こんにちは。ネットワールドSEの藤田です。
前回はNSXで構成する仮想ルータの概観しました。
【NSX】仮想ルータを知る01 - 概要 - ネットワールド らぼ
今回は仮想ルータ(Tier-0、Tier-1)が仮想マシンであるNSX Edgeの中にどのように収まるのかご紹介したいと思います。
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概要
NSX Edgeは仮想アプライアンスとベアメタルの方式で提供されます。
本記事は仮想アプライアンスを前提とします。
NSX Edgeは下記のように普通の仮想マシンです。この仮想マシンの中で仮想ルータが動作します。

では、仮想ルータはどのようにNSX Edgeのインターフェイスを使用するのでしょうか。
これが本記事のテーマです。
以下は前回の記事でご紹介した構成例です。

この構成をNSX Edgeに収めると以下のようになります。

ごちゃごちゃしてしまいました。よくわからない用語もあると思いますが、順番にご説明します。
本記事でお伝えしたいことは下記四点です。
・NSX Edgeは管理インターフェイスとサービス用のインターフェイスを持つ
・NSX Edgeのサービス用インターフェイスはTrunkのポートグループに接続する
・NSX Edgeはトランスポートゾーンを構成する
・仮想ルータはトランスポートゾーン内のセグメントを介して外部接続する
NSX Edgeのインターフェイス構成
NSX Edgeのインターフェイス構成は下記の通りです。

- eth0:管理用途
- fp-eth0 - fp-eth3:サービス用途
サービス用途のインターフェイスを経由し、仮想ルータでルーティングしたトラフィックは出入りします。
では、仮想ルータはこれらのインターフェイスをどのように使用するのでしょうか。
セグメント
前提として、仮想ルータの接続に必要なセグメント設定についてご説明します。
セグメントは、NSXで作成されるポートグループのことです。名前からネットワークのサブネットと混同してしまいがちなので注意が必要です。NSXの設定であることを明示して、以下では「NSXセグメント」と記載します。
NSXセグメントは分散仮想スイッチ(VDS)上に構成され、ポートグループと同様の操作で仮想マシンへ接続できます。NSXの仮想ネットワーク環境では、ポートグループがNSXセグメントに置き換わります。

仮想ルータのネットワーク接続も、このNSXセグメントを使用します。
前回の構成例に当てはまると、仮想ルータの以下の部分がNSXセグメントで構成されます。
※NSX Edge、仮想ルータ関連の設定はNSXのWebUIにより管理します

トランスポートゾーン
トランスポートゾーンは、NSXセグメント設定をグループ化したものとお考え下さい。同じトランスポートゾーンに所属するESXiホスト、NSX Edgeは同じNSXセグメント設定が利用できます。一方、異なるトランスポートゾーンに所属するESXiホスト、NSX EdgeのNSXセグメント設定が分離されます。
VLANセグメント用、オーバーレイセグメント用のトランスポートゾーンが用意されています。
これも構成例に当てはめると、以下のように構成されます。

トランスポートゾーンに所属するESXiホスト、NSX Edgeをまとめてトランスポートノードと呼びます。
これらのトランスポートゾーンをNSX Edge内へ構成します。ここではシンプルに、VLANトランスポートゾーン、オーバーレイトランスポートゾーンをそれぞれ一つ構成します。

トランスポートゾーンの配下に、セグメント設定が含まれます。
VLANトランスポートゾーンのNSXセグメントは、VLAN IDが一致していれば物理機器とL2で接続できます。NSXセグメント毎に任意のVLAN IDを指定できます。仮想ルータ観点では、主に物理境界セグメント(VLAN)への接続に使用します。
オーバーレイトランスポートゾーンのNSXセグメントはvSphere基盤内部、つまりトランスポートノード同士でのみL2で接続できます。これらのNSXセグメントを全て処理するための土管となるVLANを構成します。トランスポートノードはTEPと呼ばれるインターフェイスを構成し、これらのトラフィックを処理します。仮想ルータ観点では、主に仮想マシンセグメントへの接続に使用します。
NSX Edgeによる仮想ルータの収容
では最後に、NSX Edge内へ仮想ルータを配置しましょう。

うまくいきました。
ここでは例として、fp-eth0で全て処理する構成としました。前述したNSXセグメントへ仮想ルータを接続します。
注意して頂きたいのは、ここでVLANタギングを行っているのはNSX Edgeだという点です。そのため、fp-eth0はTrunkで構成したポートグループ、あるいはNSXセグメントに接続する必要があります。そのTrunkポートグループ(NSXセグメント)を、VLANセグメント、オーバーレイセグメント(=TEP)で使用するVLANが通過します。
NSX Edge内部のトラフィックフローは以下のようになります。

まとめ
仮想ルータ(Tier-0、Tier-1)がNSX Edgeにどう収容されるの確認しました。
それでは次回以降、NSX Edgeに収まった仮想ルータの構成についてご紹介していきます。
ありがとうございました。