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フラッシュハイパーバイザーでVDIをスピードアップする

本ブログエントリーはPernixData社のDirector of Product, Solution & Alliance MarketingであるSushant Rao氏のブログの翻訳版です。

本記事の原文はpeed-up VDI performance with a Flash Hypervisorで閲覧可能です。
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本日はお問い合わせを多くいただく PernixData FVP環境下でのVDIのパフォーマンスについての記事となります。原文の翻訳に加え、原文からリンクされてるホワイトペーパーの内容も含みます。少々長文になりますが、非常に有益な内容ですのでぜひ最後までお付き合いください。

VDIはバランスが要求される仕事です。ユーザーは仮想化デスクトップで物理コンピューターでそうだったのと同じで高いパフォーマンスを要求します。しかし、情報システム技術者はこのパフォーマンスをコスト効率よく提供しなくてはなりません。そうでなければVDIプロジェクトはコストのスパイラルに飲み込まれてバラバラになってしまいます。このバランスをとることは非常に難しいことが実証されており、VDIの展開が行き詰まるか、失敗に終わってしまう際のほとんどの原因を占めています。

一般的に、パフォーマンスのボトルネックは共有ストレージにあります。VDIはI/Oストーム、アンチウィルススキャン、Writeが多く含まれているなどの理由から、膨大とも言える負荷をストレージアレイに対して発行します。加えて、最初にストレージデバイスが問題なくスタートしても、VDI展開が進むにつれ、ストレージアレイのパフォーマンスは対応できなくなっていきます。ストレージアレイにパフォーマンスを追加するには手間が非常にかかる上、高価で、しかもあくまで応急処置でしかありません。

PernixData FVPを導入しましょう。世界で最初のフラッシュハイパーバイザーです。サーバのFlashを仮想化し、高速化層へと変えてしまうことによって、FVPはストレージパフォーマンスとキャパシティの分離を可能にしました。これはストレージパフォーマンスをサーバ層でスケールアウトできることを意味します。ですから、VDIユーザーはI/Oパフォーマンスを必要なときに利用することができ、情報システム技術者はパフォーマンスをコスト効率よく提供することができます。

このホワイトペーパー(ホワイトペーパーの訳は「続きを読む」から)では、PernixData FVPがどのようにVMware Horizon ViewとCitrix XenDesktopをストレージアレイハードウェアを追加することなく高速化しているのかを学ぶことができます。FVPソリューションは各IOPSごとに僅かなコストでI/Oレイテンシを削減します。PernixData FVPでVDIを高速化した会社がどのようなエクスペリエンスを感じているかについても記載されています。

サーバサイドストレージ高速化でVDIを最適化する

高速で堅牢な仮想デスクトップパフォーマンスのためにストレージのボトルネックを排除

仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)は情報システム技術者に効率的なデスクトップリソースの管理の方法を提供しながら、同時にユーザーにアプリケーションとデータへの簡単なアクセスを実現します。

しかしながら、XenDesktop, VMware Horizon View,他の様々なVDIソリューションはストレージパフォーマンスの限界に影響を受けやすく、このためにVDIのパフォーマンスが落ち込んでしまうことがあります。しばし、この問題が仮想デスクトップを効率的に展開したり、拡張したりすることを難しくしてしまいます。

今日まで、この問題を解決するための最善の策はストレージのキャパシティを更に追加することで、ストレージパフォーマンスを追加することだとされてきました。これは- 特に大きな環境においては - 非常にコストが掛かり、継続的に仮想デスクトップのコストを増やしていく事になります。さらに、これではVDIのパフォーマンスの問題を解決できないこともあります。というのも、ストレージデバイスは殆どの場合、ユーザーとホストデバイスから何ステップも離れたところにあるからです。仮想マシンとデータの間にあるいずれかのステップがボトルネックになってしまった場合に、全体のパフォーマンスの低下が起こるのです。

PernixData FVPソフトウェアはVDIのコスト効率のよいストレージパフォーマンスというこの問題を解決します。FVPは100%ソフトウェアソリューションでクラスタ化されたFlashのようなハイスピードサーバリソースを用いて、プライマリストレージに対して発行される読み取りと書き込みの両方を高速化します。PernixData FVPソフトウェアを戦略的に活用することで、あらゆるVDI環境はストレージのアップグレードに比べると僅かなコストでVDIのI/Oレイテンシは80%削減することができます。

主なメリット

80%以上のVDIのレイテンシの削減

97%の情報システムコストの削減

VDIにおけるチャレンジ

VDIプロジェクトは物理環境から移行した際の仮想デスクトップの反応があまりにも悪くなった場合に失敗に終わります。この反応の悪さは殆どの場合ストレージアレイによるものです。以下はVDIに特化した問題で、状況の悪化を招くものです。

I/Oストーム(ブート、ログイン、ログアウト、シャットダウン)

