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EMCストレージ群のパフォーマンスの頂点を塗り替える新世代ストレージ「XtremIO」

EMC担当の石塚です。
早くも暑さが穏やかになってスーツ姿も楽になったのは嬉しい限りなのですが、夏が満喫できずに終わるのも少し寂しいものです。。。

さて、本日はEMC社が提供しているストレージ群の中に、最近加わった製品のお話です。

EMCにはSymmetrixと言うまさに最高峰に位置するストレージがあります。 EMCがストレージハードウェアをリリースして以来、パフォーマンス、冗長性、データ保護機能、コスト(笑)の全てにおいて、どのEMC製品よりも上位に君臨してきました。 しかし、最近になって「パフォーマンス」の位置だけは別のストレージに譲り始めています。 それがXtremIO(エクストリームアイオー)です。

Xtremio_logo_2

XtremIOはオールフラッシュアレイと言う分野に存在しています。  これは搭載する全てのディスクドライブがフラッシュドライブ=SSDになっています。 「SSDにすればどのストレージでも早くなるでしょう」と言う突っ込みがありそうですが、それは半分正解で、半分ハズレです。 と、言うのも通常ディスクドライブ(HDD)を実装する従来型のストレージの場合、基本概念はディスクドライブの域をでません。 それではSSDの特性を考慮できていないのです。

SSDの特性と言うのは、例えばランダムアクセスには強いが、シーケンシャルになるとそのパワーが発揮できなかったり、書き込み回数制限の耐久性などがあります。 最も問題なのは単体ドライブの容量の少なさが起因した容量確保かもしれませんが、これはそろそろSASディスク容量を超えるものが出てき始めているので時間が解決すると思います。。。 それらの特性を活かし、弱点を補うアーキテクチャがオールフラッシュアレイには必要になります。

オールフラッシュアレイの場合、そのパフォーマンス指標はどの製品も10万IOPS以上、1ms以下の応答速度と謳っています。 普通、このパフォーマンススペックを聞いただけではピンときませんよね? 具体的な用途として仮想デスクトップ(VDI)環境で言えば、2500人ユーザを軽く対応できるレベル、と言うと分かりやすいと思います。 これをパフォーマンスだけで言えば非常に小さなサイズで実装することが可能になっています。

上記のようなSSDの特性を考慮して、XtremIOではインライン重複排除を実装しています。 重複排除と言えばEMCの得意分野なのは周知のお話ですが、XtremIOは他の製品よりもさらに一歩先を進んでいて、重複排除系ストレージの注意ポイントである「ガベージコレクション」がありません。 「ガベージコレクション」とは、利用していないデータ(期限が切れたデータ)などを検知して、整理整頓する処理です。 この処理により、連続領域を確保したり同一エリアへの書き込み多発を排除するわけなのですが、ガベージコレクション中はパフォーマンスが大きく低下したり、そのほかの特殊機能(スナップショットなど)が利用できなくなったりすることが一般的です。 XtremIOは「予測可能なパフォーマンスを提供」するために、この問題の原因となる「システムレベルのガベージコレクション」を排除することに成功したのです!! そのアーキテクチャはそれだけにとどまらず、そもそもSSDにも極力アクセスしないように、キャッシュ上に全てのストレージ領域のデータマップ(どこにどのようなデータが存在するのか管理するマップ)を展開・管理しています。 これにより不要なSSDへのアクセスを排除できるのでパフォーマンスはさらに向上しています!

Xtrem_spec

EMCがこれまで旗艦としていたSymmetrixを退け、パフォーマンス分野においてのトップオブEMCになったXtremIO。 凄くないわけがないですよね!! 私はまだ検証したことがありませんが、ユーザーさん・パートナーさんからの声をキッカケに取り組んでみたいと考えています。 是非弊社担当営業、もしくは公式ホームページからお問い合わせください!!

以下は余談ですが。
ガベージコレクションは私も痛い経験をしたことがあります。 もし皆さんがオールフラッシュアレイや、そのほかの重複排除機能に準ずる機能を有するストレージなどを検証する機会があった際は、ガベージコレクションに類する処理をさせることを強くお勧めします。 そのためには製品ごとの閾値を上回るデータを保存することと、期間(時間)がポイントになります。 最近知ったのですが、このような検証の指針をIDCやSNIAがリリースしていました。 このドキュメントを知ったとき「もっと前に出して欲しかった!(T T)」と叫びたい気分でした。

ではまた、次の投稿で。