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vSphere DRSとNutanixの親和性は悪いっていう都市伝説は本当なのかやってみた ~前編~

vSphere DRSとNutanixの親和性は悪いってどういうこと?


弊社でも今年の9月からNutanixの販売を開始しましたが、よくある質問の1つにNutanix上でvSphere DRSを使っちゃいけないの?というものがありました。

私はvSphereもvSANもNutanixもちょっとわかるくらいの知識はありますので色々考えてみたのですが、なんかそんなことを言われる技術的要因もあまり心あたりがないので「都市伝説です!」ということにしています。

ただこんな都市伝説が流れるということは、何か正しく伝わっていないのだろうということで、弊社のWebセミナーのやってみたシリーズでお話した内容をこうしてブログで公開してみたいと思います

vSphere DRSとは?


まずNutanix云々という前にvSphere DRSについておさらいをしてみましょう。
皆さんvSphere DRSの機能というと「vSphereクラスタ内のホストの負荷の偏りをなくすために仮想マシンを自動的にvMotionする機能」と認識していると思います。ところがvSphere DRSがvMotionする条件はなかなか知られていないのが実情です。

例えば、ホストが3台あって、ホストAがCPUが50%、ホストBがCPU利用率が10%、ホストCがCPU利用率が0%の場合、ホストAで稼働する仮想マシンをホストCに移動するのでしょうか?

50:10:0なので不均衡なのでDRSのトリガーとなってホストA上の仮想マシンが数台、ホストCにvMotionされると思うかもしれません。いかがでしょうか?

ところがこの程度の利用率ではDRSが自動的に仮想マシンをvMotionすることはありません

なぜでしょうか?vMotionは確かに無停止で仮想マシンを違うホストに移動することができます。しかし何のデメリットもないわけではありません。

vSphereのバージョンアップでvMotionの進化につれて小さくなっていますが、稼働するホストを切り替えるときに多少の性能劣化が発生するのです。

そのためDRSは性能に困ってない仮想マシンを無理に移動するようなことをして例え瞬間的とはいえ性能劣化を起こすようなことはしないのです。

先ほどの例でいうと、ホストAがCPU90%、ホストBがCPU利用率50%、ホストCがCPU利用率10%というような、特定のホスト上で性能劣化が発生するくらい負荷が
高くなり、クラスタ内にリソースの余裕がある移動先ホストがあるときだけvMotionするのです。非常によく考えられていると思いませんか?

Drs_2

こうしてみると、vSphere DRSは仮想マシンが遅くなるくらいリソースが不足してきたとき、事前に自動的にvMotionする機能」ということができます。

vSphere DRSは頻繁にvMotionするわけではないということはご理解いただけたでしょうか。なのでもっと皆さん怖がらずに積極的に使ってください…。

こうしたDRSのアーキテクチャの詳細はvSphere 6.5に対応した以下のドキュメントで解説がされています。興味のある方は是非1度読んでみることをお勧めします。
DRS PERFORMANCE VMware vSphere 6.5

では今回はここまでにして次回の最終回で、Nutanix側のアーキテクチャと弊社の検証結果についてまとめたいと思います。お楽しみに!