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【Cloudian On Azure】クラウド純度100%!Azureにハンズオン環境を作ってみたら自動化してオンデマンドハンズオンとしてリリースすることになった

あなたは正直なところ、クラウドを何に、誰のために、どのように使ってますか?

ふむふむ。
あー、なるほど。
おー、そういうことですか。
うんうん。

実に様々な声が聞こえてきました。

みなさまご無沙汰しております。
ストレージ基盤技術部のコガ・トモヒロです。

今回のブログでは構想から1年、ついに完成した『Cloudianオンデマンドハンズオン on Azure』について触れたいと思います。(それにしても "オン" が多い​​​​​​​​​​​​ですねぇ)

世はクラウドだ、On Azure/AWSだと申しますが、クラウドに触れる・使うにも何かしらの『きっかけ』が必要だと思います。また、お金(クラウドサービスの使用コスト+学習コスト)を気にする必要もなく、気軽に触れる、そんな素敵な環境が準備されていたとしても『きっかけ』がなければ、なかなか動かないのが人間というもの。。。

『きっかけ』は弊社でよく開催している『ハンズオン』!?

私の記憶では約1年前の弊社技術在籍の某さんによる「クラウド(Azure)でハンズオンやりたいけど、なんか動くモノってあれへん?」という、発言でした。

# そんな訳でスタートは「Cloudianありき」で始めたわけではないものの、結果的、技術的、仕組み的にもCloudianが最適だった、ということになります。(ova提供など、VMwareにフォーカスしたプロダクトが多いのが現実です)

「Cloudian、クラウドで動かしてみますか」と言ってみたものの、私自身、恥ずかしながら、それまではクラウドサービスを使うことはあってもトレーニングやちょっとした検証目的での使用が主で、「数日使用して終わり」というレベルでした。そんな状況から約1年間、薄く長く、時に深くクラウドサービスに "接続し続けた" ことは新鮮であり、とても貴重な体験となりました。

手動によるAzure展開が完了した後に見えてきたものとは

ひとまずオンプレでやることをAzure上に手動で展開し、多くの紆余曲折がありつつもAzureでCloudianを動作させることができました。

苦労していたモノが手に入るとあれもこれも欲しくなるのも人間の性というものでしょうか。Azureへの『クラウド化』が実現できた後は『自動化』、その次は『複数クラスタのデプロイ化』→『オンデマンド化』→『S3バックアップ体験としてNetBackupも演習に入れよう』→『だったらS3データ移行体験としてZiDOMAも演習に入れよう』→『コスト対策もしなくちゃね』といった具合に次々と溢れ出るアイデア(欲望)をどんどん取り入れていった結果、約1年という月日が経過したのでした。そして、いつの間にやら『せっかく作ったからリリースしちゃおう』ということになったのです。

本記事はもはやそんな1年の出来事(アウトプット)の『まとめ』になります。

『リモートハンズオン』となにが違うのか?

現在、弊社ではコロナ禍ということもあり、リモートハンズオンを実施しています。
ではリモートハンズオンと今回、紹介するCloudianのオンデマンドクラウドハンズオンとの差は何になるのかを簡単に比較します。

※比較こそすれど、それぞれの良さがあり、どちらが優れているという訳ではありません

比較ポイント\プロダクト プロダクトA(リモート) Cloudian(オンデマンドクラウド)
操作端末 受講者 受講者
操作 VMware Horizon(ブラウザ) リモートデスクトップ接続
ハンズオンリソース 弊社内の物理環境(ESXiなど) Azure環境(まじりっけなし)
講師 弊社社員 なし(動画コンテンツ化&雲安蔵)
実施形態 ライブ(平日日中帯) オンデマンド(24時間365日)
ハンズオン補助ツール Zoom Teams
ハンズオン環境展開 手動(一部、自動) 自動(Terraform Cloud+α)

いくつか違いはあるものの、ポイントは3つです。

①ハンズオン全リソースの『クラウド化=Azure化』

とはいえ「オンプレ環境をクラウド環境に」というメッセージに目新しさもないご時世です。このCloudianハンズオンの真の推しポイントはズバリ、以降に挙げる『オンデマンド化』と『自動化』にあります。

②『オンデマンド化』

お忙しい皆様と弊社スケジュールによるアンマッチを解決し、ご都合に合わせて少しずつトレーニングやハンズオンを進めて頂くことが可能になりました。(極端な話、24時間365日、インターネットさえつながれば、いつでもどこからでも受講がOK!)

③『自動化(Terraform+α)』

私が意図する環境を最適化した状態で作り上げてくれるという夢の超絶簡単デプロイを実現 on Azure。(極端な話、数クリックでAzureへのCloudianハンズオン環境群のインストールや基本設定を含む自動デプロイが可能に!しかもロードバランサー込みで!)

なんのクラウドサービスを利用しているの?

