本記事の原文の公開は2015年の7月28日です。現時点では機能が拡張されたり、改善されている場合がございますのでご注意ください。Platform9関連記事はOpenStack Days Tokyoの終了まで3日間連続で公開予定です。昨日はKVM、本日はvSphere、明後日はKubernetesについての翻訳記事を公開していきます。
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VMware vSphere と OpenStack はそれぞれのフィールドー仮想化とプライベートクラウドーではまばゆく輝く星です。理論上の話をすれば、この2つのテクノロジーが融合することになれば成功は一瞬で手に入ることになるでしょう。しかし、現実はそう上手くは行きません。殆どの今日のOpenStack の実装はカーネルベースの仮想マシン(KVM)をハイパーバイザーとして利用しています。vSphere と OpenStack の両方をお持ちの組織はこれらを別々のサイロとして動作させる傾向にあり、結果としてそれぞれに固有の管理プロセスが必要になっています。
Platform9のエンジニアリングチームの大部分はVMwareで働いた経験を持ったメンバーです。ですから、我々はVMware社自身の仮想化と管理のプラットフォームがこの10年間で成長し、業界標準へと至るまでを見てくる機会に恵まれました。その流れの中で、我々はvSphereとOpenStackがもしも、適切にエンジニアリングされれば、協調して上手く動くということを確信しています。Platform9では、理想的なvSphereとOpenStackの統合の話が、どういうものなのかということを活発に議論しあっています。
プライベートクラウドの我々のビジョン
Platform9のプライベートクラウドのマニフェストはとても直接的です・・・我々はプライベートクラウドの展開をこれ以上ないほどまでに簡単にしたいのです。1月のTech Field Dayに遡ると、我々は理想的なプライベートクラウドがどういうものなのかという、我々のビジョンの背景をご説明しました。我々にとって、理想的なプライベートクラウドに必要な要素は以下の3つです。
- 100%自動化された展開ができること
- すでにお持ちのインフラストラクチャと統合出来る
- 情報システム部のポリシーを満たしつつも、承認されたユーザーは簡単に利用ができる
さぁ、これらについてもう少し掘り下げて見ましょう :
- 100%自動化された展開ができること ー これはエンドユーザーがIT運用者の手動の承認を減ることなく、セルフサービスでクラウドのリソースへアクセス出来、GUIから、CLIから、APIからでも全体に渡る自動化のためのアクセスが出来るということを意味します。
- すでにお持ちのインフラストラクチャと統合できる ー 今日、全世界の70%のコンピューティングキャパシティはプライベートなデータセンタに置かれています。プライベートクラウドは既存のインフラストラクチャも差別なく活用できるべきなのです。
- ITのポリシーを満たしつつも、承認されたユーザーは簡単に利用ができる ー 上記のようなことから、プライベートクラウドは情報システム部門が管理が管理しているハードウェア上で実現されることになります。効率的なプライベートクラウドをつくり上げるためには、適切なポリシーの設定、リソースプールの設定、リソースのひも付け、クオータなどが必要になります。これらによって、情報システム部はエンドユーザーに対して、セルフサービスを快適に開放することができるようになるのです。
何故VMware vSphereをサポートするのか?
VMware vSphereは単に動くだけの仮想化プラットフォームを利用してみたり、検証してみたりすれば分かりますが、やはりゴールデンスタンダートです。世界中のエンタープライズデータセンターの大部分は今日vSphereを利用しています。多くの情報システム部門が選ぶ安定性やリソースのクラスタ化、DRS、vMotionなど本可動での利用を想定した機能の成熟度においては堅牢なハイパーバイザーです。
多くの組織では今日、VMware vSphereを利用していますが、vCenterを通じて利用されています。これは手動でリソースを管理しているということに他なりません。これは、プロセスドリブンのモデル、つまり仮想マシンは仮想化管理者が開発者からリクエストチケットを受け取って、それぞれのリクエストに手動で答えていくという結果に終わります。vSphereの上にOpenStackを配置することで、それぞれの世界の最高の結果を得ることが出来るはずです。 ーAmazon AWSのように俊敏で、セルフサービスが利用できるプライベートクラウドを、今日のデータセンタの大部分のワークロードにとって最適で、本稼働に耐えうる世界最高峰のハイパーバイザーを利用して作ることが出来るのです。
VMware vSphere with OpenStackの前に立ちふさがる困難
わかった。じゃ、vSphere + OpenStackは素晴らしいアイディアだ。OpenStackはすでにvSphereをサポートしているし、そのためのドライバーも提供されている。なぜそれ以上の議論が必要になるんだい?
