皆さん、Backup Execという製品をご存じですか?Backup ExcelでもBackup Exileでもありません。Backup Execはバックアップソフトウェアですが、古くはSeagate Software社・VERITAS Software社からリリースされていた歴史のあるバックアップソフトのため、名前は聞いたことがあるという方もいるかもしれませんね。
弊社では様々なバックアップソフトウェアを取り扱っておりますが、今回は6月にリリースされたばかりのSymantec社のBackup Exec 2014(以下、BE2014)をちょっとだけですが、ご紹介したいと思います。
http://www.symantec.com/ja/jp/backup-exec
① 最新プラットフォームの対応
旧バージョン(Backup Exec 2010 R3 SP3/Backup Exec 2012 SP2)もWindows Server 2012には対応していましたが、バックアップ対象(クライアント)のみで、バックアップサーバとしては対応していませんでした。また、システム(OS)を迅速に復旧するディザスターリカバリー機能(Intelligent Disaster Recovery Option[IDR] /Simplified Disaster Recovery Option[SDR])も未対応でした。
BE2014では、Windows Server 2012/2012 R2に対応し、バックアップサーバとしてもご利用いただけるようになりました。これで、最新OSでもありのままに自由にバックアップできます。ただし、SDRはWindows Server 2012には対応したものの、Windows Server 2012 R2は未対応になりますので、ご注意ください。とは言え、間もなく?リリースされるサービスパックでWindows Server 2012 R2にも対応予定ですので、ご安心ください!
*2014/09/18追記
SP1がリリースされました。
http://www.symantec.com/docs/TECH216178
参考: http://www.symantec.com/docs/TECH196108
② 最新アプリケーションの対応
旧バージョン(Backup Exec 2012 SP2)でもExchange 2013/SharePoint 2013には対応しておりましたが、残念ながら、データベースのバックアップからメールボックスやドキュメント単位のリストアを可能にするGranular Recovery Technology(GRT)には未対応で、データベース丸ごとのバックアップ・リストアしかできませんでした。
BE2014では、GRTに対応し、Exchange 2013/SharePoint 2013でも柔軟なリカバリが可能です。更に、SQL Server 2014やDomino 9.0にも対応しましたので、最新アプリケーションもありのままにバックアップ・リストアできます。最新バージョンでも少しも怖くありません。
③ 仮想環境の強化
前バージョンのBackup Exec 2012で物理サーバ(Windows)をVMware/Hyper-Vの仮想マシンに変換する仮想変換機能が実装されていましたが、仮想変換機能は、物理の本番サーバに障害が発生し、すぐに代替機を用意できない場合などにダウンタイムを最小にする素晴らしい機能です。
前バージョンでは仮想変換するには一度バックアップする必要があり、またフルバックアップのデータしか変換に使用できませんでしたが、BE2014では機能拡張され、バックアップをせずに直接変換する機能と増分バックアップから変換する機能が追加され、ダウンタイムを更に短くすることが可能になりました。これで、物理サーバもありのままに仮想変換できます。
VMware vSphere 5.5対応としては、Backup Exec 2012 SP3で既に対応していましたが、vSphere 5.5 環境ではvStorage API を使用してバックアップする際に、仮想マシン上に構築したバックアップサーバにバックアップ対象の仮想マシンの仮想ディスクをマウントしてバックアップするHotaddモードには対応していませんでした。BE2014では内包しているVMware Virtual Disk Development Kit (VDDK)が5.1.2にアップデートされたことにより、 vSphere 5.5環境でもHotaddモードでバックアップできるようになりました。
参考:http://www.symantec.com/docs/TECH212668
http://www.symantec.com/docs/TECH211940
https://www.vmware.com/support/developer/vddk/vddk-512-releasenotes.html
ただし、下表のvSphere 5.5の機能はBE2014でも引き続きサポートしておりませんので、ご注意ください。
④ 重複排除機能の拡張
重複排除機能自体はBackup Exec 2010から実装されていましたが、BE2010:16TB →BE2012:32TBとストレージ容量が徐々に拡張され、今回のBE2014ではなんと!最大64TBまで拡張されました。(ストレージの容量によって、バックアップサーバに搭載するメモリ容量が変わりますので、サイジングの際は気を付けてください。)
更に、重複排除エンジンがバージョンされ、オンラインでのデータ整合性チェック、バックアップ・リストアの高速化、クライアント重複排除のキャッシュ管理の向上などが施されています。
また、NAS(Network Attaced Storage)のバックアップで使用されるNDMP(Network Data Management Protocol)でのバックアップは重複排除には不向きとされてきましたが、ファイルの中身を分析し、マップ情報を活用してファイルの境界でセグメント化するStream Handlerの搭載により、NDMPでも高い重複排除率を実現することが可能になりました。バックアップ先の容量が足りないと悩んでいたことが嘘のように、ありのままに重複排除してバックアップできます。
⑤ 旧バージョンの機能の復活
1つのジョブで複数のサーバをバックアップするマルチサーバーバックアップジョブと複数のジョブを一覧で表示するジョブモニターが搭載されました。昔のBackup Execを知っている方は「そんなの出来て当たり前でしょ?」と思うかもしれませんが、前バージョンの2012ではユーザーインターフェースがガラッと変わり、機能が無くなっていました。
ところが、世界中の多くのユーザーからのリクエストにより、両機能が復活したのです!また、バージョン 12.5 からのアップグレードが可能で、バックアップジョブのマイグレーションも自動的に行ってくれます。既存のBackup Execユーザーにとっても使い安く、バージョンアップに最適なバージョンになっています。これで、旧バージョンからありのままにバージョンアップできます。
バージョンアップの際には、下記の資料が参考になります。
http://www.symantec.com/content/ja/jp/enterprise/other_resources/BE2014_how2upgrade.pdf
⑥ クラウドへの対応
BE2014では、クラウドへのバックアップにも対応しました。AWS Storage Gateway VTLと連携し、オンプレミス環境のデータを Gateway VTLを介してAmazon S3 / Glacierにバックアップ可能です。
参考:http://www.symantec.com/docs/TECH222428
http://aws.amazon.com/jp/storagegateway/
AWS Storage Gateway VTLはVTLとなる仮想アプライアンスを用意しなければなりませんが、直接、クラウドにバックアップするソリューションと比べて、最適化されたデータ転送、Glacierとの連動、安定したバックアップ運用などのメリットがあります。災害対策ができないと悩んでいた方も既存の運用を保持したまま、ありのままにクラウドにバックアップできます。
上記以外にも、BE2014ではパフォーマンスの向上など細かなところでチューニングが施されていますので、まずは評価版をダウンロードして、ありのままに自由にバックアップしてみてください!
評価版ダウンロード: https://www4.symantec.com/Vrt/offer?a_id=178569
最後に、ファミリー製品としてBackup Exec 3600という製品もご紹介させていただきます。こちらはBackup Execをベースとしたアプライアンス製品です。
http://www.symantec.com/ja/jp/backup-exec-3600-appliance
重複排除機能の標準搭載に加え、エージェントが使い放題の非常にお得な製品です。ベースとなっているBackup Exec は2012になりますが、近々、2014にアップデートされますので、こちらもご期待ください!
それでは、次回も宜しくお願い致します。
バックアップ製品担当 臼井・磯前
※参考情報
・Symantec Backup Exec 2014カタログ
・Symantec Backup Exec 2014エンドユーザー様向け 製品概要
・Backup Exec 2014 ソフトウェア互換リスト (SCL)
・Backup Exec 2014 ハードウェア互換リスト (HCL)