HPE教育サービスの中川明美です。
今回は、vSphere環境のアップグレードについて取り上げます。
この年末に、教育コースのLab環境で使用する管理用サーバーをvSphere 6.5 U1へアップグレードしました。計画通りさくっと終わらせるつもりが、環境に依存するエラーと思われるトラブルで、前に進めず困りました(笑)
既存はシンプルな構成ですが、自身がゼロから構築していない環境は色々起きますね。。。
1回目と2回目はアップグレードに関するもろもろを、3回目は数度のエラーを乗り越え、どのようにアップグレード作業を終わらせたのか、アケミ姉さんの奮闘記をお届けします!
vSphere 6.5へアップグレードする際の参考になれば幸いです。では、始めます。
アップグレード前の環境は?
アップグレード前の環境を共有します。
- 異なるバージョンを含む3台のESXiホスト
- vCenter Server Appliance 6.0を含め、稼働している仮想マシンが7台、稼働していない仮想マシンが8台
- Lab内接続用と外部接続用の2つの仮想NICが割り当てられた2台の仮想マシン、残りの4台はLab内接続用の1つの仮想NICのみの構成
- 各ESXiホストには2つの標準仮想スイッチを構成
- すべての仮想マシンは各ESXiホストのローカルディスクに格納
アップグレード作業のゴールは?
今回のアップグレード作業のゴールは次の7点です。この作業を2日間で完了します。
- ESXi 5.5上で稼働している仮想マシンを他のホストへ移行し、ProLiant DL360 G5の使用を中止する
- 稼働していない仮想マシンはインベントリから除去する
- 稼働している仮想マシンをローカルディスクから共有ディスクへ移行する
- vCenter Server Appliance 6.5へアップグレードする
- vSphere HAとvSphere DRSを有効にしたクラスタを作成する
- ProLiant DL360p Gen8上のESXi 6.0をESXi 6.5 Update 1へアップグレードする
- 新たに、vRealize Operations ManagerおよびvRealize Log Insightを追加する
アップグレード手順
アップグレード手順を検討します。
このブログでは「事前調査」から「ESXiホストのアップグレード」までの手順を中心に進めます。「分散仮想スイッチ」「VMware Tools」「仮想ハードウェア」「VMFS」のアップグレードは最後に要点をまとめます。
事前調査
次がおもな調査対象となります。サポート可否の確認サイトも参照ください。
- 使用するハードウェアが、アップグレードするバージョンでサポートされているか
- アップグレード後に既存仮想マシンのゲストOSはサポートされているか
- 使用しているvSphere以外のVMware製品のバージョンはサポートされているか
- 使用しているサードパーティ製品のバージョンはサポートされているか
対象 |
確認用サイト |
ハードウェア |
VMware Compatibility Guideを使用します。 |
ゲストOS |
VMware Compatibility Guideの検索カテゴリで「Guest OS」を選択します。 次のKBも参照ください。 ゲスト OS のサポート レベルについて (2097459) |
VMware製品 |
VMware Product Interoperability Matrixesを使用します。 https://partnerweb.vmware.com/comp_guide2/sim/interop_matrix.php |
サードパーティ製品 |
各メーカーにご確認ください。 |
アップグレードするLab環境は?
「Horizonコース」の環境を準備するために、PowerCLIを使用して自動化しています。
現在使用のバージョン5.5は、残念ながらvCenter Server 6.5 U1ではサポートされていませんでした。現Scriptの検証が必要ですね。機会があれば検証結果をご報告します。
構成のバックアップ
◆ESXiホスト
ESXiホストの構成のバックアップには、「vicfg-cfgbackup」が使用できます。
詳細は次のドキュメントを参照ください。
http://pubs.vmware.com/vsphere-6-5/index.jsp#com.vmware.vcli.ref.doc/vicfg-cfgbackup.html
◆vCenter Server
vCenter Server 6.5は、5.5や6.0とは異なるコンポーネントやサービスで構成されます。そのためvCenter Serverで継続して使用する対象は、パフォーマンスなどの統計情報等になります。統計情報は、PowerCLIのGet-Statコマンドを使用して外部出力することができます。
https://code.vmware.com/doc/preview?id=5730#/doc/Get-Stat.html
5.5から6.5へのアップグレードパスは、こちらのドキュメントを参照ください。
vCenter Serverのアップグレード
vCenter Serverのアップグレード方法は次の3つです。
- vCenter Server Applianceのアップグレード
- WindowsでのvCenter Serverのアップグレード
- WindowsのvCenter ServerをvCenter Serverに移行
◆WindowsのvCenter Server
VMware社からisoファイルをダウンロードし、ソフトウェアインストーラで、autorun.exeを実行し、アップグレードを進めます。
WindowsのvCenter Serverのアップグレードの考慮点としては、Microsoft SQL Server Express のデータベースがvCenter Serveに含まれるPostgreSQLデータベースに自動的に移行されることです。PostgreSQLデータベースへ移行せずにアップグレードする方法については次のKBを参照ください。https://kb.vmware.com/s/article/2109321
◆vCenter Server Applianceのアップグレードまたは移行
VMware社からisoファイルをダウンロードし、ソフトウェアインストーラで、Installerを実行し、アップグレードまたは移行を進めます。下図はInstallerを起動した画面です。
アップグレードなら「Upgrade」を、移行なら「Migrate」を選択します。
vCenter Sever Appliance 6.5のGUIデプロイ
GUIのデプロイでは、次の2つのステージがあります。
下図は、Upgradeを選択した、ステージ1の画面です。
下図は、「Install」を選択した、ステージ1の画面です。
Upgradeを選択した場合と異なるのは、「3 Select deployment type」のみです。デプロイタイプ (組み込みのPlatform Services Controllerまたは外部のPlatform Services Controller) を変更する場合は、新規インストールが必須です。
下図は、「Install」のデプロイタイプを選択する画面です。
ESXiホストのアップグレード
ESXiホストのアップグレード方法は次の3つです。
ここからの続きは、2回目でUpdate Managerを使用した、ESXiホストのアップグレード方法をご紹介します。
「徹底攻略VCP6.5-DCV教科書 VMware vSphere 6.5対応」が1/19に出版されました。受験の際にはぜひご活用ください!!
日本ヒューレット・パッカード株式会社 教育サービス 中川明美
記事担当者: マーケティング本部 三好哲生 (@miyo4i)
久しぶりの骨盤矯正ブログです。vSphereのアップグレード、実はこれ非常に複雑です。vSphereの前にvCenterをアップグレードしますし、アップグレード先のヴァージョンのハードウェア互換性もチェック、他にも様々な要素をチェックしなくてはなりませんので、アケミ姉さんの作ってくださったチェックリストを参考に、ご自身の環境に合わせた確認を行って下さい。
次回はUpdate Managerを利用したヴァージョンとのことですので、こちらを使いたい方は来週までお待ち下さい。
最後にさり気なく姉さんの著書の宣伝が入っております(笑)