こんにちは!
ネットワールドストレージ担当の武田です。
今回はSmart Fabric Storage Softwareという機能をつかって、PowerStoreでNVMe over TCP環境を構築してみたいと思います。
以後はSFSSと表記させていただきます。
SFSS導入の流れを見ていく前にまずはNVMeについての説明をさせていただきます。
NVMeとはSSD向けに開発されたプロトコルであり、従来のSCSI接続と比べて高帯域幅で低レイテンシが実現できる規格となっており理論値では従来のSCSI接続の3倍以上の速度が出るとされております。
ドライブとストレージコントローラ間の接続(バックエンド)がNVMeであるケースは近年のストレージ製品においては珍しくなくなってきている印象ですが、
PowerStoreではバックエンドはもちろんストレージコントローラと実際にストレージを利用するサーバーとの接続(フロントエンド)もNVMeで構成することが可能となっており、かつフロントエンドはFC、TCPいずれの構成も可能となっております。
PowerStoreはNAS、SANいずれの利用も可能なユニファイドストレージではありますが、NASには機能の制限があったり、より廉価な製品が好まれることも多いことからやはりSAN(iSCSI)での利用が最も一般的です。
NVMe over TCPはiSCSIで利用する物理機器でそのまま構成することが可能ですので、iSCSI用途で購入いただいたお客様にも導入しやすい構成となっております。
前置きが長くなってしまいましたが、NVMe over TCPはこのようにPowerStoreのセールスポイントでもあり、SFSSがあれば簡単に構成するためのツールとなっております。
こちらはメーカーのドキュメントより抜粋した図表になります。
Hosts(サーバー)とSubsystem(PowerStore)をそれぞれSFSSに登録すれば、仲介役を果たしてくれてFCのように簡単に構成を組むことが出来ます。
構成の流れは以下の通りです。1はサーバーとPowerStore側の準備の話なので、ここは構成済みである想定として2からの流れを見ていこうと思います。
仮想マシンはOVFファイルからデプロイをしていき、IPアドレスなどの初期設定を入れれば完了します。
デプロイが完了したら、Webブラウザからアクセスが可能です。
初期ユーザー名、パスワードは「admin」です。
初回アクセス時にパスワードの変更を求められます。パスワード要件がPowerStore本体よりも厳しいので注意が必要です。
続いて、CDCインスタンスの作成です。細かく手順を見ると長くなってしまいますので、細かい点は割愛しますが以下のようにSFSSの仮想マシン内部にNVMe用のIPアドレスを設定していくイメージです。
続いて、エンドポイント側(PowerStoreとESXi)からCDCインスタンスを検出します。
PowerStoreの検出はPowerStoreのWebUI上での操作。ESXiの検出はvCenterの画面上から操作を行います。
これで手順3までは完了です。
次にZoningの設定です。見えてきたエンドポイント情報の紐づけを行うイメージです。
同一のZoneにサーバーとPowerStoreをグルーピングしていきます。
あとはPowerStore側でボリュームの作成とホスト設定を行うだけです。
こちらはSFSS構成だからと言って、特別なことはせず通常の手順となります。
あとはESXi側でデータストアを作成すれば、NVMe接続のPowerStoreのVolumeが利用可能となります。
いかがでしたでしょうか。
物理構成が出来ている前提ではありますが、このようにSFSSがあれば容易にNVMe Over TCP環境を構成することができます。
私の感覚ではストレージとサーバが1対1のような関係であれば、SFSSを利用するメリットはそれほど感じられませんでしたが、大規模環境になりホストやストレージが複数になるようなケースであればSFSSを中心にハブのように構成することが可能となるので、運用の手間や考慮点がかなり削減されるのではという印象でした。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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