こんにちは!
ネットワールドのストレージ担当の武田です。
今回はPowerStoreでNASの同期レプリケーションを検証していきたいと思います。
こちらはNASサーバー単位で別筐体のPowerStoreクラスターにデータの転送を行う機能となります。非同期のレプリケーションとの違いは常時同期となるため、ゼロRPOでの復旧が可能となります。
ターゲット側のNASサーバーへのフェイルオーバーにはオペレーションが必要になるので、ゼロRTOとはいきませんが、それも数クリックで完了するので事前準備や環境次第ではありますが、数分程度での復旧も可能となります。
PowerStoreもリリースされた当初はレプリケーション機能自体がSANのみの対応で、NASのレプリケーションは出来なかったのですが、今は当たり前に対応しております。
リリース当初のPowerStoreしか知らない方は"PowerStoreなんてUnifiedとは言ってもNASは制限ばかりで使えないでしょ…"と思っているかもしれませんが、ぜひ認識を改めてください!!
当社にもNASで利用していたUnityからPowerStoreへリプレースをしたいというお客様のご相談が増えております。
前置きはこのぐらいにして実際に設定の手順を見ていきましょう。
まずはレプリケーション用のストレージネットワークを作成します。これは通常のSANやNASのレプリケーションと同様です。
実際にデータの通信が行われるのはこちらのネットワークになります。
両ノードで対象の同一個所のポートに設定を入れる必要があるので最低2つのIPアドレスが必要となります。


その後、NASのレプリケーションに必要なファイル移動ネットワークの作成をします。こちらは対象のPowerStoreクラスターの管理系ネットワークと同一セグメントで設定する必要があります。レプリケーションの管理系の通信に使われます。

同一の設定を対向のクラスターにも入れたら、対向クラスターを登録します。

これで準備は完了です。
あとはレプリケーション用のルールとポリシーを作成します。
ルール作成のタイミングでレプリケーションタイプを忘れずに[同期]にします。その後ポリシーを作成し、レプリケーションタイプが同期になっているルールを紐づけます。

あとは対象のNASサーバーへ作成したポリシーを適用するだけです。

レプリケーションのステータスを確認すると、[正常に動作中]となっており、レプリケーションタイプが[同期]となっているのがわかるかと思います。

以上で完了となります。
設定自体は通常のレプリケーションとほとんど変わらずブログで取り上げるには少し地味なぐらい非常に簡単に実現できることがわかります。
ただし、いくつか制限事項や条件があるのでその点はご認識いただければと思います。
まずはレイテンシーについてですが、システムペア間で5ms以内という要件があります。また常にレプリケーションを行う形になるため、帯域への影響も考慮する必要があります。
そのため遠隔地のクラスターで構成を組んでバックアップをとるというよりは同一サイトや比較的近い場所で構成を組むのが現実的かと思います。
その他の要件についても以下にまとめております。
こちらの情報もあくまでVer4.1.x時点のものとなりますので、実構築の際は最新の情報をご確認いただければと思います。

私自身の感覚ですが、NASのファイルサーバー用途などの場合、常時同期でバックアップをとっているケースは少なく、日次(RPO=24時間)で別筐体にバックアップを取得しているケースが多いのかなと思います。
最大1日分までのデータロストは許容できる(我慢できる)という考え方なのでしょうが、いくつかの要件はあるものの、これだけ簡単にゼロRPOが実現できるなら、PowerStore導入時の選択肢の一つとしてNASの同期レプリケーションを利用した運用も検討いただけるかと思います。
最後に補足事項ですが、こうした同期レプリケーションを構成するにあたって、気にする方が多いのが、クラスターをシャットダウンや起動する際に元側と先側で順番があるのかという点かと思います。
こちらはメーカーの方にも確認をしたのですが特に順番はなくシャットダウンも起動もどちらからでもいいとのことです。
ただしシャットダウン→起動をする際には二つほど注意事項があります。
一つはクラスターを停止する前にクライアント側のアクセスを停止させることです。
レプリケーション構成に限った話ではないですが、きちんとアンマウントをしてからクラスターをシャットダウンするのが基本となります。
もう一つはクラスターをシャットダウンをする前にレプリケーションを一時停止することです。これはメーカーマニュアルにも記載されており非常に重要です。
ちなみに一時停止は元/先どちらからでも実行可能可能です。

起動させた後は忘れずに同期レプリケーションを再開させましょう。
再開も元/先どちらからも実行可能です。

上記の注意事項はあくまで一般論かつPowerStoreとして最低限守る必要のある内容となります。
実際にストレージをシャットダウンする際は各環境に合った手順で自己責任のもと実施するようにしてください。
次々とNAS関連の機能のエンハンスがされているPowerStore!!
今後の提案、導入の際にはぜひPowerStoreをご検討ください!!
最後まで読んでいただきありがとうございました!!
それではまた!!
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