みなさん、こんにちは。ネットワールドSE 西日本技術部の廣澤です。
本日はFortiGateの 「Inline-CASB」機能 について検証を行ったので、その結果をご紹介します。
「Inline-CASB」とは?
FortiGate (FortiOS) では v7.4.1 から「Inline-CASB」機能が実装されています。
まず、CASBはCloud Access Security Brokerの略称で、
クラウドサービス利用を監視・制御する機能です。
よくある利用例
例えば、以下のような制御が可能です。
- オンラインストレージの操作制御
- 接続 (ログイン等)、ダウンロード: 許可
- アップロード、削除: 拒否
- テナント制御
- 企業ドメインアカウント: ログイン許可
- 個人アカウント: ログイン拒否
これらの機能がFortiGateに実装されています。
今回はその「Inline-CASB」機能について検証を行いました。
他機能との比較
以下はFortiGateで利用可能な類似した機能との比較です。
FortiGateには多くの機能が実装されていますが、それぞれ有効な場面・状況に違いがあります。

Inline-CASBの利用条件
「Inline-CASB」はすべてのFortiGateで利用できるわけではありません。
以下の条件を満たす必要があります。
利用条件
1.FortiOSのバージョンが v7.4.1 以降
-
- v7.4.1 から「Inline-CASB」が実装されています。
2.メモリサイズの要件
-
- v7.4.4 以降では、搭載メモリサイズが 4GB以上のモデルが必要です。
- 2GB以下のモデルはプロキシ機能(CASB含む)を利用することが出来ません。
Inline-CASBの設定方法
1.Inline-CASB設定の表示
表示機能設定で『Inline-CASB』を有効化すると、セキュリティプロファイルに項目が表示されます。


2.Inline-CASBプロファイルの設定
プロファイルの設定を行います。
1.Profileタブの新規作成をクリックします。

2.プロファイル名を入力して、SaaSアプリケーションで新規作成をクリックします。

3.アプリケーションで制御対象のアプリを選択します。
※今回の検証はMicrosoftを選択して進めています。

4.テナント管理を有効にしてテナント情報を入力します。
※Microsoftの場合はプライマリドメインの情報を入力します。


5.Microsoftの設定は以上となりOKをクリックします。

6.再度SaaSアプリケーションで新規作成をクリックします。

7.今度はOneDriveを選択します。

8.特権制御でユーザーに実行して欲しくないアクションをブロックに変更します。

9.OneDriveの設定も以上で完了なのでOKをクリックします。

10.プロファイルの設定はこれで完了となるため最後に元の画面でOKをクリックします。

11.作成したプロファイルをポリシーに適用します。このとき以下のように設定してください。
-
- インスペクションモード:プロキシベース
- SSLインスペクション:deep-inspection(別途作成したSSLディープインスペクションでも可)

以上でInline-CASBの設定は完了となります。
動作確認
実際に通信を行いInline-CASBの動作を確認します。
まず、「許可されていないドメイン(networld.co.jp)」でM365に接続してみると、
以下の画面が表示されました。

ネットワールドテナントへの接続が拒否(Deny)されています。
次に「許可されているドメイン(M365x88249225.onmicrosoft.com)」に接続してみると、
ブロックされず接続に成功しました。

ここから更にOneDriveに接続をしてみると、今度はFortiGateのブロック画面が表示されました。


Activetyから「app」のアクションでブロックされていることが分かります。
以上がInline-CASBの動作確認となります。
検証をしてみて
検証を通じて感じたことは、設定がとても簡単だったということです。
「え?これだけの設定で動くの?」というくらい手軽に設定できる機能だと思います。
もちろん、利用可能なモデルがミドルレンジからという制約はありますが、
SSLディープインスペクションも考慮すると妥当と感じました。
また、Inline-CASBをFortiGateで実現するメリットは以下の通りです。
1.アンチウイルスやIPSが利用可能なライセンスなら追加ライセンスは不要
-
- Inline-CASBはバンドルライセンスで利用いただくことが可能です。
2.他UTM機能と同じように適用する通信を柔軟に選択可能
-
- 「ポリシー+プロファイル」で動作するのでCASBを適用する通信を柔軟に設定可能です。
最後に、この記事を見て「Inline-CASB」機能にご興味・ご関心がございましたら、
是非、弊社営業までご相談いただければと思います。
免責事項
- 本書は、株式会社ネットワールド(以下 弊社)が作成・管理します。
- 本書の記載内容の一部または全部を弊社に無断で改変・転載することを禁じます。
- 本書の記載内容は、一部または全部が将来予告無く変更されることがあります。
- 本書の利用は、利用者様の責任において行われるものとします。
- 本書の記載内容には、最善の注意を払っておりますが、正確性・完全性を保証するものではありません。
従いまして、本書の利用によって生じたあらゆる損害に関して、弊社は一切の責任を負いません。