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サンフランシスコより : Virtual Volumes(VVOL)とは? その1

実はすでに帰国してしまっているのですが、現地で書きためた最後の記事を投稿します。

現時点で公開されているVVOLはまだベータとしての位置づけで正式リリースになった場合には実際のものと異なる可能性があるので、その点はご了承ください。とはいえ、VVOLの開発の歴史は古く、その性質上エコシステムパートナーを広く巻き込んだものですので大きく変更はないと思っています。また、先のマイクロセグメンテーションの記事と同様、技術的に正確であることよりも、わかりやすいことを優先しての記載になります。

ちなみに余談になりますが、VVOLはPernixDataでCTOを努めておられるSatyam氏が指導させたプロジェクトとのことですので、こちらの記事もご参考ください。

前提知識も必要となると思っていますので、複数回に分けて解説していきたいと思います。今回はまずSoftware-Defined StorageとVVOLの違いについて解説します。

VVOLは何をしようとしているものか?Software-Defined Storageとは違うのか?

VVOLの説明をする前に、Software-Defined Storageについて、私の解釈を述べておきます。この説明に私はいつもこのプレゼンテーションを利用します。Software-Defined Data Centerという言葉が生まれ、Software-Defined Storageが出てくる以前からこのスライドを利用しています。つまり「仮想マシンが必要とするストレージ属性」を仮想マシンを作成する際に決めようということです。「Software-Defined」に予約やBurstなども設定できるようになっています。

Sdsneeds

セミナーにいらっしゃったことのある方はこちらの画像も覚えていらっしゃるのではないでしょうか? 最近は100円均一の回転寿司もあるようですが、いい寿司ネタはいい(高い)お皿に乗って回ってきます。これと同じでDBやExchangeなどの重要な(ミッションクリティカル)なアプリケーションとテスト・開発環境のように落ちてしまっても問題がないアプリケーションを同じサービスレベルにする必要はありません。すべての仮想マシンに同じストレージを割り当てるのではなく、仮想マシンごとにストレージ側の属性を動的に変更して割り当て、コストの削減(ストレージ側の無駄を省く)とサービスレベルの保証を同時に実現することがSoftware-Defined Storageの目的です。

Sushi

ではSoftware-Defined StorageとVVOLはどう違うのか?どんな難しさが?

VVOLはSoftware-Defined Storageを実現するためにVMwareが提唱しているストレージAPIです。つまりVVOLを実装しているストレージですよ!ということはそのまま私はSoftware-Defined Storageですよ!という意味になります。今のところ、他に類似のものがないので比較はできませんが、おそらく今後別のAPIも出てくると思いますので、その時にいかにVVOLが優れており、そして難しいかが実感されると思います。

VVOLはSoftware-Defined Storageを実現する以外にもう一つ難しいことを実現しようとしています。それはストレージオフロードです。Software-Defined Storageを実現することも難しいのですが、例えば性能だけ、レプリケーションだけなど程度を限ればすでに実装されているものでもあるので、さほど難しくはありません。もう一点のオフロードは(特定のストレージベンダーにとっては特に)アーキテクチャの変更を迫るようなものにもなるため、各社がそれぞれの努力をしています。

一体どういうことなのでしょうか? 次回に続きます。

記事担当者: マーケティング本部 三好哲生 (@pernixdata_netw)