I/Oストームは多くのユーザーが同時にストレージ対して負荷をかけた際のI/O負荷の大きなスパイクです。一つの例が「ブートストーム」です。多くのユーザーがVDIセッションを同時に開始することによって引き起こされます。(例えば、毎朝業務開始前など)I/Oストームの他の理由として考えられるのは同時ログイン数やログアウト数、シャットダウン数が多くなった場合などがあります。

ブートストームの影響を俯瞰するために説明すると、物理PCの専用ハードドライブ(通常は7200rpmのSATAドライブ)は75から100IOPSを提供します。ブートアップ時、この全てのIOPSは数分間完全に振り切れます。何百、何千という仮想デスクトップになった場合、共有ストレージアレイにとんでもない負荷をかけることになります。明らかにストレージがボトルネックになり、ブートアップは遅くなります。デスクトップは反応しなくなり、結果として情報システムのヘルプデスクには不満が殺到することになります。

もちろん、このストームに対応できるようなストレージアレイを「サイジング」することもできます。最悪のシナリオを想定してパフォーマンス(もしくはキャパシティに)に投資するのです。残念ながら、どちらの場合も非常に効果で効率的ではありません。通常の運用時にはVDIユーザはブート時に比べてごく僅かなIOPSしか必要としません。(平均して25IOPS程度) ですから、不必要なIOPSを買うよりは、ということでVDIのピークタイムのパフォーマンスでの貧弱なパフォーマンスに苦しむことになるのです。

アンチウィルス(AV)スキャンと更新

多くの場合、AVエージェントを仮想デスクトップにインストールし、恒常的なウィルスの監視と新しい定義ファイルのダウンロードを行います。デスクトップが物理コンピューターであれば、これは個人のマシンのリソースに追加の負荷をかけるだけです。これがVDI環境のデスクトップとなると、AVエージェントをエージェントが追加する負荷は共有ストレージに集中することになり、すべてのVMがアレイにアクセスするパフォーマンスに影響が出てしまいます。

読み取り / 書き込み の混合

VDI環境では読み取りと書き込みの両方が混合されています。書き込みは特にストレージパフォーマンスに大きな負荷をかけることになります。例えば、RAID環境においては仮想デスクトップからの1回の書き込みはストレージに対して複数回の書き込みとして伝えられることになり、これは書き込みのRAIDペナルティとして知られています。最も単純なRAID 1、つまり基本的なミラー構成ですが、2回の書き込みが仮想マシンからの1回の書き込みに対して実行されます。他のRAID構成においては更に多くの処理が実行されることになります。仮想マシンからの書き込みが増えるに連れて、ストレージへの追加不可はどんどん大きくなり、パフォーマンス低下を招きます。通常時のVDIの負荷は40%の読み取り、60%の書き込みと言われますが、現実にはWriteが80%から90%にもなるということがあります。

フラッシュで救済

多くの場合、VDI環境へフラッシュストレージを追加してパフォーマンスを改善することを考えます。

一つ目の選択肢はストレージアレイにフラッシュを追加することです。これによって回転するディスクに多くのパフォーマンスを追加提供することができます。しかし、これは非常に高価で、しかもVDIのレイテンシ問題を解決することはできません。というのも、ストレージアレイに対してすべてのVMがアクセス、もしくはデータ書き込みを行う場合、ストレージメディア(この場合、Flash)に到達する前にストレージファブリックとストレージプロセッサを経由しなくてはならないからです。ストレージ内のフラッシュがメディアからの読み取り、書き込みのスピードを大きく改善したとしても、別の場所にI/Oレイテンシのボトルネックを引き起こす原因が残っているのです。

もうひとつのアプローチはサーバフラッシュをストレージパフォーマンスの高速化に利用することです。ストレージアレイ内のフラッシュと同様にフラッシュの強力なIOPSを活用して、ストレージのパフォーマンスを改善することができます。アレイ内のフラッシュと異なるのはコスト効率が良いということと、スケールアウトしやすい(CPUとメモリと一緒に)ということです。アプリケーションに最も近いホスト内にフラッシュを配置することでよりよいレスポンスタイムを保証することもできます。

ストレージアーキテクチャの分離

PernixData FVPソフトウェアはサーバフラッシュをVDIのために最適化し、可能な限りの最善のパフォーマンスをもっとも単純で、コスト効率のよいやり方で提供します。

FVPソフトウェアはフラッシュのようなハイスピードのサーバリソースをクラスタ化し、プライマリストレージの読み取りと書き込みの両方を高速化するリソースの論理プール化します。これによって読み取りと書き込み両方が不可欠なワークロードを最適化できるため、VDIのデスクトップにうってつけのソリューションです。FVPソフトウェアはハイパーバイザー内部へ数分でインストールされ、仮想マシン、ホスト、ストレージアレイへの変更は一切不要です。

