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コンシューマーグレードのSSDとエンタープライズグレードのSSD、どっちを使うべき?

本ブログエントリーはPernixData社のテクノロジーエバンジェリストであるFrank Denneman氏のブログの翻訳版です。

本記事の原文はConsumer grade SSD versus Enterprise grade SSD, which one to pick?で閲覧可能です。
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コンシューマーグレードのSSDドライブを使うべきですか?それともエンタープライズグレードのSSDドライブを使うべきですか?

この質問はとってもよく聞く質問で、ほとんど毎日聞かれています。ラボ環境か、本稼働環境かの状況に関係なく、私の回答はいつも同じです。どうあってもエンタープライズグレードを使うべきです!なぜかって?エンタープライズグレードのドライブは高い耐久性と電源喪失時のデータ保護機能と、一貫した高いレベルのパフォーマンスを提供してくれます。これらは信頼性を保証し、一貫したパフォーマンスが必要な場合、戦略的になくてはならないものです。それではこれらの3つの機能について詳しく見て行きましょう。

耐久性

今日ではコンシューマーグレードのSSDの耐久性についての情報や、公称の耐久性のレベルを超えて、うまく動作しているといった情報を多く見ることが出来ます。この2,3年のうちに、驚くべき進歩が起こったということは驚嘆に値します。しかしながら、ベンダーは自身の提供するコンシューマーグレードのSSDをクライアント環境でしか検証していないことを忘れてはいけません。それに対してエンタープライズグレードのSSDはデータセンター環境において、最悪のケースを想定して検証されているのです。ベンダーがリストしているDWPD(Drive Writes Per Day)の値は保守的な値なのでしょうか?それともアグレッシブな値なのでしょうか?これは興味深い質問です。私はお客さまのデータでギャンブルをしたいとは思わないので、コンシューマーグレードのSSDがデータセンターの継続的な高いレベルの負荷に耐えられるかどうか試してみようとも思いません。vSphereのアーキテクチャは高い耐久性を要求しますし、そうなると、そのために設計され、検証されたエンタープライズのドライブを使うべきと考えています。

電源喪失時のデータ保護機能

あまり取り上げられることがないようですが、ほとんどのエンタープライズSSD電源喪失時のデータ保護機能を備えています。これらのSSDはディスクへ書き込む前のデータを格納する小さなバッファもしくはキャッシュを備えています。エンタープライズSSDは様々なボード上の静電容量(コンデンサー)ソリューションを活用し、SSD内でキャッシュからドライブ自身へデータを移すのに十分な電源を供給することが可能です。保護されるのはデータだけではなく、ドライブ自身も保護されます。万が一、ドライブ内のセクタの一部が利用できなくなった場合、パフォーマンスに大きな影響がでてきます。というのも、ドライブはセクターの障害の回復のために時間のかかる操作を実施しなくてはなりません。エンタープライズのドライブを選択した場合、電源喪失時のデータ保護機能によって電源喪失後であってもドライブ障害によるパフォーマンスの低下を抑えることができます。

一貫したパフォーマンス

最後に、特に重要なのがエンタープライズSSDは一貫したパフォーマンスレベルを保証するように設計されているという事実です。SSDベンダーはエンタープライズのディスクが集中的に長時間利用されることを想定しています。つまり、コンシューマーグレードのSSDに対して、ディスク全体が急激にうめつくされるようなことを想定しているということです。データはセルに対して消去された状態でないと書き込むことが出来ません。高い頻度のライトアンプリフィケーションが発生します。ライトアンプリフィケーションについて詳しくは以下の記事を参照してください。

ライトアンプリフィケーションはホストの書き込みが、実際にドライブにどれぐらい書き込むか、その割合に影響します。つまり、ライトアンプリフィケーションが発生した際には、ホストからの書き込みを正しく処理するため、ドライブに対して書き込む回数が無視できないぐらいに増えてしまうのです。これを減らすためにはドライブを「オーバープロビジョン」しておくという方法が1つです。Intelのようなベンダーはライトアンプリフィケーション操作を吸収するための専用の大きなフラッシュリソースをドライブに追加しています。これによって一貫した、予測可能なIOPSが実現されています。

IOPSとレイテンシへの影響

私のラボ環境で、いくつかの検証を行ってみました。Intel DC S3700とKingston E-100の2つのエンタープライズフラッシュドライブを利用しています。また、同じく2つのコンシューマーグレードのフラッシュデバイスも用意しました。これらのディスクについてはタイプやベンダ名を出すのは遠慮させていただきます。私は最初の検証を11:30から11:50まで実施しています。エンタープライズグレードのSSDドライブでの検証です。IOPSのレートは一貫しており、予測可能です。仮想マシンをコンシューマーグレードのSSDが搭載されたホストに移行させ、再度同じ検証を実行しています。一度たりともIOのレートが落ち着くことはありませんでした。

Fig53 Anandtech.comも似たような検証を行っており、似たような振る舞いがおこったと証言しています。結果は「Exploring the Relationship Between Spare Area and Performance Consistency in Modern SSDs」という記事として公開されています。とてもよい記事なので、ご一読をオススメします。 

Fig54Anandtech.comの親切な画像

異なるドライブのサイズをクリックすることでそれぞれの標準のパフォーマンスと一貫したパフォーマンスを提供するのに必要なスペアのフラッシュリソースのサイズを確認することが出来ます。

次のステップはレイテンシの振る舞いについて調べることです。エンタープライズグレードのSSDはどちらとも、完全に予測可能なレイテンシを記録しました。平等な評価ができるように、書き込み中心の検証ではなく、読み込みの検証を実施しています。最初のグラフはKingston e100で読み込み検証を行った時のものです。

Fig55レイテンシは一環しており、予測可能なもので、アプリケーションの応答時間も一貫しています。

コンシューマーグレードのドライブのパフォーマンスチャートはこれほど美しくありません。読み取り検証を実施している仮想マシンがドライブを利用している唯一のワークロードであるのにもかかわらず、ドライブは一貫したレスポンスタイムを返せずに居ます。

Fig56検証自身は何度か実施し、お見せしたコンシューマーグレードのグラフはその中で良い方の物を選んでいるということも付け加えさせてください。複数の(エンタープライズレベルの)コントローラーを利用したことによって、このレイヤからの影響は結果に入っていません。

どんどん多くのSSDドライブが市場に登場してきているため、我々は戦略的にどのドライブが信頼がおける一貫したパフォーマンスを提供するものなのか、判断しなくてはなりません。このため、PernixDataはPernixDriveという我々が検証を行い、認定したフラッシュデバイスのイニシアティブを開始しました。

結論

予測可能なアプリケーションの振る舞いを実現するために重要なのは一貫したパフォーマンスを提供することです。これは様々なレベルの運用においても同様です。まず、最初に日々の利用者の満足度の向上につながりますし、アプリケーションのパフォーマンスについてのトラブルシュートを減らすためにも役立ちます。電源喪失時のデータ保護機能は短時間のサービス損失に対処するのに役立ちますし、電源の喪失時のドライブのパフォーマンス継続にも役立ちます。SSDドライブが完全に失われ、アプリケーションが非加速状態になると、お客様が失望したり、SLAを履行できなくなってしまいます。高いレベルのDWPDは高いレベルの一貫したパフォーマンスを、より長く保証してくれるのです。

一言で言うと、仕事にあった正しいツールを使おうということです。それはエンタープライズSSDドライブを使うことです。

記事担当者: マーケティング本部 三好哲生 (@pernixdata_netw)