それでは次にCloudianハンズオンで使用しているクラウドサービスについて、詳細とともに一覧にしました。

サービス名 利用シーン/用途
Azure Cloudianハンズオンを実現するためのクラウド基盤
 ①受講者用のリソースを集めたResourceGroup
 ②展開/Labに必要なリソースを集めたResourceGroup
 ③リソース監視用のResourceGroup
Azure Lab Services 受講者用向けのラボ環境(Windows10)
 ※リモートデスクトップ接続先
Terraform Cloud Azureへのハンズオン環境自動デプロイ/制御(Variablesとして設定値を変数化)
【主なVariables一覧】
 ①HyperStore初期インストールノード数
 ②展開クラスタ数(つまり受講者の人数)
 ③ログインユーザー名
 ④リソースグループ名
 ⑤プライベートドメイン名
 ⑥インストールバージョン
 ⑦ロードバランサー種別
 ⑧NetBackup展開有無
  など
Office365(主にTeams) ハンズオンコンテンツ全体をTeamsにてポータル化
 ①座学動画の視聴
 ②ラボ環境の起動・停止
 ③Q&A対応("チャット"にて)
 ④アンケート
QnA Maker Q&Aサービス(チャットボット)を提供
(雲安蔵:クラウディアンゾウの実体)
Youtube 座学動画のアップロード先

なにやらたくさん書いていますので、「ふーん、なんか色々と使ってるのね」ということだけでもご理解頂ければ幸いです。

個人的に好きなのは、Terraformで変数を準備して、GUIでちょっと編集してポチポチっとやればシュッとデプロイされることと、リソース状態の監視&電源連動してくれる機能です。管理者(サービス提供者)としては格段に工数が減り、抜群に楽になりました。どれくらい減ったのかなどはまた別の機会にでも・・・。

ハンズオン受講に際し、何が必要?

受講者様の端末にて準備頂くものは3つです。

①インターネット接続

 ※ネットワーク制限がある場合はリモートデスクトップ接続を許可

②ブラウザ(Teams操作)

 ※Teamsアプリは不要です
 ※既にTeamsを使用している場合はプライベートモードや別ブラウザを使用

③「リモートデスクトップ接続」アプリ

受講プロセスやイメージは?

以下、ハンズオン環境を簡単に表したイメージ図になります。

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ざっくりとした受講プロセスは以下になります。

①【ブラウザ】Teamsにログイン ※アカウントは弊社で準備
②【Teams】座学受講
③【Teams】ラボ環境の起動
④【リモートデスクトップ接続】ハンズオン演習
                - Cloudian:HyperStore基本操作
                - ZiDOMA:データ移行
                - NetBackup:バックアップ・リストア
⑤【Teams】Q&A(雲安蔵:クラウディアンゾウへチャットで質問)
⑥【Teams】ラボ環境の停止
⑦【Teams】アンケート

そして、何度も補足します。
座学もハンズオンもオンデマンド形式ですので、受講/演習実施のタイミングは自由です。ちょっとした隙間時間やあなたの好きな時間にトレーニングを進めて頂けます。

おっと、興味をお持ちになった方からの心の質問が寄せられていますので、雲安蔵(クラウディアンゾウ)になり変わって回答します!にんにん✦

ところで「雲安蔵(クラウディアンゾウ)」とは何やつ!?

Q&Aサービス(チャットボット)のキャラクターになり、彼にチャットすると質問に答えてくれます。名前はCloudian HyperStoreはオンプレのクラウド(=雲)にも安心(=安)してデータを貯蔵できる(=蔵)ことから、「雲安蔵(クラウディアンゾウ)」と名付けられました✦

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なぜCloudian(HyperStore)はAzureで動作するの?

SDS(Software Defined Storage)だからです。
Cloudian HyperStoreはCentOS/RHEL上で動作します。※細かいハードウェア要件はあります

受講者間でリソースは共有されちゃうの?

いいえ。受講者毎にクラスタ、ロードバランサー、バックアップサーバーが準備されています。

あれ?Azure上でHyperStoreが動くということはAzureでS3サービスが動いているの?

はい。なんともクール&オシャンティ状態です。そして、そのことにお気づきのあなたも然りです!誤解のないように補足しますと、あくまで「ハンズオン用として」になりますので悪しからず!もう少し補足しますと、展開時に使用するパッケージなどの保管先はキチンとAzure Blob Storageを使用しています。

Azureですよね?課金は大丈夫ですか?

ご心配のお言葉とお心遣い、ありがとうございます。涙
この度、不要な課金を防止する対策として『リソース監視機構』を導入しました(自作です)。また、Azure Lab Servicesと使用するAzureコンポーネント群の『電源連動機能』も実装しました(こちらも自作です)。加えて『電源の落とし忘れ対策』も実施済ですので、コスト肥大化の課題は無事に解決しました!

受講してみたいのですがどうすれば良いですか?

ありがとうございます。詳細は以下よりご確認ください!

networld.smartseminar.jp

以上、期間も内容も長くなりましたが「【Cloudian On Azure】クラウド純度100%!Azureにハンズオン環境を作ってみたら自動化してオンデマンドハンズオンとしてリリースすることになった」、ここに完結です!(語りつくせぬサイドストーリーはたくさんありますが、それはまた別のお話)

それではまた近いうちにお会いしましょう🍁

Special Thanks to Networld Tech Member

最後に。
私の的を得ていない質問や相談、お願いにも真摯に対応・実装頂いたことでCloudianオンデマンドハンズオン on Azureは完成しました。もはやCloudian、Azureだけにとどまらない世界観を実現できたのも皆様のアイデアとご協力のおかげです。本プロジェクトに参画し、ご協力頂いた弊社メンバーにあらためてこの場で感謝申し上げます。

改良や改善の際は、またお声がけしますので逃げないでください!笑