FVPは根本的にストレージのインテリジェンスをサーバへ移動させます。ストレージのパフォーマンスとキャパシティを分離することで、ストレージのパフォーマンスを完全にスケールアウト可能なアーキテクチャに変えるのです。情報システムのスタッフはVDIの要求を満たすようにストレージ環境をコスト効率よく拡張できるのです。

以下はストレージのアーキテクチャの分離が上で述べたVDIのチャレンジをどのように解決するかの例になっています:

I/Oストーム(ブート、ログイン、ログアウト、シャットダウン)

VMware Horizon ViewやCitrix XenDesktopのようなVDI製品はVDIの仮想マシンとしてLinked Cloneを利用します。この環境において、すべての仮想マシンは作成時のマスターとなった仮想マシンを参照します。PernixData FVPソフトウェアでは、何百回、何千回もストレージアレイにデータを取りに行くことを避けるため、Linked Cloneの「マスター」イメージのデータはサーバフラッシュに保持されます。

ログアウトやシャットダウンストームについては、VDI仮想マシンがすべてのデータをストレージアレイに書き込むことが主な問題となります。FVPの高速化レイヤはすべての仮想マシンからの書き込みをすべて吸収し、一貫して、予測可能なやり方で非同期にストレージへ格納します。つまり、FVPはストレージアレイから仮想デスクトップVMを隔離し、サーバフラッシュのスピードで書き込みを完了させ、ストレージが溢れないように書き込みを貯めこむのです。

アンチウィルス(AV)スキャンと更新

AVエージェントはすべて更新時に同じところへアクセスします。初回はこの読み取りでストレージアレイのファイルへアクセスがなされます。2回目以降のアクセスはサーバフラッシュから低レイテンシでアレイへのアクセスを避けながら提供されます。

読み取り / 書き込みの混合

以前に述べたように、書き込みのRAIDペナルティを避けるためのキーとなるのはVDI仮想デスクトップをストレージアレイから隔離することです。仮想マシンからの書き込みはサーバフラッシュのスピードで完了し、一方でストレージアレイに対して一貫して予測可能なスピードでストレージに可能なレベルでデステージされます。もしストレージが非常に大きな書き込みのペナルティを発生させるような構成であったとしても(RAID 6では5つの追加ペナルティが発生します)、FVPはVDI仮想マシンからの書き込みを高速化層にデータが書き込まれたタイミングで通知し、ストレージアレイが許容可能な予測可能な一環したスピードでストレージにデステージします。結果として、VDI仮想マシンが大きな書き込みに見舞われたとしてもユーザー・エクスペリエンス上のRAIDペナルティの影響は無視することができます。

実際の利用者の例

PernixData FVPソフトウェアはあらゆる規模のCitrix XenDesktop, VMware Horizon View、その他のVDIアプリケーションのパフォーマンスの高速化に利用されています。以下がその利用例です :

地域銀行

ある地域銀行はCitrix XenDesktop環境の成長につれてパフォーマンスの問題を抱えてきました。ストレージアレイのアップグレードも考えましたが、それは$100,000ものコストであり、さらにVDIのレイテンシを削減することを保証してくれるものではありませんでした。その代わりにこの銀行はPernixData FVPを利用することにしました。6分の1のコストであるにもかかわらず、ホストごとに100KのIOPS、仮想デスクトップごとに1KのIOPS(100:1の統合率)を実現することが出来ました。これによってVDIのレイテンシは3msから0.4msとなり、ユーザーの要求に応じてVDIの環境を成長させることができるようになりました。

Fig95ヘルスケア事業者

あるヘルスケア事業者は700以上のVMware Horizon Viewデスクトップに対して適切なVDIパフォーマンスが提供できていないという問題を抱えていました。PernixData FVPソフトウェアはウィンドウズのブート時間を45秒から8秒に短縮することで(レイテンシでは82%の削減)、このVDIのパフォーマンスの問題を解決しました。これはストレージのアップグレードではIOPSあたり$5の投資がたったの$0.1で済んだことを意味します。

Fig96

まとめ

VMware Horizon View, Citrix XenDesktop、その他のVDIアプリケーションはエンドユーザの期待に見合うストレージI/Oを必要とします。通常のVDI環境ではコスト効率良くこれを実現することは簡単ではありません。

PernixData FVPソフトウェアとサーバフラッシュは最低限のコストで、エンドユーザーと情報システム部門の両方が満足できる可能な限り最高のストレージパフォーマンスを実現します。これがPernixData FVPプラットフォームをあらゆるVDI環境における、戦略的なインフラストラクチャコンポーネントたら占めています。

本記事の原文となったホワイトペーパー(英文)

PernixData_Optimize_VDI_WP.pdfをダウンロード 

記事担当者: マーケティング本部 三好哲生 (@pernixdata_netw)