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Lenovo ハードウェア管理ソフトウェアXClarityについて (その1)

この記事は、レノボエンタープライズ・ソリューションズの小宮様に寄稿いただきました。

Lenovo 社が提供する XClarity と呼ばれるサーバー管理ソフトウェアに関するご紹介となります。

今後、XClarity 関連について、全4回にわけて寄稿いただく予定ですが、今回は記念すべき第1回となります。


レノボエンタープライズ・ソリューションズ小宮です。

本日はLenovoThinkSystemサーバーを管理するソフトウェアXClarityについてお話したいと思います。サーバー管理はどこでも同じではないかと思われる方もいらっしゃるかと思いますが、サーバー・ベンダーによってそれぞれ特色があります。特に外資系のハードウェアベンダーについてはハードウェア管理だけでなく、OSインストールの簡素化リモート拠点からの画面コンソールの制御トラブルシューティングに役立つ機能などサポートされています。また、LenovoのXClarityについてはサーバーだけにとどまらず、Lenovo製のストレージ製品やネットワーク機器も同様のソフトウェアが管理することができ、インフラストラクチャのプロセスの標準化や自動化を行うことができます。1

本日は第一弾としてXClarityの概要の説明とXClarity Controller (LXCC)およびXClarity Provisioning Managerをご紹介したいと思います。

 

  1. XClarityとは?

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XClarityは冒頭でもコメントしましたが、LenovoのハードウェアファミリーであるThinkSystem シリーズ(SR/ST/DE/DM/NE)のハードウェア情報を管理できるツールです。ハードウェア管理というと一般的に監視ソフトウェアでMIB情報やBMCなどで情報を取得して管理すれば同様の内容が実現可能かと思いますが、例えば、ハードウェアメーカーで持っている固有の情報(マシン固有のシリアルナンバーなど)をREST APIを利用して取得することができたりします。シリアルナンバーを取得することにより、サーバー製品の資産管理で利用することもできます。また、サーバー・ベンダーで開発している管理ソフトウェアだからこその効果については、ハードウェアの作業の簡素化について作業時間に直すと、(マニュアル作業に比べて)約95%の時間短縮が見込まれます。作業ステップに関して、(マニュアル作業に比べて)約75%のステップ削減を実現します。ハードウェアの状況を正確に把握するために、XClarityは管理コンソール(XClarity Administratorおよび XClarity Essentials)サーバー内部のハードウェア管理を行うXClarity Controllerこれらをすべて統合したXClarity Integratorの4つの製品群で構成されます。

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XClarityの製品群についてはさらに細かく分類するとこちらのイメージになります。XClarity Mobile AppなどはスマートフォンでUSBポートを利用してサーバーの情報を確認することができるようになっています。また、消費電力を管理するXClarity Energy Managerはラックに収容されているThinkSystemの機器全体の消費電力を管理することが可能です。この機能を利用することによりデーターセンター全体の消費電力をコントロールすることが可能になります。

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こちらの表はXClarityのソフトウェアファミリーの機能比較になります。それぞれの製品が機能競合しあうものではありませんが、無償・有償などの違いもあるので参考までに見て頂ければと思います。ハードウェア管理の機能であれば無償で利用可能ですが、Call Homeなどのハードウェア故障でそのままサポート可能なサービスが付加されているようなものについては有償になります。NutanixやVMware vSANなどのハイパーコンバージド環境でミッションクリティカルに近いワークロードを動作させているようなケースでは、有償ソフトウェアのXClarity Proを選択して導入することをお薦め致します。

 

  1. XClarity Controllerについて

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XClarity ControllerはすべてのThinkSystem サーバーに共通で組み込まれている管理エンジンで、そのインタフェースは以前のバージョンに比べて刷新されています。Redfish準拠のREST API業界標準化されたインタフェースでサーバー内部の情報を取得できます。さらにOS画面の起動およびファームウェアアップデートの高速化も図られ、ユーザーエクスペンスが向上している管理ソフトウェアです。

 

主なユーザーエクスペリエンス

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先の章でもご紹介しましたが、今回のXClarityはスマートフォンからインタフェースを閲覧することが可能になっています。モバイルアプリのような機能で操作パネルをサポートします。

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ファームウェアの更新も簡単にできます。現状のファームウェアのバージョンからアップデート可能なバージョンがあれば一覧に表示され、アップデートしたい場合に対象のモジュールをクリックするだけでバージョンアップ可能です。(Nutanixなどのハイパーコンバージド環境のローリングアップデートを行い場合は、管理コンソールから実施してください)

こちらはサーバーのファームウェアだけでなく、NICなどのアダプタのファームウェアもアップデート可能になっています。

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サーバーのRAIDセットアップを行うことができます。複数のアダプタ用に最適化されたアレイ構成の視覚化、ウィザードによる新しい仮想ディスクの作成を行うことができます。

