みなさんこんにちは。ストレージ探偵です。NetApp INSIGHT 2020 DIGITAL EVENTを受け、関連する内容を項目ごとにいくつかレポートしてみます。
*本記事のセッション内容については、プレゼンテーターの発言を翻訳したものではなく、公開されている情報から筆者の所感をまとめた記事となります。記載内容については実際のNetApp製品での実装とは異なる場合がございますのでご了承ください。
*セッションへのリンクは2020年10月30日現在のリンクとなります。
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Meet the Specialists - NetApp INSIGHT 2020 Digital Event, October 26-29, 2020 - NetApp INSIGHT
■CloudManagerの進化とSpot CloudAnalyzer
みなさんCloudManagerが大きくその形態・役割を変えたことをご存知ですか?これまでのCloudMangaerは基本的にCloud Volumes ONTAPのデプロイ兼管理という役割をになっていた「サーバー」でした。AWSやAzure上のインスタンスがCloudMangaerそのものだったのです。現在のCloudMangaerはどんどんその役割を拡大し、NetAppのクラウドサービスの窓口となるSaaSアプリケーションに進化しました。これまでのCloudMangaer(インスタンス)はCloudMangaer Connectorという役割に格下げされてしまいました。
SaaS化したことにより、CVOだけではなくさまざまなNetAppサービスをCloudManagerから一元的に管理できるようになりました。せっかくなので今回は新サービスのSpot CloudAnalyzerを試してみます。
Spot CloudAnalyzerはクラウドコスト分析・可視化を実施してくれるツールです。NetAppによるSpot社買収によりCloudManagerからもCloudAnalyzerが利用できるようになりました。それではさっそく設定してみましょう。
- Step1:AWSアカウントにログインします。マスターアカウントでのログインが必須となります。Organizaionの子アカウントでは利用できないようです。
- Step2:AWSのCost&Usage Reportsで利用しているバケット名を入力しましょう。わたしはてっきり専用の空バケットをつくるものと勘違いしてしばらくハマっていました。
- Step3:CloudFormationのテンプレートを走らせます。自動的にSpot用IAMロールが作成されます。
- Step4:Step3で作成されたIAMロールのARNを入力します。
設定はこれだけです。簡単ですね。
あとは48時間程度でCloudManagerからコスト分析画面が参照できるようになるそうです。このCloud Analyzer、なんと無償で利用できるとのこと。楽しみですね。問題は試しに使ったマスターアカウントにはコンピューティングリソースがなにもないことです。
※追記
48時間待て、とのことでしたが体感として78時間程度でCloudAnalyzerが使えるようにになりました。マスターアカウントにリソースはなにもないのですが、Organizaionの子アカウントのコストも分析してくれました。具体的にどのような分析ができるかは別記事にUPしたいと思います。
関連セッション:NetApp Cloud Manager:Your Console to the Cloud 【セッションリンク】
■Ansibleによる自動化
みなさん、自動化しますか?今は自動化の時代です。乗り遅れないよう積極的に取り組みましょう。ONTAPの運用管理もAnsibleで自動化できるし、Workflow Automationという製品も終息に向かい、かわりにAnsibleを使おう!という流れのようで、NetAppにはいま空前の自動化ブームが巻き起こっています。自動化のはじめの一歩には、Cloud Volumes ONTAPがおすすめです。
CloudManager(Connector)にはこのようなSwagger形式のAPIドキュメントが整備されています。ここからPlaybookを作成すれば、Cloud Volumes ONTAPにVolumeやLUNをつくるなんてお茶の子さいさい。え?Ansibleをいちから学ぶよりGUIで作ったほうが早い?まあ、それも事実ではありますが、自動化はやっぱり便利ですよ。
ネットワールドでも自動化、特にCloud Volumes ONTAPのデプロイ自動化に取り組んでいます。具体的にはCloud Volumes ONTAPのトレーニング環境をTerraformとAnsibleを利用し自動デプロイしています。この自動化の仕組みができるまでは、トレーニング参加者12名分のトレーニング環境(ひとり3インスタンス×最大12名分)をひたすらひとりで休日にGUIから手動デプロイしていました。14時間かかっていた作業がなんと1クリック、わずか40分で構築できるようになりました。自動化バンザイ!
