株式会社ネットワールドのエンジニアがお届けする技術情報ブログです。
各製品のエキスパートたちが旬なトピックをご紹介します。

PernixData FVPとHP StoreVirtual VSA ~Software-Defined Storageの真価~

皆さん、こんにちは。昨日のPernixDataの月例Webセミナーには日本HPの井上様をゲストスピーカーとしてお招きし、PernixDataとHPのStoreVirtual VSAのコラボレーションでお送り致しました。Webセミナーは7月16日に行われる日本HP主催、PernixData, Inc.協賛のセミナーの予告編となっています。

見逃してしまった、という方はこちらからバックナンバーとしてビデオの閲覧が可能です。5月の開催分はこちら。ビデオの閲覧にはメールマガジンへの登録時に入手できるパスワードが必要です。メルマガも毎月配信していますので、是非ご登録ください。

また、7月16日のセミナーも是非お楽しみに! 今回は掲載していないパフォーマンスの高速化のデータや実際のアプリケーションの高速化事例のご紹介を予定しております。

↓お申し込みはこちら↓

次世代のストレージ Software Defined Storage(SDS)セミナー」

〜 低コストで高速なDB/VDI実現の秘策とは?〜

HP StoreVirtual VSAとは?

HP StoreVirtual VSAはHP社が提供するSoftware-Defined Storageです。サーバに搭載されたストレージ領域をソフトウェアによって仮想的なSANとするもので、弊社で取り扱っているStorMagic社のSvSANやVMware社のVSANなどと同様にServer-SANにカテゴライズされる製品です。このVSAは以前はLeftHandと呼ばれていた製品でその歴史は長く、シンプロビジョニングはもちろん、レプリケーションや階層化、ボリュームのオンライン移行など、優れたデータサービスを提供しています。

Fig251

では、PernixData FVPとこのStoreVirtual VSAを組み合わせると、どんな環境が実現するのでしょうか?

仮想環境に生まれる新たなサイロ

仮想化のテクノロジーは情報システム内に乱立するサイロを統合するテクノロジーであると言われることがあります。人事給与システム、会計システム、公開サーバ、メールサーバなどなど、用途ごとにバラバラに作成され、管理も別々に行っているシステムをハイパーバイザー上に仮想マシンとして統合し、システムの管理を一元化することで管理者の負担を小さくしようという効果を狙う際にこのサイロという言葉が登場します。

しかし、どうしても仮想環境に統合しにくい特異なシステムというものも存在します。データベースやExchange、SharePointなど、いわゆるビジネスクリティカルシステムがその代表例で、通常のシステムと同じストレージ上に配置していてはパフォーマンスが足りない、満たすべきレベルでのデータの保護ができない(バックアップの要件が異なる)、満たすべきレベルでの耐障害性が保証できない(高可用性)などのポイントから仮想化を見送ったり、ミッションクリティカルシステム専用の仮想環境のサイロを新たに作ってしまうということがあります。

これは本来の仮想化の目的とは逆行している動きです。CPU・メモリは十分にあるのに、ストレージ(およびデータ保護)の要件が大きく異なるために、仮想環境を分けることになり、管理の手間も増えてしまっているのです。

仮想デスクトップ環境も通常のサーバーワークロードとは大きくストレージ要件が異なっているため、サーバ仮想化環境とは分けて構成されることが少なくありません。「VDIはWriteが8割!」、この言葉はもはや常識を超えて、仮想インフラ技術者のDNAにすらなりつつあります。

ここでもあらたなるサイロが生まれています。せっかく同じ仮想化技術を使っているのに、管理はVDIとサーバと分けなければならない。つまり効果が半減してしまっているのです。先のミッションクリティカルシステムのサイロもあることを考えれば、本来の効果の3分の1しか使えていないことになるのです。

サイロ化の犯人はストレージ、Softwareでストレージを作り出すことで解決

ワークロードごとに環境を分けなければならない理由はなんでしょうか? パフォーマンス、バックアップ(レプリケーション)、高可用性など、ストレージにまつわるものがほとんどです。CPU/メモリについても高速なものが必要になるかもしれませんが、管理が完全に分かれてしまう理由はストレージです。しかし、我々はもうすでに解決策を見つけ出しています。そう、Software-Defined Storageです。Software-Defined Storageの世界では、ワークロードの必要に応じてソフトウェアでストレージの属性を決めて、仮想マシンへ提供することが可能です。

Fig252

ストレージ属性をソフトウェアで定義するだけですので、同じハードウェアからVDIもミッションクリティカルシステムも、そして通常のサーバーワークロードも切り出すことが可能です。ストレージのために別れてしまっていたサイロがここで初めて統合可能になります。

もう一つの重要なポイント 「適切なコストとタイミング」

サーバシステムとストレージシステムには大きなコストの差があります。もし、万が一あなたの仮想環境がサーバもストレージも100%使いきっているとします。ほんの1台の仮想マシンを増やしたい、となった場合でもサーバは数十万円の単位、ストレージは数百万円の単位での買い物です。従来型のシステムを採用している場合、サーバ1台、ストレージ1台を購入しなくてはならず、わずか1VMのために数百万円の投資がかかってしまいます。将来的に仮想マシンの数が増えていく際に新たな投資をする必要はありませんので、将来の投資抑制という見方もできますが、やはりキャッシュアウトは少ないほうが良いと考えるかたもいらっしゃるでしょう。何より、今回作りたい仮想マシンは1つだけですから、その後、仮想マシンが増えなければ1VMあたり数百万の投資をした、という事にもなってしまいます。

この問題もSoftware-Defined Storageが解消します。Software-Defined Storage(特にServer-SAN型ストレージ)は「サーバの単位」での購入が可能です。先程の例では数百万のストレージを買うのではなく、数十万のサーバとソフトウェアライセンスを購入すればすんでしまうのです。1VMあたり数十万、直近の極端なタイミングでの話をすればコストが10分の1ですんでしまうことになります。

そして、もっといいことがあります。次の増設のタイミングまでに同じスペックのサーバのコストは更に下がっていきます。最初は80万円していた同じスペックのサーバが次の増設時、6ヶ月後には60万円で買えるかもしれません。もしくは同じ値段でもっといいサーバを買うということもできるかもしれません。「サーバの単位」のマジックは「最もいい買い物をすれば良くなる」とも言い換えることができます。

FVP & VSAでサイロのない完全な統合仮想環境と将来の保証

PernixData FVPはミッションクリティカルシステムやVDIに必要な「ストレージ性能」を「サーバ単位」で購入できるようにするものです。パフォーマンスによるサイロはなくなりますし、既存の共有ストレージを更に活用できるようにします。そして HP StoreVirtual VSAは長い歴史を持つ「データサービス」によって様々な「ストレージ属性」を「サーバ単位」で提供し、更に「ストレージ容量」も「サーバ単位」で提供することを可能とします。

この2つのコンビネーションで、既存の資産を活用しながら、「サイロのない完全統合仮想環境」と「今後は最もいい買い物だけをすればいい」という状態を作り上げてみませんか?

Fig253