こんにちは。
Data Domainも今回で第四回目となりました。第三回ではレプリケーション
機能について見てきました。今回は Data Domain の機能の一つである
『DD Boost』についてご紹介します。
[E:flair]
『DD Boost』機能を利用するには追加ソフトウェア・オプションラセンスである
『EMC Data Domain Boost ライセンス』が必要になります。
■『DD Boost』とは
Data Domainで実行される重複排除のプロセスの一部をバックアップサーバに
分散することにより、バックアップのパフォーマンスを向上させ、バックアップ
サーバ側でデータ保護の一元管理を実現します。
OST(オープン・ストレージ・テクノロジ)
『DD Boost』はCIFS、NFSに比べて効率的なデータ転送(バックアップ)を
可能にするプライベートプロトコルであるOSTを利用します。
図にするとこんな感じになります。
[E:shine] 次は『DD Boost』の機能概要について見ていきましょう!
■『DD Boost』機能概要
『DD Boost』には3つの基本的な機能があります。3つの基本機能は以下になります。
1)Distributed Segment Processing 機能
(分散重複排除機能)
・重複排除処理の一部をバックアップサーバに処理を分散し、
Data Domainシステム側に転送しない仕組みを提供します。
・分散重複排除機能の利用制御を可能にします。
・利用した場合、最大50%のスループットが向上します。
2)Advanced Load Balancing &
Link Failover 機能
・Data Domainシステム側で複数のGbe/10GbeをBoostソフトウェア側で
一つのグループ化することで、ジョブ毎に自動負荷分散して利用します。
・グループ化された物理ポート(1Gbe/10Gbe)のパフォーマンス向上。
・障害が発生したポートの未完了(in-flight)ジョブは、正常なポートに
透過的に移動(Link Failover) します
3)Optimized Duplication 機能
・【バックアップ】,【レプリケーション】の管理をバックアップソフト側で
一元管理化が可能になります。
・複製処理はData Domain側で処理され、バックアップサーバの負荷を軽減します。
・高速かつより効率的なデータ転送を実現します。
[E:shine] 次は『DD Boost』の主な利点について見ていきましょう!
■『DD Boost』の主な利点
『DD Boost』の機能概要について見てきましたが、次は『DD Boost』の
主な利点について説明します。
『DD Boost』を利用することで、ソリューションの最適化機能を
拡張します。主な利点は以下になります。
①スループットの向上(最大2倍)
OST(オープン・ストレージ・テクノロジ)をとDSP(分散重複排除機能)により、
効率よくデータ転送することで、バックアップのスループットを向上させます。
②バックアップサーバで制御されたレプリケーション
『DD Boost』を利用しない場合
レプリケーションはData Domainシステムで管理されます。
バックアップサーバはレプリカのData Domainに書き込みされるデータを
認識することが出来ません。
『DD Boost』を使用する場合
バックアップサーバがData Domainのレプリケーションを制御し、
管理することが出来ます。
③バックアップサーバがレプリカの
Data Domainシステムを認識
・バックアップサーバがレプリカのData Domainシステムを認識することが
出来ることで、レプリカのData Domainシステムから直接リストア操作が行えます。
[E:flair]
『DD Boost』を利用することで、バックアップソフトにて
【バックアップ】,【リストア】,【レプリケーション】の完全な管理制御を
可能にし、最適化された統合されたバックアップを実現します。
次は『Distributed Segment Processing
(DSP:分散重複排除)』について見て行きましょう!
