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コピーデータ活用~連載シリーズ CDM製品パイオニアActifio(アクティフィオ)のご紹介!

こんにちは。本ブログでは、従来のバックアップ製品と異なる視点で新しいソリューションを展開する Copy Data Management (CDM:コピーデータ管理)のパイオニア "Actifio(アクティフィオ)" をご紹介します。

 

Actifio 社は、2009年 米国マサチューセッツ州ボストン郊外で設立され、2012年に日本市場での活動を開始し、「Copy Data Management」の先駆者としてソフトウエアの開発・提供を続けており、既にグローバルで約3000社の企業に Actifio が採用されています。

 

現在、企業のIT環境において、多くの複製データ(コピーデータ)がさまざまな目的で利用されていますが、Actifio のソリューションは、企業内で目的別に利用されているデータコピーのツールやアプリケーションの管理を Actifio に集約し、コピーデータの効率的な管理とデータの利活用を提供します。

 

【これまでのデータ管理】

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上記のように、これまでの運用では、多数のソフトウェア,多数のコピーデータによってサイロ化が進み、運用の複雑さの課題がありますが、Actifio に置き換えることにより、1つのプラットフォームでデータ統合管理を提供することができ、インフラからアプリケーション開発まで広範囲のITニーズをカバーします。

 

【Actifioで実現する “データ統合管理”】

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【Actifio の基本構成】

Actifio の主要な構成要素である、Actifioソフトウエアが動作するプラットフォーム(アプライアンス)とコピーデータを保存する ストレージ、および Actifio Connector (エージェント) について説明します。

 

Actifio は、2つのアプライアンスが提供されています。Actifio アプライアンスには、VMware vSphere や Microsoft Hyper-V のハイパーバイザやクラウドサービス上で動作可能な仮想アプライアンス  "Actifio SKY" と、Intel アーキテクチャ サーバハードウエアをベースとするハードウエアアプライアン ス "Actifio CDS" が用意されています。

アプライアンスのソフトウェア機能としての違いは無いため、導入先の環境や使用するネットワー クインタフェースなどの要件に応じて選択します。

 

 【Actifioアプラインスモデル】

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Actifio アプライアンスが使用するストレージは、導入先の環境や要件に合わせてお客様側で準備いただく必要があります。Actifio SKY の場合、ハイパーバ イザが対応するストレージ機種や構成、Actifio CDS については、FibreChannel SAN 接続で検証済のストレージに対応します。

 

Actifio Connector は、サーバにインストールする軽量なエー ジェントソフトウエアで、データの取り込みや利用の際 に OS やミドルウエアと連携し動作します。VMware vSphere や Hyper-V 環境での仮想マシン/仮想ディスク単位のデータ管理を行う場合、Actifio Connector のインストールは必須ではありません。

 

【Actifio の基本動作とアーキテクチャ

Actifio のコピーデータ管理は、3つの基本動作の要素「Capture(取り込み)」「Manage(管理)」「Use(活用)」で構成されますが、Actifio のアーキテクチャを理解する上で、以下のキーワードが重要となります。

 

  • マウント
  • ネイティブフォーマット
  • 永久増分

 

【Capture(取り込み)】

Actifio のデータ取り込み方法は、従来のバッ クアップソフトウエア製品と大きく異なっています。Actifio のデータ 取り込みは、ステージングディスクと呼ばれる Actifio 内部で作成した論理ボリュームを、Actifio Connector と連携して取り込み対象データを持つサーバがマウントする動作が最初のステップとなります。

 

 【ステージングディスクのデータ取り込み】

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Actifio は外部ストレージのように接続されて、保護対象サーバが iSCSI や FibreChannel といったストレージプロトコルを用いて、Actifio が提供するステージングディスク(適切な形式:ボリューム管理やファイル システムにフォーマット) にデータを書き込み、Actifio 内部の格納プールにデータが取り込まれます。取り込みのコピーが終了した時点で、このステージングディスクは Actifio Connectorを通じてアンマウントされます。

 

2回目以降 のデータ取り込みは、増分(差分)データのみのコピーとなりますが、増分の検出方法については、対象の OS やミドルウエアによって異なりますので、詳細は、下記の「データ差分検出方式」を参照ください。

 

 【Actifio データ増分検出方式】

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VMware vSphere 環境ですが、VADP(VMware API for Data Protection)を用いるため、Actifio Connector のインストールおよびステージングディスクのマウントは不要です。データの取り込み方法は、vCenter Server を介して、ESXi  からネットワークベースで保護対象の仮想マシンを転送することが一般的ですが、Actifio CDS アプライアンスを使用する場合、環境によって、SAN ベースのデータ転送を実施することもできます。差分検出については、VMware vSphere の Change Brock Tracking(CBT)の仕組みを利用しています。

 

 VMWare vSphere 環境のデータ取り込み】

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【Manage(管理)】

Actifio のデータ管理方法についても、従来のバックアップソフトウエア製品と異なります。前述したステージングディスクを介して取得したデータは、Actifio の内部では、1つのスナップショットのデータ面(イメージ)で保持され、ブロックレベルで差分データを世代管理します。このスナップショットの仕組み自体は、ストレージ製品に搭載されるスナップショット機能に近いもので、任意のスナップショットへのアクセスが容易なため、データの積極的な利用に適した仕組みが提供されています。

 

Actifio のデータ格納先として、Actifio 内部には、データ管理用に2つのストレージプール「Snapshot」と「Dedup」が構成されています。Snapshotプールはデータの積極的な利用に適した領域で、アプリケーションテストの利用やデータリカバリの使用が想定される直近のデータなどが格納されます。

もう1つの Dedup(重複排除)プールは、ブロックレベルの重複排除処理を行うことでデータを効率的に保存が可能な領域で、利用頻度が低い古いデータの格納や長期保管に適しています。一般的なデータ取り込み方式の場合、ステージングディスクを介して取得したデータは、まず Snapshot プールに保存されます。Snapshot プールにデータが取り込まれた後、Actifio の内部で重複排除処理(非同期)を行います。

 

【利用(Use)】

Actifio のデータ利用についての理解は簡単です。Actifio でのデータ利用(参照)は「マウント」という操作により実現します。Actifio 内部で管理しているデータ面(イメージ)を選択し、マウントを処理を行うと、Actifio 内部に該当イメージに対する書き込み可能なスナップショット(仮想コピー)を論理ボリュームとして新しく作成します。その後、マウント先の指定したサーバに対して Actifio Connector を介して、仮想コピーがマウントされます。仮想環境の場合も仮想マシンをマウントする機能が同様に提供されていますが、詳細は、今後の連載で別途ご説明いたします。

 

 【仮想コピーとマウントによるデータ利用】

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Actifio のマウント機能によるデータ利用は、リストアの操作やリストア用のストレージ領域を必要とせずにデータの参照や利用が可能です。このデータの利活用が Actifio の最大の特徴で従来のバックアップ製品と異なる手法で多くのユースケースでコピーデータをすぐに利用することができます。

 

Copy Data Management (CDM:コピーデータ管理)は、まだ国内での認知度は低いですが、”データの利活用”にご興味を持つお客様も徐々に増えて、CDM のソリューションが広まりつつあります。次回、Actifio のさまざまな機能をご紹介していきます。最後までお読みいただきありがとうございました!

 

Edit by :バックアップ製品担当 松村