだけが忙しくて、「暇」になっているCPUがあります。 しかし、新シリーズではどのCPUも同じような負荷になっているのが分かると思います。 このようにマルチコアに完全対応したお蔭で、キャッシュアーキテクチャの大幅な変更が行えましたし、SSDのパフォーマンスをいかんなく発揮できるようになった、と言うのが今回のパフォーマンスアップのカギだった、と言うわけです。

私がこれまで経験していた「ストレージはディスク構成依存」と言うのも、実は特定の整理員(CPU)に偏ってただけなのかもしれませんね。(すべてのケースでは無いでしょうけど)

と、言うわけで「VNXNextGenerationとVNXe3200は完全マルチコア対応で超絶パワフル!」とまとめさせて頂きます。

ではまた次の投稿で。