この自動化事例については、
実はスゴイ!Cloud Managerの話 ~CVO&Cloud Manager最新活用事例とクラウド実案件で知った「ココだけ」のナレッジ~
で詳しくお話しています。アーカイブから視聴できますので、ぜひ御覧ください。自動化によって環境作成したCloud Volumes ONTAPハンズントレーニングも随時開催していますので、ご参加おまちしています。
関連セッション:Infrastructure as Code with Ansible for Cloud Volumes ONTAP 【セッションリンク】
■SnapMirror Cloud
オンプレにあるFAS/AFFから直接クラウドのオブジェクトストレージにSnapMirrorでバックアップできたらいいですよね。実はそんなすばらしいことを実現できるのがSnapMirror Cloudです!SnapMirror Cloudについて詳しくは下記をご参照ください。
さらに、オブジェクトストレージからリストアする際に、Volumeまるごとリストアだけはなく、ファイル単位でリストアできたら便利だと思いませんか?実はこれもできるんです。ProlionのRestore Managerを使えばね。
こちらにとてもわかりやすいイメージ図が記載されていますので、ぜひ見てみてください。
ところで、このオブジェクトストレージにSnapMirrorしたデータから、ファイル単位でリストアできる!ってコンセプト、どこかで聞いたことないですか?これってひょっとしてまんまNDAS*1じゃねーか!と思ったあなたはかなりのNetApp通ですね。NDASとは、ONTAP9.5で搭載された(されるはずだった)とってもステキなバックアップ機能です。AWSのVPC上にカタログデータを保持するインスタンスをデプロイして、ファイル単位でFASにリストアできる機能でした。NDASとはNetApp単体で高度なバックアップ機能を提供しようという野心的なソリューションなのです。
こちらの中程にNDASが紹介されています。
ところがこのNDAS、いつまでたっても正式に使えるようになりませんでした。ONTAP9.5リリース時はさかんに宣伝していたのに。そのNDASが満を持して、ファイル単位のリストア機能などをサードパーティ製品に外出してして大復活をとげたのがSnapMirror Cloudではないでしょうか?
SnapMirror Cloudとっても気になりますね。オブジェクトストレージにSnapMirrorできるのはセカンダリストレージだけなのか?/ProlionのRestore Managerのようなサードパーティ製品は必須なのか?あるいはCloud Backup Serviceとはどう違うのか?などなど疑問点が多いので、NetAppさんからの詳細情報を待ちましょう。
ちなみにCloud Backup Serivice(Backup to cloud)とは、下図のような機能です。
Cloud Volumes ONTAPからクラウドオブジェクトストレージへ直接SnapMirrorできます。あまり知られていませんが、この機能はCloud Volumes ONTAP専用というわけではなく、ONTAP9.7P5以降のオンプレ機器でも利用できます(いまのところSnapMirror先はAzure Blobのみ対応)。
Backing up data from an on-premises ONTAP system to the cloud | NetApp Cloud Docs
この機能とSnapMirror Cloudとの使い分けについても今後詳細をお伝えしたいと思います。
SnapMirror CloudはSnapDiff v3というエンジンを利用しているのですが、このSnapDiff v3についてはRubrickさんがサポートしています。こちらのプレスリリースもぜひ読んでください。
関連セッション:NetApp SnapMirror Cloud Data Protection with Prolion 【セッションリンク】
ということで、NetApp Insight Digital EVENTで発表された内容を公開情報から整理してみました。
本ブログ「ネットワールドらぼ」以外にも
NetAppさんのサイト「ストレージチャンネル」でFabricPool連載記事を書いていますので、そちらもぜひ御覧ください。
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マーケティング本部セールスコンサルティング部
NetApp製品担当:福住遊
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*1:NetApp Data Availability Services