■『Distributed Segement Processing
(DSP:分散重複排除)』
DD Boostの主な利点について見てきましたが、DD Boostで処理される
DSP(分散重複排除)について説明します。
DD BoostのDSP(分散重複排除)は2種類の操作モードがサポートされます。
1つは分散重複排除処理を行うためのオプションを有効化した状態(デフォルト)、
もう1つは無効化した状態になります。
◆『DSP(分散重複排除処理)』を無効
DSPが無効な場合、OSTは全てのバックアップデータをData Domainに転送し、
Data Domain側で重複排除、圧縮、データの保持等の重複排除の全ての
処理プロセスが行われます。
【重複排除処理プロセス】
① セグメント
→ 変長ブロック単位でセグメントを作成
② フィンガープリント
→ セグメント別にフィンガー・プリント作成
③ フィルタ
→ セグメントが一意のデータかどうか検証
④ 圧縮
→ 検出された一意のデータを圧縮
⑤ ディスク書き込み
→ 圧縮後、一意のデータをディスクに書き込み
図にするとこんな感じになります。
[E:flair]
『DSP:分散重複排除』が無効の場合、重複排除処理がData Domainnシステム上で
行われますので、バックアップサーバでは重複排除処理プロセスの役割を
何も実行していないことが上記の図にて確認できます。
◆『DSP(分散重複排除)』を有効
DSPが有効な場合、重複排除はバックアップサーバとData Domainシステムとの間で
重複除外プロセスが分散されます。バックアップサーバ側でフィンガープリントの作成、
およびセグメントの圧縮が実行され、Data Domainシステム側でフィンガープリントを
フィルタし、Data Domainシステムのディスクにセグメントが書き込まれます。
【重複排除処理プロセス】
① セグメント
→ 変長ブロック単位でセグメントを作成
(バックアップサーバ側プロセス)
② フィンガープリント
→ セグメント別にフィンガー・プリント作成
(バックアップサーバ側プロセス)
③ フィルタ
→ セグメントが一意のデータかどうか検証
(Data Domainシステム側プロセス)
④ 圧縮
→ 検出された一意のデータを圧縮
(バックアップサーバ側プロセス)
⑤ ディスク書き込み
→ 圧縮後、一意のデータをディスクに書き込み
(Data Domainシステム側プロセス)
図にするとこんな感じになります。
『DSP:分散重複排除』が有効の場合、重複排除処理がバックアップサーバ側で
行われますので、重複排除処理プロセスが分散して処理されていることが
上記の図にて確認できます。
[E:shine] 次は『Advanced Load Balncing &
Link Failover』機能について見ていきましょう!
■『Advanced Load Balancing & Link Failover』
機能
DSP(分散重複排除)の仕組みについて見てきましたが、Avanced Load Balancing
& Link Failover機能について説明します。
◆ Data Domain上の複数のEthernet Portを
効率よく利用
・バックアップ,リストアのデータ転送をジョブ毎に複数のポートへ自動分散します。
・DSP(分散重複排除)機能の有無に関係なく動作します。
◆ 可用性の向上
・Link AggregationやEthernet Failoverはネットワークレベル構成なく
導入が可能になります。。
・あるポートが利用不可な場合、バックアップジョブを再実行するだけで、
残りの通信可能なポートが自動的にアサインされます。
◆ 動的なトラフィック負荷分散
・OST PluginとData Domain間でデータ転送で使用するポートをジョブ単位で
決定することが可能です。
図にするとこんな感じになります。
次は『Optimized Duplication 』機能について
見ていきましょう!
■『Optimized Duplication』機能
Avanced Load Balancing & Link Failover機能について見てきましたが、
次はOptimized Duplication 機能について説明します。
◆統合管理されたリモートサイトへのデータ複製
・個別バックアップデータの複製作業はバックアップサーバから指示します。
・バックアップと複製をバックアップソフトから一元管理します。
・複製処理はData Domain側で処理するのでバックサーバの負荷が軽減します。
・高速かつより効率的なデータ転送を実現します。
図にするとこんな感じになります。
■ まとめ
『DD Boost』はバックアップソフトと統合することで、バックアップの
スループットを向上させ、「バックアップ」、「レプリケーション」、「リストア」を
バックアップソフトにて統合管理できますので、災害復旧業務をより
簡素化することを可能にする優れた機能です。
次回は別の機能についてご紹介したいと思います。
それでは次回もよろしくお願い致します。
担当 斉藤・吉田