皆さん、こんにちは
今回は Azure が提供する「Azure lab Service クラスルーム」というサービスをご紹介したいと思います。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/lab-services/
●Azure Lab Serviceクラスルームとは
2019年3月に一般提供が開始されたクラスルームですが、Azure 上にハンズオン環境を作り上げる事が出来るサービスとなります。
クラスルームを利用することでAzureに繋がるネット環境とリモートデスクトップが使える端末さえあればいつでもどこでもハンズオン環境を利用できます。
ハンズオンに限らず、新製品のデモなど販促ツールとしても活用頂けるのではないかと思います。
そんなクラスルームですが、基本的な開始手順に関しては以下にまとまっておりますのでこちらを参考にして頂けたらと思います。
Azure Lab Services でラボ アカウントを管理する
https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/lab-services/classroom-labs/how-to-manage-lab-accounts
●仮想マシンは1台だけでなく複数台で展開可能
クラスルームは基本的には受講者一人につき1台の仮想マシンを割り当てますが、複数のサーバーで構成されたシステムを演習で行うというパターンも多いと思います。
たとえば、アンチウィルスや資産管理といった管理サーバーがいてクライアントにエージェントを配布するといった演習などです。
そうした要望を見越したようにクラスルームでは複数VMを利用するための手順も公開されております。
クラスルーム ラボのテンプレート VM 内に複数の VM を備えた環境を作成する
Azure上の仮想マシンでありながらHyper-Vを利用する事で複数台の仮想マシンを提供するという内容となっています。
上記を参考にして今回作成したのが以下の環境となります。
Nested Hyper-VというWindows Server 2016から搭載された機能である「入れ子のHyper-V」を利用してクラスターを構成しているイメージです。
もう少しかみ砕いていうと、親亀に二匹の子亀が乗っているイメージですね。
今回の環境の大まかな構築の流れとしては、
① Azure ポータルからAzure Lab Serviceサービスの展開
② Azure Lab Serviceポータルに接続し、Laboアカウントの作成
③ 作成したLaboアカウント上で仮想マシンテンプレートの作成
④ 作成した仮想マシンにRDP接続し、以下のコンポーネントをインスール・設定
(ア) ADドメインサービス
(イ) Hyper-Vをインストール
(ウ) Windows Admin Center(※1)のインストール
⑤ 親のHyper-V上で仮想スイッチに対するNATを構成する
⑥ インストールメディアを利用して2台の仮想マシンをインストール・設定
⑦ フェールオーバークラスターのインストール・設定
⑧ Storage Space Direct(※2)有効化
⑨ Hyper-V クラスターの作成
※1 Windows Admin Center:Windows Server 2019 で採用された新しい管理ツールです。
※2 Storage Space Direct :Windows Server 2016以降で提供されるストレージ仮想化技術です。
今回は細かい構築のステップは割愛しますが、お伝えしたいのは、このようなシステムもクラスルームを利用して構成出来るという点です。
複数台となるとテンプレートの完成までは若干の手間は掛かりますが、一度テンプレートを組み上げてしまえば多数の受講者に対する一斉展開もほんの僅かなステップで済みますので頑張りのしどころかと思います。
上記環境を構築する上で参考になるURLのリンクを張り付けておきますのでこちらも併せてご確認頂けたらと思います。
クラスルーム ラボのテンプレート VM 内に複数の VM を備えた環境を作成する
NAT ネットワークの設定
https://docs.microsoft.com/ja-jp/virtualization/hyper-v-on-windows/user-guide/setup-nat-network
記憶域スペース ダイレクトの展開
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows-server/storage/storage-spaces/deploy-storage-spaces-direct
●クラスルームの簡易デモ
それではここで今回作成したクラスルームに関して、簡単なデモをお見せしたいと思います。
クラスルームの環境を作り終えた後の利用者視点でのデモとなります。
デモの内容を簡単に解説しますと、管理者からクラスルームへの招待メールを利用者に通知します。
利用者はメールに記載されたリンクにアクセスする事で仮想マシンにアクセスします。
仮想マシンにリモートデスクトップ接続し、Hyper-Vマネージャーを起動して2台の仮想マシンが起動中となっている事を確認します。
続いて、Windows Admin Center を利用して、フェールオーバークラスターとハイパーコンバージドインフラストラクチャーのステータスを確認しています。
デモ動画は下記のリンクをクリックしてください。
●まとめ
クラスルーム如何でしたでしょうか。ご覧頂いたように入れ子のHyper-Vを利用する事でクラスターシステムを作り上げる事が出来ますし、利用者から見ればAzureをご存知でない方もあまり意識する事なくご利用頂けると思います。
今回はクラスルームを用いたハンズオン環境をイメージしてご紹介しましたが、ハンズオンに限った事ではなく、例えば自社の新製品のデモをお客様に披露するといった場合にも手軽にお使い頂けると思います。
クラスルームのメリットは、ネットにつながるPCがあれば気軽にアクセスできますしデモのためにわざわざ自社の検証環境にVPNで繋ぐという手間もなくなります。
皆さんも是非、ハンズオンだけでなく販促ツールとしてもクラスルームを活用頂けたらと思います。
今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。
記事担当者:津久井