ThinkSystem以前のXClarityではこのようなGUIはなかったこともあり、非常に使いやすくなっております。

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リモートコントロール操作についてですが、データーセンターに設置しているサーバーにオフィスからアクセスしたいけど、(上図のESXiの管理画面など)コンソール画面を利用したい場合などがあると思います。XClarityはHTML5ベースのリモートコントロールを提供してリモートオフィスからの画面操作が可能になっています。また、HTML5のためJavaおよびActiveXなどのプラグインなどを排除されています。

また、リモートコンソールだけでなく、ローカルPCからISOイメージを入れて、仮想メディとしての利用やCIFSおよびNFSファイルサーバーからのISOイメージのリモートマウントの機能も提供されています。

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画面キャプチャなどもGUIのメニューからできるようになっているため、トラブルシューティングにも非常に役立ちます。

こちらの機能はAdvancedのライセンスが必要になりますのでご注意下さい。

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XClarityは最新のブート・ビデオを過去3回分録画されており、再生してみることができます。起動画面をキャプチャし忘れてしまった時などに利用するときに非常に便利な機能です。こちらは最新版で新機能としてサポートしており、ライセンスもEnterpriseライセンスが必要となりますのでご注意下さい。

 

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リソースの使用率の表示している画面になります。表示項目は以下の内容です。

表示したデータについては、エクスポートすることも可能になっており運用者のレポート作成にも役立つ機能になっております。

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電源ポリシーについてですが、サーバーに搭載されている電源ユニットから情報収集することで、冗長化ポリシーや電力容量のキャッピング(上限設定)を行うことでサーバーおよびデーターセンターの電力の節約に効果をもたらします。こちらは新機能と利用できますが、キャッピング機能についてはEnterpriseライセンスが必要になりますのでご注意下さい。

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XClarity Controllerのエディションを紹介いたします。データーセンターとの連携が必要な機能についてはAdvancedやEnterpriseの機能が必須になりますが、通常のマシンルームでサーバーを管理するだけであれば、Standardの機能で十分です。ただし、障害対応を迅速対応を行うことのできるブートキャプチャ機能は利用してみると良いと思います。

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ここまでXClarity Controllerの機能を紹介してきましたが、もう一つのメリットがあります。それはオープンスタンダードであるということです。今までのサーバー・ベンダー固有の機能を独自で開発が進められてきましたが、最近は様々な機能との連携が必須になってきており、業界標準技術を利用することが求められてきています。

その業界標準の技術がREST APIの対応となります。17

REST APIに関しては業界標準のRedfishを採用しています。Lenovoはシステムの相互運用に特化した標準化団体であるDMTFの理事会のメンバーでもあるため、ThinkSystemはまさに業界標準化された規格を取り込んだサーバーです。

  1. XClarity Provisioning Managerについて

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XClarity Provisioning Managerは全く新しいプロビジョニングツールです。すべてのThinkSystemサーバー製品ラインナップに共通で、新しいユーザーインタフェースを搭載しています。UEFI 2.5オープンスタンダードでかつ、直感的なワークフローになっておりBIOSRAID設定が可能でありファームウェアアップデート、組み込みドライバーを利用したハイパーバイザーおよびオペレーティングシステムのインストールと診断機能も付いています。最新バージョンからは日本語もサポートされており、非常に使いやすくなっています。

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初期画面から「F1」キーを押下するとXClarity Provisioning Managerが起動します。その後、システムのサマリが表示されサーバー上のファームウェアのバージョンやデバイスの情報を確認することができます。

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プラットフォームの更新についてはXCC(XClarity Controller)やWindowsLinuxのDriverなどをアップデートすることができます。

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RAIDのセットアップもXCC同様に行うことができます。細かいところですが、ホットスペアなどの指定も可能になっています。

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OSのインストールの画面になりますが、ここでは自動インストール選択さればインストールが始まります。もちろんUSBメモリなどでOSのイメージを選択してインストールメディアを選択することも可能です。

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こちらでOSをインストールするドライブを選択します。最近ではThinkSystemにもM.2のデバイスにOSをインストールできるようになっているため、こちらのデバイスRAID設定で保護しておけばドライブそのものはデータ容量として利用することができます。

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次にOSの選択画面になりますが、Windows/Linux/VMwareなどが選択可能です。もちろんXClarity Provisioning Managerが対応したOSでなければバージョンは表示されません。またOSのイメージはローカルだけでなくネットワーク共有も指定可能になっています。

 

次回のブログはXClarity Administratorをご紹介します。

 

今後ともよろしくお願い致します。


Lenovo 社の ThinkSystem サーバーを管理するソフトウェア XClarity の概要と XClarity Controller および XClarity Provisioning Manager についてご紹介いただきました。冒頭でもお伝えしたように、小宮様には、引き続き XClarity 関連の記事を寄稿いただく予定ですので、みなさまどうぞご期待ください!