残念なことに、現在のOpenStackのvSphereドライバーの機能は限定的で、最小限とも呼べるレベルです。多くのハードコードされた前提条件と制限がエンタープライズのユーザーがvSphereとOpenStackをシームレスに統合することを非常に困難にしています。いくつかあるうちの制限事項はOpenStackのコアデザインと結びついているもので、残りのものはvSphere OpenStackのドライバーの作り方に起因しています。
例として挙げると、vSphereをサポートする全てのOpenStack(VMware Integrated OpenStackまたはVIOも対象です)はプライベートクラウドを1から展開するものだという想定に基づいています。これが根本的に利用開始時の問題になるのです。今日vSphereを利用し、大規模なプールで既存のワークロードを動作させているような組織の殆どは、1からOpenStack + VMwareの環境を作る際に、特別な処置を講じなくてはなりません。
今後、様々な記事の中で補足していきますが、まずはvSphereとOpenStackをどのように統合していくのが良いのか、お話していきましょう。もちろん、以下だけに限った話ではありません:
- ワークロードのディスカバリ : 優れたvSphereとOpenStackの統合では、既存のインフラストラクチャを変更することなく、その上で動作すべきです。ユーザーに更に新しいサイロを作成させるものであってはなりません。
- 新しいワークロード : ユーザークオータ、ロール(役割)、などを確認した上で、新しいワークロードを作ることが出来ること
- テンプレートのサポート : vSphereテンプレートはOpenStackでまず動作させなければいけないものです。テンプレートを利用して迅速に仮想マシンを展開させます。
- ソフトウェア-ディファインド ネットワーク(SDN) : vSphereのユーザーは既存の仮想スイッチ(または分散仮想スイッチ)ベースのネットワークを利用でき、さらに、その上でNeutronベースのソフトウェア-ディファインドネットワーク(SDN)を動作させます
- 複数のクラスタと複数のvCenter : 複数のクラスタをコンピュートリソースとして利用できるようにします
Platform9は、プライベートクラウドの展開と管理をエンドユーザーにとって下げられるだけ下げることが出来る可能性があると信じています。そして、仮想化インフラストラクチャからプライベートクラウドへの適切な移行も同じようにシンプルにするため、我々はこのvSphereというハイパーバイザーをOpenStackのファーストクラスのハイパーバイザーにすれば展開や管理が簡単になると考えています。
将来投稿する記事で、どのように統合していくべきなのか、我々がPlatform9でそのビジョンをどのように実現しようとしているのか、もっと詳細についてお話したいと思います。さらに、我々はOpenStackサミットにおいて、既存のKVMとvSphere環境の仮想化ワークロードを動的にディスカバリする事を可能にするための新機能を提案する会話の場を設けました。我々は過去に経験した既存の開発/検証のワークロードとインフラストラクチャをvSphereで動作しているOpenStackベースのプライベートクラウドに載せ替えた経験を例として用いています。このユースケースはこの記事の中で述べられている機能の大本となっており、我々はこのコードでOpenStackのプロジェクトへ貢献したいと考えているのです。この議論に参加したい場合には是非ご参加(訳注:すでにOpenStackサミットが終了しておりますので、現在は議論はされていません)ください。
記事責任者 マーケティング本部 三好哲生 (@Networld_pf9)