皆さん、こんにちは。ソリューションアーキテクトをしている工藤です。この記事はvExperts Advent Calendar 2016に参加しています。
今日はは8月にリリースされたvRealize Network Insightを紹介します。
vRealize Network Insightは元々はスタートアップベンダーであるArkin社を2016年6月に買収して、vRealizeブランドとして製品化されたものになります。画面だけではなかなか伝えきれないこともあるため、各機能の動画を紹介しています。動画をご覧頂きvRealize Network Insightができることを理解いただければ幸いです。
■vRealize Network Insightとは?
vRealize Network Insightは、ざっくり言うとネットワーク版vRealize Operations Managerということができます。サーバ仮想化のリソースを見える化するのがvRealize Operations Managerだとすると、ネットワーク仮想化のリソースを見える化するのがvRealize Network Insightになります。何とかInsightというとvRealize Log Insightの印象がありますが、できることはvRealize Operations Managerに近いのです。
ざっくり言ってしまいましたが、もちろんvRealize Operations Managerだとネットワークの状態がわからない、vRealize Network Insightでは仮想マシンの状態がわからないといったことはありません。あくまでもvRealize Operations ManagerはvSphereのホストや仮想マシンを中心として、vRealize Network Insightはネットワークを中心にそれぞれ必要な機能にフォーカスしているだけですので安心してください。
vRealize Operations Managerは、性能情報と仮想基盤のインベントリ情報を組み合わせて見える化します。
vRealize Log Insightは、ログ情報を見える化します。
vRealize Network Insightは、パケットと仮想基盤のインベントリ情報などを組み合わせて見える化することで仮想基盤のネットワーク管理にかかる運用工数を改善する製品です。
ではvRealize Network Insghtが実際にどんなアーキテクチャで、ネットワークの見える化を実現しているのか見ていきたいと思います。
■vRealize Network Insightのアーキテクチャ
vRealize Network Insightは現在2つの仮想アプライアンスから構成されます。
Proxy VMは、vCenterやNSX Manager、物理スイッチからインベントリ情報や設定を収集する役割と、vSphere上の分散スイッチのNetFlowで送られたフロー情報を収集する役割があります。
このときNetFlowでは通信パケット全てを送るわけではなく、パケットのヘッダ情報だけをやりとりしているためセキュリティ上も安心ですし、転送帯域も膨大には必要ありません。
Platform VMはProxy VMが収集したこれらの情報を解析して見える化する役割と、管理者にダッシュボードを提供する役割を提供します。
vRealize Operations Managerもそうですが、膨大な収集したデータを解析するため仮想アプライアンスに要求されるスペックが大きいので既存環境に追加する際には考慮が必要です。
■vRealize Network Insightで通信の可視化
vRealize Network Insightはこれまでの説明でもあったように、NetFlowを使った通信フローの可視化を行います。分散スイッチのレイヤで通信フローが収集されるため、ゲートウェイを介した通信だけでなく同一セグメントの通信はもちろん、同一ホスト内で物理的にはLANケーブルを流れていない通信まで可視化することが可能です。マイクロセグメンテーションを行う際に利用するVMware NSXの分散ファイアウォールのポリシー設計はもちろん、導入後のセキュリティ監査の目的で利用することができます。
YouTube: VMware vRealize Network Insight ネットワークフローの見える化
■vRealize Network InsightでNSX環境の健康診断
冒頭にvRealze Network Insightはネットワーク仮想化におけるvRealize Operations Managerのようなものですと説明しました。
vRealize Operations ManagerがvSphere環境の健康診断が行えるのと同じように、vRealize Network InsightではVMware NSX環境の健康診断を行うことができます。2016/12/1現在の最新版である3.1ではVMware社のベストプラクティスに基づいた40のチェック項目にわたる健全性確認を行い、ネットワーク仮想化基盤のトラブルを未然に防ぐことができます。
YouTube: VMware vRealize Network Insight NSXの健康診断
■vRealize Network Insightで仮想基盤ネットワークのトラブルシューティング
vRealize Network InsightはNSXを導入した際の「NSXと物理ネットワークのトラブルシューティングが難しそう」といった相談を多くうけます。先ほど紹介したNSX環境の健康診断で安定したネットワーク仮想化基盤の維持ができます。
またvRealize Network InsightではNSXが構成するオーバーレイネットワークと物理スイッチが構成するアンダーレイのネットワークを一元的に管理することができます。
YouTube: VMware vRealize Network Insight 仮想ネットワークのトラブルシューティング
■まとめ
vRealize Network Insightを利用することで、VMware NSXが実現するネットワーク仮想化を低コストで運用していただくことが可能になります。
ご興味のある方は、VMware社が提供するオンラインラボを使ったハンズオン環境もありますので是非ご利用ください。
http://labs.hol.vmware.com/HOL/catalogs/lab/2894